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「モンスター上司」増殖の原因は

 こんな問い合わせをいただきました。

 週刊SPAに「モンスター上司」大増殖リポートという記事がでている。モンスター上司って言葉にぴったりくる奴が実際に多いんだけど、あれはどう思うか。

 週刊SPAは駅の売店でしか手に入らないので、さっそく買いにいきました。7/29号に「モンスター上司」の記事がのっていました。上司と言っても同じ職場で働く人なんだから、「モンスター」って呼ぶのもどうだかなーと思いながら、読んでみました。

 週刊SPAによれば、職場をギスギスさせるダメ上司が増えていると言うのです。「部下に何も教えずにダメ出しだけして退職に追い込む上司」「部下への指示がころころと変わるがそれを指摘すると逆ギレする上司」「そもそもみんなができるようなレベルの仕事ができずオロオロしている上司」などなど。

 たしかにいますねえ。先日このブログで書いた、アルバイト職員に「正社員にしてあげる」と言っておいて三日後には無かったことにしてくれと言ってくるような上司は、たしかに管理職として問題ありです。管理職としての発言は会社組織としての意思表示なのですから、雇用契約に関わるような人の人生を左右する大切なことで約束を守れないようではダメですよね。

 こんな話もあります。あるパート労働者の人が「辞めてくれ」と上司に言われたので、なかまユニオンとして「意に反して退職勧奨をするとは何事だ!」と経営に抗議したところ、経営上層部としては辞めさせるつもりなどは全く無く、人事権を持っているわけでもないその「上司」が独断でクビを言い渡していたことが判明。その「上司」は上層部には「本人から辞めたいと言うてきたンですわ」と報告していたというのです。

 このケースの場合、顧客の目の前であるにもかかわらず「辞めてもらわな困る」と大声で罵倒していたのを他の労働者が目撃していたという証言もありました。また、その「上司」の部下がここ数年のあいだに異常に大量に退職していっているという事実もあります。個人の独断と偏見による好き嫌いが優先し、ちょっとでも気に入らないことがあるとかたっぱしから部下を辞めさせていたと思われるのです。

 問題は、ではなぜこのような「モンスター」な上司が大増殖してしまったのかということです。

 さまざまな職場の実態を見て感じることなのですが、労働者を使い捨てにしたらいい、おさえつけたらいい、という発想が蔓延していることが、「モンスター上司」大増殖の原因ではないでしょうか。正社員を雇わずにパートやアルバイトに置きかえ、パートの替わりに派遣をいれるというやりかたそのものが問題なのです。パートやアルバイトに対しては教育研修もおろそかになりがちです。ですから上司が部下を育成するという責任感が無くなってきたのです。派遣も基本的に使い捨てですから、上司はどんどん無責任になります。

 企業は人が作るものです。企業組織を運営していくためには、管理職が組織運営をできるようにならねばなりません。「モンスター上司」の増殖は、組織運営をするためのトレーニングを受けていない責任能力のない管理職が増加していることを意味しているのです。

 成果主義の考え方も企業組織を破壊してしまいました。「自分だけが成果をあげればいい」「同僚が成果をあげないほうが得をする」「自分だけ成果をあげたように見せかけるためにこそ知恵をしぼろう」「困難な事業にとりくんだらなかなか成果があがらないから、難しい仕事は他人に押し付けよう」 こんな風潮が企業に蔓延したなかで就職して働いてきた人間が管理職になったとして、部下の素質をのばしたり人権を守ったり、力をあわせて困難な事業にチャレンジしていくよう部下をまとめあげていったり、できるわけがありません。

 7月25日、厚生労働省は「もっぱら派遣」の規制を強めることを決定しました。「もっぱら派遣」とは、「もっぱらグループ内の企業だけに人材を派遣する」派遣会社のことです。派遣会社のふりをしていますが、実態としては派遣会社とはいえず、労働者派遣法に違反するのです。本来は正社員として雇うべき人を低賃金で不安定な派遣社員の形態で働かせているからです。

 私たちは、派遣・請負やパート・アルバイトなど非正規雇用の抜本的な見直しを訴えます。働いている実態にみあった待遇を労働者は受けるべきです。労働者の使い捨てが、仕事に対して無責任な「モンスター上司」を増殖させてきたし、それは実は社会に対して無責任な「モンスター企業」の増殖をもたらしてきたのです。

 週刊SPAが書いているような、「モンスター上司とも仲良くやっていこうよ」という結論では、なぐさめにもならず、なんとも無力に感じますよね。職場でモンスターなパワーハラスメントの被害にあったら、まずはなかまユニオンにご相談ください。イジメに対してはきちんと抗議しなければ、加害者が反省することはありえないのです。首根っこをつかまえて目を覚ましてやりましょう。そのような抗議の積み重ねが、労働者使い捨ての風潮を一歩一歩無くしていくことにつながるのです。

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コメント

みるめ君へ。

 全くその通り。職種も使いますが、「成果主義」の誤りが今や誰の目にも明らかになってきました。労働意欲がなくなるわけです。

 くだんの管理職も成果主義の「なれの果て」と感じました。それを見抜けない上層部も問題です。

投稿: 朱鷺 | 2008年7月27日 (日) 20時01分

 朱鷺さん、さっそくのコメントありがとうございました。「モンスター上司」を産み出す「モンスター企業」。それを産み出す「モンスター国家」。被害にあった人が声をあげていくところから変えていきたいものです。

投稿: みるめ君 | 2008年7月27日 (日) 22時05分

めちゃ古い記事に書き込み失礼します。
派遣で働いてた時、モンスター上司いました。20〜30代のヒラ社員もすごい横暴でした。
日本がなくなる位のことがなければ会社は潰れない、自分達はクビにならない。仕事しなくて時間は有り余ってるから弱いモノイジメでもして時間潰しって楽しんでましたよ。

投稿: | 2016年4月 2日 (土) 01時35分

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