インフルエンザ予防接種は重症化を防ぐか?
MBSラジオでアナウンサーの人が、「インフルエンザの予防注射をしていたのにインフルエンザにかかっちゃったんです。インフルエンザの予防注射をするといつも調子が悪くなるけど予防注射したのに。」と言っていました。まったくそのとおりです。予防接種が効かなかったという話があちこちで飛び交っています。
さて、インフルエンザワクチンが効かないという記事について、次のような質問をいただきました。
ひとつ質問です。
インフルエンザの予防接種が効く、効かないというのはどんな基準に基づいて判断しているんでしょうか?
例えば、インフルエンザに罹ったか罹らなかったかという基準でしょうか。
それとも、罹ってもその症状が軽かったか重かったかという基準でしょうか。
または、完治するまでの期間が短いかどうかという基準でしょうか。
罹ったか罹らなかったかという基準では効かなかったとなっても、症状が軽くなるとか完治までの期間が短くなるという基準では効いているんであれば、予防接種が一概に無意味とは思えないんです。
どうなんでしょうか?
重要なご質問です。結論からいえば、どんな基準でも効かないということです。感染を防ぐことも、発病を防ぐことも、重症化をふせぐこともできないし、完治までの期間の短縮ものぞめないということです。
インフルエンザウイルスは、鼻やのどや気管の粘膜の細胞にだけもぐりこみ、寄生して繁殖するというウイルスです。空気中にただよっているウイルスを吸い込み、それが粘膜に付着することで感染するのです。粘膜細胞の中で繁殖したウイルスは、粘液といっしょに排出されます。血液を通過して感染するものではありません。
予防接種は血液中にワクチンを注射するわけですが、インフルエンザの場合は残念ながら血液中に免疫物質(抗体)はできても、かんじんの鼻や気管の粘膜には免疫物質(抗体)ができないのです。ですから、感染もふせげないし発病も重症化もふせげません。
一度インフルエンザにかかった人が次にはかかりにくくなるのは、鼻や気管の粘膜にも免疫物質(抗体)ができるからなのです。血液中の免疫物質(抗体)と粘膜中の免疫物質(抗体)とは、似てはいますがまったく別の種類のものなのです。
「そんなことはない。予防接種で感染はゼロにはできないが減るんだ。」とワクチンのメーカーのセールスマンは主張します。どれくらい効くのかというと、「100人に予防接種をすれば2人には効く」のだそうです。少なっ!。しかし、ウイルス学の専門化がいくら調べても「100人に予防接種をしても効いたのは0人だった」としかなりません。
「予防接種が重症化を防ぐ」というのは、よく聞かれる話なのですが実は全く根拠がありません。「予防接種を打ったのにインフルエンザにかかっちゃったじゃないか。」という苦情を言われた医者が、苦し紛れの弁解として、「もし打っていなかったら、もっと重症になっていたんだよ」とごまかすために作られた真っ赤な嘘なのです。不機嫌な患者をなんとかごまかしたい医者の気持ちはわかりますが、ウソはウソ。鰹節の産地偽装よりたちの悪いウソで、「ウソも方便」と許容することはできません。
「予防接種はインフルエンザへの感染は防げないが、インフルエンザ脳症の発生は防ぐのではないか」という言われ方もするのですが、これも根拠がありません。
インフルエンザウイルスが脳に入ることでインフルエンザ脳症が発生するのであれば、血液中の免疫物質(抗体)を増やす予防接種に効果が期待できるのかもしれません。しかし、インフルエンザ脳症では、別に脳にウイルスがまわっているわけではないのです。脳症はインフルエンザ以外の感染症で高熱が出た後にも発生する病気で、インフルエンザウイルスとは直接は関係がありません。
インフルエンザ脳症の原因については研究が続いていますが、世界中でインフルエンザが流行しても日本にだけ多いのがインフルエンザ脳症なので、ウイルスが原因というより、処方されている薬の副作用ではないかという見方が有力です。
非ステロイド系抗炎症解熱剤が脳症をおこすことは確実で、現在は投与が禁止されています。インフルエンザになって高熱が出たからと言って、薬局で買った解熱剤をむやみに飲むのは自殺行為に等しいのです。
タミフルが精神異常をひきおこすことが問題になり、未成年への使用が禁止されていますが、タミフルも新しいタイプの脳症の原因となります。
老人施設でインフルエンザの集団感染で死者がでたという事件がありましたが、これは看護・介護の体制がずさんであるとしか思えません。予防接種で重症化が防げるのなら、こんな事件は起きません。医師不足、看護師不足、介護職員不足のせいで、インフルエンザ程度の病気で死者がでるのです。
詳しくは、国立公衆衛生院疫学部感染症室長を務めていらっしゃった母里啓子さんが昨年に書かれた「インフルエンザワクチンは打たないで!」という本(双葉社)がわかりやすいですね。
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コメント
「薬屋さんに踊らされてはいけない」と
いつも子どもの小児科医師に言われたことを
思い出しました。
明快な回答に納得!というか同感!無意味、いや有害かもしれない薬で医療費を増大させる製薬資本と厚生省に喝!です。
インフルエンザに罹れば休養が一番、これをさせずに出勤させる社会(企業体質)が一番問題だと思います。結局、生産性をダウンさせることになると思いますが如何でしょう?
投稿: 朱鷺 | 2009年1月25日 (日) 21時37分
朱鷺さん
いつもブログに貴重なご意見をいただき、ありがとうございます。
ウイルスにさらされながら働く病院の現場の看護師たちのあいだでは、「予防接種は効くと思ったらあかんで。予防接種しててもインフルエンザにかかるで。みんな、毎日はやく寝なさい。とにかく休養をとって、インフルエンザにかかるのを防ぐのがプロの医療人なんだよ。」と叫ばれています。インフルエンザ対策としては休養が一番なのです。
インフルエンザが現代社会に蔓延する原因は、過労と貧困ではないでしょうか。
投稿: みるめ | 2009年1月26日 (月) 21時54分
今世間で騒がれているインフルエンザ予防接種、果たして効果ってあるの?と疑問をもってこちらの記事にいきつきました。
非常に目からうろこ、と言いますか私には衝撃的な内容でした。マスコミもなぜこのような事実を報道しないのか甚だ疑問です・・。
国民をだましてるとしか思えない医療機関、厚生省には怒りさえ覚えますね。
ご紹介頂いている本も是非読んでみようかと思います。ありがとうございました。
投稿: じょん | 2009年11月10日 (火) 21時44分
じょんさん、ご意見ありがとうございます。
私たちは病院の現場で働いていますが、私たちが知っている本当のことを口に出すのはたいへん難しいというのが現実です。様々な形で圧力がかかるのです。
効果のないワクチンを接種しようと厚生労働省がキャンペーンを行う裏で、ワクチン利権でがっぽりもうけている奴らがいるのです。そういう奴らはマスコミや医療学会さえも動かす権力と金力を持っているようですね。
とにかく、私たちは私たちがこの目で見たこと、知りえたことを、これからも発信し続けていくつもりです。
投稿: みるめ | 2009年11月10日 (火) 23時06分