製造業への派遣を禁止すると舛添大臣は言うけど
大量の派遣切りが連日のように強行されています。労働者派遣法をどうするのか、が論議の的になってきました。
我らがアイドルの舛添ダイジンは5日の記者会見で、個人的な意見として「製造業まで派遣労働を適用するのはいかがなものか」と製造業派遣を禁止する意向を明らかにしました。
労働者派遣法については、昨年の今頃にグッドウィルの違法な日雇い派遣が問題になり、一挙に議論が沸き起こりました。政府による改定案も出されました。
しかし、政府の改正案はまったくの骨抜きどころか、逆に派遣労働者にとって不利になるような内容も含まれていました。労働組合や弁護士や野党から「政府の骨抜き改正案ではなく、抜本的な改正を」という批判の嵐がおこりました。さらに、年末の大量派遣切りという事態におよんで、政府案では全く意味が無いことがあきらかになり、今回の舛添ダイジンの発言となったわけです。
一口に「抜本的改正」と言っても、じゃあ、どこまで改正したら「抜本的」と言えるのかは様々な意見があります。
私たちは、職業安定法の精神にたちかえって労働者派遣のありかたをもう一度考え直すことが必要なことではないかと思います。
職業安定法にはこう書いてあります。
労働者を直接に雇用せずに第三者が派遣するようなことは、本来は労働者供給事業と呼ばれ、全面的に禁止されているのです。例外として労働者供給事業を行うことができるのは労働組合であり、その場合も無償であることが条件となっています。
なぜ労働者供給事業が全面的に禁止されたのか、そこのところが重要です。それは、戦前にヤクザによる労働者からのピンはねや暴力支配がまかりとおったことへの深い反省から作られた法律なのです。
現在、あたりまえのようにまかりとおっている労働者派遣という制度は、この職業安定法に真っ向から違反しています。労働者派遣法では、派遣元会社と派遣先会社が厳しい許可条件をクリアした場合にのみ、派遣を許可することになっています。許可条件をクリアできない派遣は職業安定法で禁止された労働者供給事業であって、違法行為なのです。
私たちは、大量の派遣労働者が会社の好き勝手に解雇され路頭にまようという現在の事態を、もう一度深く反省しなければなりません。舛添ダイジンのおっしゃる「製造業派遣の禁止」だけでは不十分だと思います。製造業以外の業種でも派遣労働者が物品のように粗末に扱われている実態があるからです。
ここは職業安定法の原点にたちかえり、すべての業種について「派遣労働」は禁止とし、職業安定法第45条で許可された労働組合による場合のみに限定するべきではないでしょうか。
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コメント
こんにちは。
そうすることで雇用機会が奪われることはないのでしょうか?雇用は安定しても、そもそも職がなければ安定のしようがありません。
すでに派遣で多くの労働者が生活の糧を得ています。それが正しくても、現実に生活していけなければ意味はないように思います。
それともこんな心配は無用なんでしょうか?
投稿: れい | 2009年1月13日 (火) 16時02分
コメントありがとうございます。
いつも重要な点の質問をいただき、感謝しています。
ご質問の件については、手短にはなかなかお答えできません。実際、派遣の問題をどう考えるか、私たちも長い時間をかけて議論をしてきたし、今も議論が続いている状態だからです。
今後、少しずつブログの中で書いていきたいと思っていますので、よろしくお願いいたします。
投稿: みるめ | 2009年1月14日 (水) 21時01分