非正規、切るな!
本日14日、大阪府立学校非正規職員346人の解雇の撤回を求める抗議行動が、大阪府庁で行われました。
このままいけば、3月末で346人は解雇されてしまいます。教務補助という仕事をしている方たちで、学校で実施されるテストの印刷をいってに引き受けたり、理科の実験の準備をしたりといった仕事をしています。大阪府が全国水準よりも教員の数がすくないおかげで、このような補助員さんたちががんばって教育を支えてきたのです。
お正月には、学校の管理職の先生方から、「ぜひ働き続けてほしい」という年賀状がたくさん届いたそうです。ところが、橋下知事は学校現場の実態を無視して解雇を強行すると言っているのです。
大分県などでは、派遣切りをされた労働者を地方自治体が雇い入れて雇用を確保するということになっています。当然の対策です。そんなときに、大阪府では橋下知事みずからが大量解雇を強行するというのです。まるっきり逆ではありませんか。大阪府は、非正規切りを受けた労働者の失業対策として、いったいどんな手を打つつもりなのでしょうか。
12月末の報道によると、トヨタやキャノンなど日本を代表する大手製造業16社の内部留保が2002年から6年間に倍増し、33兆6000億円に達したとのことです。
大量の派遣切りを強行したキャノンなどは3兆7923億円の内部留保をもっています。
内部留保というのは、企業が内部にためこんでいる資産のことです。儲けのうちから役員への報酬や株主への配当を支払って、それでも残っている資本金のことです。
33兆円と言われても庶民には想像もつきません。一万円札は一枚が約1グラムですから、もし一万円札で33兆円を用意すると、その重さは330万キログラム、つまり3300トンとなります。ちょっと大きな10トントラックに積み込んでも330台が必要です。うーん、やっぱり想像がつかない量です。
なぜ、これだけの額をためこむことができたのかを、よーく考えて欲しいのです。正社員を減らして安い非正規労働者に置き換えてきたからではありませんか。
いくら世界的な金融恐慌が起きているからといって、これだけの資産をためこんできた大企業がたかだか時給1000円の派遣労働者をかたっぱしからクビにするなんて、必要ないはずです。会社がつぶれるから従業員を解雇するというのとは違うのです。する必要がない解雇なのです。便乗解雇なのです。これは真っ黒に違法な行為です。
非正規労働者の使い捨てを許してはいけません。府の行政の責任者たる知事が、今こそ何をするべきか、くだらないイデオロギーなど脱ぎ捨ててまじめに考えて欲しいのです。大企業の自分勝手な大量解雇を取り締まることすらできないで、改革改革などと弱弱しくつぶやいていても、なんの実効性もありません。
私たちは、繰り返し訴えます。橋下知事も企業経営者も、非正規労働者が人間であることを考えるべきです。生活と人生をかかえた人間が働いているのだということを強く認識すべきです。
そして直ちに大量解雇を撤回し、人々が安心できる経済再建にまじめに踏み出してほしいのです。
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コメント
日本的経営における内部留保は、蟻が冬を凌ぐ貯蔵食料のようなものですから、これに手をつけると、冬の途中で正社員まで犠牲になる危険がありますよ。企業が内部留保を増やすのは、いまが不安定な時代で経営者が生き残りに危機感を募らせているからに他なりません。
投稿: bobby | 2009年1月24日 (土) 14時09分
企業の内部留保の0.2%を使うだけで、非正規切りをせずにすむのですよ。0.2%を使うことで本当に企業の先行きが怪しくなるんですか。
また、働く人の三分の一が非正規という今の時代に、正社員だけ助かろうなんていう考えは通用しませんね。
世界経済を不安定化させたのは、新自由主義という妖怪です。一部の金持ち投資家や大企業の常軌を逸した利潤追求のために世界経済が危機に陥ったのです。
そろそろ、目を覚ますときだと思いますね。
投稿: みるめ | 2009年1月25日 (日) 18時52分
0.2%というのはどのような計算によるのですか。また非正規社員雇用コストの1か月分ですか、1年分ですか。計算内容と条件を教えてください。
投稿: bobby | 2009年1月25日 (日) 20時49分
内部留保が余っているお金かどうかはわかりません。銀行借り入れなどの大きな負債があれば、結局は相殺されてしまいます。
また、内部留保を不要な労働者の給料として支払うような、非合理的な行動を企業がとれば、(労働者の年金基金を含む)多くの投資家がそっぽを向いて株価が下がり、企業は市場からの資金調達ができなくなって金詰りを起こし、倒産してしまうでしょう。そうなれば派遣だけでなく、労働者全員が路頭に迷う事になります。
企業が不況時に人員調整が発生するのは合理的な行動であり、仕方のない事です。
投稿: bobby | 2009年2月 1日 (日) 01時51分
内部留保とは資本勘定に含まれる(利益)剰余金を指しているのですよね(資産サイドではなく)?
これを前提とすると、剰余金を労働者への支払(費用)に充てるために取り崩すというのは、基本的に決算を赤字にするということになります。
この金融環境下で赤字を放置するスタンスの企業があれば、株式市場・負債市場(銀行借入を含む)から締め出され事業を継続することが困難になると思われますが。。。
ちなみに、大きな内部留保があることと無借金であることは別のことです。
投稿: sumi | 2009年2月12日 (木) 22時53分
今回の記事には、多くのみなさまから貴重なご意見をたくさんいただいています。ありがとうございます。
企業の内部留保というのは、sumiさんのおっしゃるとおりに、資本勘定に含まれる剰余金などをさします。資産から負債(借金など)をさし引いた残りが資本勘定ですよね。
私たちは、内部留保のすべてを労働者の雇用のために使えなどと言っているのではないのですよ。たった0.2%でいいのです。内部留保のたった0.2%程度があれば、一年間の雇用継続が可能だということを言いたいのです。
有期雇用の労働者を期間満了よりも前に雇用契約解除することは、契約違反であり違法なことなのです。それなのに契約満了をまたずに「明日から来なくていい」と即日解雇するようなことが大規模に行われていることを、私たちは問題にしているのです。
「明日から仕事に来るな。社宅も三日以内に出て行け」こんな殺人的なことは、良識のある企業ならできないはずなのです。現実には、こんな鬼畜生のような解雇が日本全国で次から次へと発生しているのです。儲けるためとはいえ、何をしてもいいわけではないのです。
せめて期間満了までの猶予があってもいいのではないか。そのために必要な資金は内部留保のせいぜい0.2%でしかないんだよ。それが私たちの主張です。
いかがでしょうか。
投稿: みるめ | 2009年2月13日 (金) 00時20分
みるめさん
コメントありがとうございます。
労働法制に詳しくないためどこから違法かは正確に理解していませんが(不勉強ですみません)、違法な解雇は論外であることについては、その通りだと思いますし、もし仰っておられる趣旨が「解雇に際する雇用者への一定の配慮、例えば時間的猶予や金銭的補償が必要では?」ということであれば、十分に理解できます。
ただ、先のコメントの趣旨は、「内部留保をどうやって雇用者向けに取り崩すのかな?赤字にしろってこと?」というテクニカルかつ素朴なものでして。。。
しかし、なかなかバランスが難しい話ですね。かく言う私も(正社員でしたが)リストラにより現在失業/求職中です(だからこのような時間にPCを見れてます)。個人としてはもっと配慮が欲しいと思う面もありますが、構造的に需要が低下している以上結局のところ過剰な雇用は長期的に維持できないし、コスト調整の自由度を過度に縛った結果、日本の産業が地盤沈下や空洞化しては元も子もない、と思ったりもします。
最終的には企業が元気を取り戻さなければ根本的な解決にならないですし、政府にはそうなるような政策を速やかに講じて欲しいと願っていますが。。。無理かも。
投稿: | 2009年2月13日 (金) 12時00分
解雇が法的に問題ないかどうかということですが、まず、解雇には懲戒解雇と整理解雇があります。どちらの場合であっても、労働基準法は「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない解雇は無効」と定めています。
懲戒解雇は、働いている側に問題があるという場合に行う解雇です。この場合、労働者が悪いことをしたという理由で解雇するわけですから、それなりの理由が必要です。具体的なことがらを文書で示すことが必要です。「社風にあわなくて気に入らない」というような主観的な理由は認められません。
整理解雇は、人員整理のために企業側の都合で解雇するという場合です。なんらかの理由で事業を縮小しなければならないときに労働者を解雇するというものです。
この場合、四つの条件を満たさなければ違法となります。
一つ目。会社の維持存続のために整理解雇がどうしても必要であるという理由が必要です。
二つ目。解雇を回避する努力をしたという実績がなければだめです。あらゆる手をつくしたが整理解雇しかないんだということを具体的に示す必要があります。
三つ目。整理基準と人選の合理性が必要です。経営陣の主観的なえこひいきで誰を解雇するかを決めてはならないのです。誰にでも説明できる公平な基準が必要です。
四つ目。労働者への説明責任です。解雇される労働者にたいして、解雇理由や人選基準について納得できるような説明を行ったという実績が必要です。
以上の四つが、「整理解雇四用件」と呼ばれているものです。どれか一つでも満たしていない解雇は違法です。
さらに、パートや期間工、あるいは一年契約の派遣労働者の場合、契約満了を待たない整理解雇はまったく認められていません。短期間しか雇用を保証されない労働者は、そのかわりその期間中は絶対に会社都合で雇用を解約されることが許されないのです。
雇用期間満了の時に次回の契約を行わないという「雇い止め」の場合にどうなるかという問題があります。これも、例えば一年契約の雇用を十年間も引き続き繰り返してきたような場合には会社側が一方的に雇い止めを行うことは違法となります。会社が当事者とよく話し合って雇い止めの必要性や回避措置の実績や人選の公平性について説明する責任があります。
今現在、ほんの数ヶ月の間に40万人もの労働者が整理解雇されています。今日も明日も何千人もの人がクビになっているということを考えると、身がよじれるように苦しいのです。
「明日から来なくていい」と何の説明もなしにクビにされているような場合、これはあきらかに違法ですよね。
電気産業や自動車産業などの日本の根幹をなす製造業が売れなくなっているという大きな経済構造の変化をどう考えるかという問題もありますが、また場をあらためて話し合うことにしましょう。解決の道がないことではないと思います。世界を覆う金融危機は天災ではなく人災だと思います。
投稿: みるめ | 2009年2月13日 (金) 23時18分
派遣労働者の解雇が違法であれば、このブログ記事で社会へ訴えるよりも、派遣切りされた人たちと人権弁護士をマッチングさせて集団訴訟の支援をした方が効率的であると思います。しかしながら、これだけの派遣切りが行われていて、契約違反や法律違反の記事が新聞紙上を賑わさないのは、現在の解雇が合法だからではないかと推測する次第です。私も日本の労働法は詳しくないですが、みるめさんの指摘された整理解雇は企業による直接雇用の場合に適合するのではないでしょうか。派遣契約の場合、派遣先の企業と派遣労働者には直接的な雇用契約が無いでしょうから、実際には派遣契約を期間中に終了するという認識かと重います。契約書にそのようなオプションがあって、企業がそれを行使しているのであれば、それは契約違反とはいえないのではないかと思います。また、派遣労働者を解雇しているのは、実際には派遣会社であって、トヨタやキヤノンではない、というのが精確な表現かと思います。現在の派遣切りが合法的に行われているのであれば、「切るな」という要求を企業にするのは筋違いであって、派遣の法律を改正しろという要求を政府へ行うのが筋的に正しいのではないかと思います。また、不況時に企業が整理解雇するのは合理的な行動であって、社会が非難すべきものではありません。むしろ非難されるべきは、全国一斉に不況になるような産業構造を放置した政府ではないでしょうか。雇用は企業がつくり、企業は経済発展によって成長します。経済が発展しやすい、自由で透明度の高い産業構造をつくるようにする事が、我々が目を向けてゆかなければならない事かと思います。認識が間違っているようであればご指摘下さい。
投稿: bobby | 2009年2月28日 (土) 17時10分
コメントありがとうございます。
私たちがすでにパナソニックなどの大量解雇・企業犯罪に対して裁判で闘っていることは、このブログを注意深く読んでいる皆様にはすでにご存知のことと思います。ブログに自分の意見を書き連ねているだけで企業犯罪をなくすことができるはずはありませんね。なかまユニオンが違法解雇をなくしていくための主要な活動フィールドは、企業との団体交渉であり、裁判の法廷であり、労働者と直接顔をつき合わせて対話するさまざまなイベントです。
「法律違反であるという記事が新聞をにぎわしていないから解雇が合法だ」というbobbyさんのご意見は、残念ながらまったく間違っていますね。
2月27日、厚生労働省は「労働関係法制度をめぐる教育の在り方に関する研究会報告」を発表しました。報告の要点は、日本の労働者が労働法をあまりに知らなさすぎることが問題だということです。労働法に関する教育が社会生活をしていくうえでは必要不可欠なのに、それを国が怠ってきたのです。実際、学校で労働法なんて全然おしえてくれませんからね、日本では。
違法な解雇をされても当人が違法だと気付いて主張しない限り、新聞沙汰になることなどありません。日本では労働関係の問題は、当人が申し立てるか、労働組合が申し立てるかしない限り社会問題として取上げられることはありません。
解雇の違法性が新聞にあまり取上げられていないのは、労働法教育の遅れが原因だと思いますね。新聞記者でも知らない人が多いわけですから。
派遣労働者が解雇された場合に責任があるのは派遣会社であって派遣先企業ではないというbobbyさんの考え方は、なんとも素朴な考えですが、まちがっています。
派遣労働者の雇用責任は、その人を働かせて利益を得ている派遣先企業にあるのですよ。派遣会社は派遣先企業と労働者との三者契約に基づいて人事業務を代行しているにすぎません。
パナソニックPDPの吉岡さんが不当解雇撤回を求めている裁判で、大阪高等裁判所が「吉岡さんが請負・派遣で働いていた時期にさかのぼって、直接雇用していたものとみなす」という判決を出したことにもあらわれています。
ただ、このあたりの事情は、職業安定法と労働者派遣法をよほどよく読んで見ないとわかりにくいことなので、別の機会に書きたいと思います。
投稿: みるめ | 2009年3月10日 (火) 14時22分
厚生労働省の人材派遣会社に対する資産要件変更は雇用破壊へ
◆“偽装特定派遣”を懸念
平成21年10月に実施予定されている派遣業の資産要件の変更は、80%以上の派遣会社を縮小か廃業に追い込みます。それは何を意味するでしょう。次の雇用先があれば問題も最小限に止どまりますが、今は“100年に1度”と言われる雇用危機です。この雇用危機に、更に追い討ちをかけるのが厚生労働省の資産要件の変更です。今後、一般派遣(登録型)は新規登録や更新ができず、特定派遣(常用型)に切り替えてきます。なぜなら、常時雇用型は資産要件が無いためです。しかし、果たしてそれでいいのでしょうか。特定派遣の許可の下、一般派遣を行う行為が横行するのが目に見えています。一般派遣会社が減り、偽装特定派遣会社が横行することが懸念されます。厚生労働省は今回の介護基準切替えについてシミュレーションもせず、厚労省の論理で物事を運んでいます。労働者の為になる行政を期待したいものです。
詳細は下記のブログをご覧下さい
◆人事総務部ブログ&リンク集
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投稿: 人事総務部-ブログ&リンク集- | 2009年4月20日 (月) 00時22分