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新型インフルエンザ・ウイルスよりパニックのほうが怖い

 新型インフルエンザA(H1N1)のことで日本全国の病院でパニックになる人が多発しています。メキシコで発生したいわゆる豚インフルエンザの騒動です。

 こわいですよ。病院関係者の中でも、新型インフルエンザについて正確な情報を勉強することなく、風評パニックに陥っている愚か者がたくさんいるのです。

 「最近外国に行った人が風邪の症状があらわれた場合、病院では診察しません」というようなおかしな事態がすでに発生しています。厚生労働省が指定している「新型インフルエンザが蔓延している国または地域」は今のところメキシコ・アメリカ・カナダの三ヶ国です。ところが、インフルエンザパニックに陥っている人は「外国人はすべて危険だ。外国に旅行した人間はすべて危険だ」と言って、インフルエンザとは関係ない地域に行った人であっても、むやみやたらと病院からしめだそうとしているのです

 患者を守る立場の医療人である本分を忘れて、まったく関係ない患者までも死神のように恐れて攻撃するやつが現実にあらわれてきていることが、本当に危険なことなのです。

 厚生労働省が呼びかけているのは、今のところメキシコ・アメリカ・カナダの三カ国から帰国して10日以内に風邪症状がでたら、保健所に連絡してくれということです。

 新型インフルエンザA(H1N1)ですが、症状は通常の風邪とかわりありません。

 メキシコでインフルエンザによる死者が大量に出たということが今回の騒動の発端なのですが、メキシコのインフルエンザ死者は、免疫力が落ちるHIV感染者(エイズ患者)や糖尿病患者が多いのです。もともと病気をもっていて抵抗力が落ちた人は単なる風邪でも命をおとすことがあります。要注意なのはまちがいないですよね。でも、それは豚インフルエンザが強毒性だということではありません。

 また、高熱がでたのに二週間も病院にいかずに放置したために肺炎をおこして死亡したというケースもあります。これは、メキシコの医療体制の貧困さを示しています。貧困層が病院にかかれないような国だから、たかがインフルエンザで死者が続出するのです。

 何千万人もの死者をだした1918年のスペイン風邪のことをひきあいに出して、スペイン風邪と同じH1N1型の豚インフルエンザウイルスは強毒性だと言う無責任な人が今でもいるのは、たいへん情けないことです。医療体制も崩壊した第一次世界大戦の戦場で流行したスペイン風邪のような災厄を繰り返したくないのなら、戦争と貧困を世界からなくすことのほうが先決なのです。

 すさまじいのは、「豚肉を食べると豚インフルエンザにかかる」などというでたらめをいまだに信じている人がいることです。インフルエンザウイルスは、動物の気道粘膜の中でしか生きることができません。ですから、空気中のウイルスを吸い込んで気道粘膜に付着することで感染するのです。豚肉の中にインフルエンザウイルスが混ざっていることはありえません。また、かりにインフルエンザウイルスが豚肉に入っていても、豚肉は火を通して食べる食材なのでウイルスは死滅してしまいます。かりに豚の生肉を食べても、胃袋をはじめとする消化管ではインフルエンザウイルスは繁殖しません。豚肉でインフルエンザに感染することなどありえません

 こわいのは、新型インフルエンザウイルスよりも、インフルエンザパニックです。舛添大臣もずいぶんパニックにおちいっていましたよね。「みなさん、冷静に!冷静に!」って深夜に記者会見してましたけど、冷静になってほしいのは舛添大臣のほうです。睡眠不足はインフルエンザ感染のリスクを高めますよ。

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