寒くなってインフルエンザで大騒ぎの病院現場

　１１月になってずいぶん気温が下がりました。季節は冬へと向かっていきます。

　１０月の下旬から、私たちの働く病院にもインフルエンザの患者がたくさんいらっしゃっています。たいへんな騒ぎです。ニュースでも報道されているとうり、子どもさんの患者が多いのです。

　私たちの働く病院では、重症なインフルエンザ患者はあまり見かけません。診療現場の経験からいうと、今回の「新型インフルエンザ」(インフルエンザ2009H1N1)は、症状が弱いですね。全く発熱していないお子さんが咳が出るからというので病院に来られ、念のために検査をしてみたらインフルエンザにかかっていたというケースもあります。インフルエンザの最大の特徴といわれる高熱を伴わないケースです。

　感染しても発病しない人がそうとういるのも確実です。こういうのを不顕性感染といいます。インフルエンザで高熱を出して咳をしている子どもにずっと付きっ切りで看病している母親がインフルエンザに感染しないわけはないのですが、そんな人でもまったく発病しないという例が多いのです。

　日本の社会では、すでに「新型インフルエンザ」に感染してしまったが発病しなかったという人がいくらでもいるのだと思われます。「新型インフルエンザの予防接種のワクチン」が不足しているといまさら大騒ぎしているのですが、すでに流行してみんなが感染してしまっている伝染病の予防接種をすることには何の意味もありませんよね。

　今回の「新型インフルエンザ」は子どもが多く発病し、年齢が高くなるほど発病しないというのが医療現場の経験です。年齢が高くなるほどすでに免疫を持っている人が多いわけです。このことから、やはり「新型インフルエンザ」と言われているものは新型でもなんでもなく、昔すでに流行したことがあるインフルエンザの季節はずれ再流行だろうといえます。

　病院が困っているのは、インフルエンザの予防接種をしてくれという人が大量に押しかけてきているということです。「新型インフルエンザ」ではなく「季節性インフルエンザ」の予防接種が始まっているのですが、ワクチンがそもそも不足しているので、予防接種希望者全員にはまったくもっていきわたらないのです。予防接種をお断りすることに手をとられるあまりに、救急患者の対応が遅れるというような弊害すら発生しています。　「〇〇医院にワクチンは無いと言われたから、ここに来てみた。この病院にもワクチンが無いのか。いったいどこにいったらあるんだ」などと病院の受付職員に声を荒立てて詰め寄る人がいるのです。たいへんお気の毒ですが、世界中探しても無いものは無いのです。

　インフルエンザの予防接種は「新型」であれ「季節性」であれ、そもそも効果が無いものです。「二回打った方がいいか、一回でいいか」などと議論が盛り上がっていますが、どちらも効果は限りなくゼロに近いのです。ゼロとゼロを比べても何の意味もありません。ゼロ引くゼロはゼロだし、ゼロ割るゼロは意味をもちません。

　むしろ、解熱剤やタミフルによる薬害が大量に発生しないかのほうが気がかりです。医薬ビジランスセンターや薬害タミフル脳症被害者の会が厚労省に申し入れを行っています。

タミフルと突然死の因果関係を「否定できない」と厚労省担当官