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仕事中に客に殴られたら、やはり労災です

 次のようなお問い合わせをいただきました。

 飲食店のチェーン店で店長をしています。酔った客から「店長出て来い」と言われて出て行ったところ、殴られてケガをして病院に行きました。労災になるでしょうか。会社は「お前の対応が悪いから殴られたんだ。労災じゃない」と言いますが。

 たいへんでしたね。結論から言いますと、これは明らかに労災ですね。

 業務上のケガが労災と認定されるには、業務とケガとのあいだに「二重の因果関係」が認められる必要があります。二重の因果関係とは、「業務遂行性」と「業務起因性」です。

 まず、業務遂行性ですね。これは、「労働者が労働契約に基づき事業主の支配下にあること」という条件です。つまり「業務中だったかどうか」です。労働者が、業務とは関係なく自分で勝手にケガをした場合は、業務遂行性が無いということになります。会社内で業務時間中に発生したケガはほとんどが業務遂行性があるとみなされ、労災の対象となります。

 事業主の支配下にあるかどうかが問題になるのは、労働者が出張で会社の外にいるときにケガをした場合ですね。事業主の支配が職場の外にまで及んでいたかどうかが問題になるのです。店長さんの場合は仕事中にお店の中で殴られたわけですから、業務遂行性は認められるわけです。もし、酔った客にお店の外に連れ出されて殴られたのだとしても、トラブルの発端がお店の中、つまり職場にある場合には、因果関係は成立しているのです。

 次に業務起因性です。これは「労働者が労働契約に基づき事業主の支配下にあることに伴う危険が現実化したものと経験則上認められること」という条件です。

 長い文章なので、なんのこっちゃという感じですが、要するに「ケガの原因が業務の内容と関係あるかどうか」ということです

 たとえば、業務中の休憩時間に私用で裁縫をしていてケガをしても、これは労災にはなりませんよということです。

 店長さんの場合には、店長という業務上の責任があったから、不機嫌な酔っ払いの対応をせざるをえなかったわけですよね。仕事でなければ酔っ払いに自ら近づくことなどありえません。お店でアルコールを提供するようなお店においては、酔っ払いとのトラブルはもともと業務に伴う危険性なのです。どんなに上手に対応しても、殴られるときには殴られます。だから、これは業務起因性があると認められるのです。

 「殴った奴が悪いのだから労災じゃない」と会社が主張するとしたら、大きなまちがいです。業務中に業務によって発生した災害ならば加害者がいても労災は労災なのです。もちろん、このような場合、加害者が特定できている場合には労災保険が加害者に対して損害賠償請求の裁判を起こすことになるでしょうね。

 下記の画像は本文とはなんの関係もありません。中川家がよくものまねしている某私鉄の風景です。

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仕事が原因のケガ・病気は労災です」カテゴリの記事

コメント

 おもしろい記事に敬意を表します。
 余計なお世話かもしれませんが、言葉の使い方がちょっと正確ではありません。
 正確に言えば、「二重の因果関係」とは業務起因性の中の「業務と有害因子の因果関係」「有害因子と発症の因果関係」の二つのことです。
 殴られてケガをしたような場合は問題になりませんが、業務上の有害物質への被曝の場合などに二重の因果関係が厳密に追及されることになります。
 さらなる奮闘を期待しております。がんばってください。
 
 

投稿: RIC友 | 2010年10月 1日 (金) 00時11分

 重要なご指摘、ありがとうございます。今後ともご指導よろしくお願いいたします。

投稿: みるめ | 2010年10月 3日 (日) 18時38分

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