会社都合の退職なのに「一身上の都合」と書かせるのは不当です
つぎのようなお問い合わせをいただきました。
半年契約のパートです。会社側から次の契約更新はないと言われて、仕方なく退職することになりました。ところが、会社が離職票の書類を持ってきて「一身上の都合で退職します」と記入してサインしてハンコを押せというのです。自己都合退職じゃないのに、こんなもの書かなくてはいけないのでしょうか。
退職時の手続きに関する問題ですね。契約更新が無くて職を失うだけでもたいへんなのに、さらにややこしい悩みをかかえたわけですね。
結論から言って、こんなものは書く必要がありません。そもそも、離職票というものは、事業所が必要なところをすべて記入してから本人にわたすものです。本人が記入する「退職理由」の欄がありますが、これは事業所が記入し終わったあとで、ハローワークにもって行く前に本人が記入するところです。
事業所が、完成させていない離職票の紙に「一身上の都合で退職します」などという事実と違う退職理由を書いてハンコを押せなどということは、まったくもって不当なことです。
「一身上の都合で退職」となると、自己都合退職の扱いになります。会社が契約更新を行なわなくて退職した場合は会社都合退職の扱いになります。何が違うかと言うと、退職後の失業保険の給付条件が違うのです。自己都合退職のほうが会社都合退職よりも不利になってしまいます。
会社の都合で雇い止めをしておいて、自己都合退職扱いにしてしまおうという会社がときどきありますが、これは全くもって不当なことなのです。
労働者のほうから「こんな会社辞めてやる」と辞表を出した場合でも、その理由が会社の落ち度であれば会社都合退職です。職場のパワハラやいじめ、健康を害するような労働環境、応じることができるはずのない配転などがあった場合は、会社都合退職でよいということになっています。
心配しなくても、退職する本人が何も書かなくても、会社には退職後十日以内に離職票を発行する義務があります。事実と違うことを書けと言われても無視してかまいません。それで離職票を発行してくれなかったら、ハローワークに訴えたらいいのです。ハローワークからその会社に対してきついお灸がすえられることになります。
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コメント
今年は暑すぎてアサガオがうまく咲きませんね。咲いてもすぐにしぼんでしまいます。
しかし、なかまユニオンはしぼまないでいきましょう。
投稿: AKB64 | 2010年9月 7日 (火) 20時25分