精神疾患の労災申請では「発症日」をまちがえないように
業務上のストレスで精神疾患を発症し、労災申請をしているという方とお会いする機会がありました。誰でもが知っているような有名な企業の方でした。
仕事のストレスで精神疾患になってしまったというのは、たいへんお気の毒です。お話を聞いてみると、労災であるのは間違いないようでした。ところが、実際には労災認定が難航しているのです。
それは、精神疾患の労災認定基準が不完全だからです。認定基準が不完全なところを、きちんと補いながら業務との因果関係を立証していかないと、認定されないのです。
おそらく、日本中で、ものすごくたくさんの労働者が精神疾患の労災申請をして、かたっぱしから却下されているのだと思われます。
職場で精神的ストレスのかかる出来事が始まると、まずは「めまい」とか「下痢」とかの身体症状があらわれます。自律神経が失調するからです。このストレスが弱くて一過性のものであれば、これらの症状は次第に回復していきます。精神疾患にまでは至りません。
ところが、ストレスのかかる出来事が反復して繰り返される場合、これらの症状は悪化したり回復したりをくりかえしながら、だんだん悪くなる傾向を示します。
そして、そうしているうちに何かの出来事がきっかけで、ガクッと悪化する時がやってきます。「起き上がることもできないような抑うつ」や「耐え切れない不安」や「どうしても抑えきれないような感情発作」などがあらわれ、仕事に出て行けないような状態になります。あるいは、「幻聴・幻覚」「記憶喪失」「体の一部が動かせない」などの症状が出てくることもあり、社会生活に差し障りがでてきます。
そうなると精神疾患を発症したということになるわけです。
労災認定基準では、「精神疾患発症日からさかのぼって6ヶ月間に、業務上のストレスがあれば労災として認めます」ということになっています。ですから、いつが発症日かということが大切なのです。
多くの方が、「最初に体調不良を感じた日」を発症日として申請してしまいます。最初に体調不良を感じた日は、ストレスがかかり始めた時期に一致することが多いからです。でも、それは間違いです。
最初に体調不良を感じた段階では、実際には精神疾患にまではいたっていないことがほとんどなのです。一時的な不安感、一時的な抑うつ感、めまい、下痢、こんなことは健康な人でもよくあることで、精神疾患とは言えないのです。
そして問題は、最初に体調不良を感じた日からさかのぼって6ヶ月前の期間には、ストレスになる出来事はまだあまり発生していないということなのです。だから労災認定が却下されてしまうのです。
精神疾患の労災申請をする上では、発症日をまちがいなく正確に申請することが大切です。通常の生活でもよくあるような体調不良ではなく、本格的な精神疾患の発生した日を発症日としなくてはいけません。
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