映画「三池・終わらない炭鉱(やま)の物語」
本日、大阪市内のエル・オオサカで、「三池・終わらない炭鉱(やま)の物語」の上映会が行なわれました。
福岡県大牟田市にある三池炭鉱、その歴史は江戸時代にさかのぼります。明治6年に当時の明治政府の官営炭鉱として本格的に操業し、日本の近代化、資本主義化の最先端のエネルギー産業として国策のもとに発展しました。労働者が徴兵によって引っこ抜かれた15年戦争(日中・太平洋戦争)当時は、朝鮮や中国など植民地からの強制労働によって操業が維持されました。
戦後は、日本最大・最強の労働組合、三池炭鉱労組が結成されました。三池炭鉱労組は労働者が安全に働ける労働条件を次々に実現していきました。中間管理職によるエコヒイキを撤廃させることに成功しました。そして、決して無理な操業をさせないために、掘削機械のスピードの上限も決めさせました。
組合つぶしをしなければ利益が出せないと判断した三井資本は、1959年に労働組合の中心人物の指名解雇攻撃にふみきりました。この攻撃に対して、1960年に三池炭鉱労組は無期限ストライキに突入しました。有名な「三池争議」です。
会社側は、労働組合を切り崩し分裂させ「第二組合」を結成することによって、三池炭鉱労組をつぶしにかかりました。三池炭鉱労組は労働組合総評議会(総評)の支援をえて、毎日一万人の支援者が全国から押しかけるようになりました。それは資本と労働との全面戦争の一歩手前まで発展しました。有名な「ホッパー決戦」です。
全国産業別組織である炭労が苦渋の末に決戦回避を決断し、流血の内戦状態は回避されました。三池炭鉱労組は成果が上がらないままにストライキを収束させました。
しかし、そのあとの1963年、会社側の無理な生産増強がたたって炭鉱内で爆発事故が発生、458人が死亡し、839人がCO(一酸化炭素)中毒でたいへんな脳障害をひきおこされました。
そして1997年、三池炭鉱は閉山となったのです。良質な石炭がまだ不知火海の海底にたくさん眠ったままなのにです。
この映画が優れているのは、三池炭鉱に関わりながら生きてきて、今も生き続けている様々な人たちの生の声にリアルに迫っていくことです。
強制労働された中国人やアメリカ軍捕虜の証言。そして三池争議を闘った三池炭鉱労働組合の人だけではなく、第二組合を結成した人や、第二組合を結成させた三井の会社の人。その赤裸々な証言は、決して語られることの無かった歴史の隠された事実が明るみにされる瞬間です。ぞくぞくしてきます。
そして、CO中毒で脳に重篤な障害を持ってしまった被害者とその家族の生々しい場面。普通は絶対に見ることができないような場面です。それは、悲惨な重苦しさを通り越して、どこかユーモラスでさえあります。どん底を生き抜いてきた人だけが持つ、清らかな明るさを感じました。
これは、これからの労働組合を語る上で、どうしても見ておかなければならない映画だと思います。
くわしくは、映画のウェブサイトをごらんになってください。DVDも発売されています。
また、「三池争議から50年」の展示会がエル・オオサカ4階のエル・ライブラリーで行なわれています。当時の生々しいポスターや資料の実物を手にとって見ることができます。12月18日までですので、お早めにごらんになってください。
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