職場でバレンタインのチョコを強制されたら?
次のような問い合わせをいただきました。
バレンタインデーのことです。うちの上司が、部署の女子職員全員に、「社長には絶対にチョコレートをあげること」と勝手に決めて、いやがっている人を「何かんがえてるんだ」と大きな声でしかりつけるのです。社長なんて、仕事では全然接点がないのにです。しかたなく、みんなチョコレートを買ってきてプレゼントしました。どうにかなりませんか。
あー。笑っちゃえる話ですが、当人にとっては深刻な問題ですよね。
まず、バレンタインデーのチョコのプレゼントというのは、完全に個人の自由でする行為のはずです。誰にもチョコをあげない人もいるだろうし、本当に好きな一人の人だけにしかあげない人だっていますよね。個人の信条の自由です。
義理チョコというのは、特別に好きなわけではなくても、日ごろお世話になっている人にチョコをプレゼントするということです。これは、たいへん日本的な習慣ですよね。年賀状とかお歳暮とかと似ています。
しかし、義理チョコをするにしても、通常は直接的に交友関係のある人や直接にお世話になった人ぐらいでいいはずです。業務上で接点のない社長にまでチョコをプレゼントするというのは、逆に「何の下心があるんだ?」と不審に思われそうですよね。
お問い合わせの方の場合、上司が部署の女子職員全員に社長に対するチョコの贈与を強制したということになります。いやがる職員に対して職権をふりかざして、不必要な出費を迫り信条の自由を踏みにじったわけですから、これは立派なパワーハラスメントになります。お問い合わせだけからではわかりませんが、同時にセクシャルハラスメントも発生している恐れがあります。
問題は、この上司はいったい何のためにこんなことをするのだろうかということですね。おそらくは、社長から「君のところの女子職員が全員チョコをくれたよ。社長への忠誠心があるねえ。」とほめられることを期待しているのでしょうね。
この上司、ほめられるネタがそんなことしかないのでしょうか。そっちのほうが気になりますよね。
「どうにかなりませんか」というお問い合わせに回答になったかどうかわかりませんが、その上司が業務上でも成果をあげて社長にほめてもらえることを切実に願います。
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コメント
【365日 働くルール】
Q:バレンタインデーで女性がプレゼントを強要されます。
A:二重に違法です。こういう慣習はなくした方がいいですね。
★【解説】
(1)お中元・お歳暮・年賀状などと同じで、バレンタインデーのプレゼントも、あくまで自由かつ自発的な行為のはずです。
職場で強要するのは、従業員に法律・契約上の理由がないのに経済的負担を負わせるものであり、違法です。(会社経費で出されるなら問題ないですが。)
(2)ましてやバレンタインデーの場合、女性が男性へ贈る一方通行なので、女性だけに義務を課すという点で不平等です。
また、男性へ好意を示すことと結びついているために、強要の内容によってはセクシャルハラスメント(セクハラ)に該当します。
いわゆる「環境型セクハラ」です。
目くじらを立てるほどではない、という人もいると思います。しかし、職場によっては、心理的にも金銭的にも女性に重圧を与えている場合もあるようです。
職場の慣習を、見直してみてはどうでしょうか?
★【関係する法律】
男女雇用機会均等法11条(セクハラ防止の義務)
★【労働組合から一言】
会社がコミュニケーションのためだと容認するのなら、ちゃんと会社がコストを払ってやるべきですね。
基本的に会社のことは8時間以内でかつ会社負担で行われるべきでしょう。そうした上で、より効果的な制度をみんなでかんがえていく、そんな職場にしたいですね。
投稿: 奈労連・一般労組 上田 | 2011年2月27日 (日) 23時44分
奈労連・一般労組 上田さん。的確なコメントありがとうございました。
投稿: みるめ | 2011年2月28日 (月) 21時57分