今年のインフルエンザのこと
本日、大阪はめずらしく雪が降りました。
さて、インフルエンザ予防接種についてのお問い合わせをたくさんいただいています。「今年の予防接種は効いたのか」、「今からでも接種をしたほうがいいのか」、などです。
私たち医療機関に働く者の昨年冬までの経験では、インフルエンザ予防接種は効果がありません。予防接種をした人が次々にインフルエンザにかかったという現実があるからです。「今年こそは効くだろう」という期待はずっと裏切られ続けてきました。
この冬はどういうわけか、大阪ではインフルエンザがあまり流行していません。九州や関東では流行しているのです。しかし、私たちの身の周りでは一月に入ったあたりからボチボチとインフルエンザの患者が病院にやってきますが、大きな流行はしていません。おなかの調子が悪くなるタイプの風邪がはやっていますが、インフルエンザではないようです。
インフルエンザにかかる人がそもそも少ないので、予防接種が効果があったかどうかは今のところわかりません。
製薬会社としては、新しいタイプの抗インフルエンザ薬を開発して大量に売れるのではないかと期待していたようですが、はずれたようです。
さて、ちょっと別の話です。
「風邪をひいたのだが、インフルエンザではないことを証明してくれ。そうでないと会社に出勤できない」と言ってくる患者さんがいらっしゃるのですが、困ったことです。なぜなら、「インフルエンザではない」という証明は不可能だからです。
症状からでは、インフルエンザとそうでない風邪は識別できません。インフルエンザは高熱が出ると言われていますが、そうでない場合もあります。
たいていの病院で行なわれているインフルエンザの簡易検査というのは、インフルエンザウイルスそのものを検出する検査ではありません。インフルエンザウイルスが体内に入ると、体がウイルスに対する免疫物質を生産するのですが、それを検出する検査なのです。
ですから、インフルエンザが治り始めたときにやっと検出されます。症状が出てもすぐには検出されません。一回の検査で検出されなくても、翌日に再検査すれば検出されることがよくあるのです。ですから、一回の検査で検出されなかったからといって、「インフルエンザではない」という断定は不可能なのです。
というか、風邪症状があって熱が出てしんどいんなら、インフルエンザであっても、そうでなくても、会社を休んでゆっくり休養したほうがいいですよね。仕事を休んでいられないという強迫観念があるのでしょうが、風邪は万病のもと、休養こそが大切です。抗ウイルス薬や風邪薬にはあまりたよらないほうがいいですよ。
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