福島原発・核爆発はなくっても
次のようなお問い合わせをいただきました。
福島原発事故ですが、核爆発の心配はないんですか。
核爆発というのは、広島や長崎のような原爆が爆発するような状態ですね。福島原発では核爆発の可能性はほとんど無いと思われますが、だからと言って安心できるわけではありません。
チェルノブイリ原発事故のときは、炉心溶融(メルトダウン)に続いて大規模な爆発が発生したのですが、この爆発は当時のソ連政府の発表では水素爆発と水蒸気爆発でした。ただ、研究者の中には小規模な核爆発が起きていたという人もいます。
核爆発は、核燃料の濃度がかなり高くないと起こりません。核爆発を目的として作られる原爆のウランやプルトニウムは99%というような高濃度のものです。日本の原発の核燃料の濃度では、通常は核爆発はおきません。
たとえ核爆発がおきなくても、「再臨界」が発生する可能性はあります。福島原発では、地震直後の緊急炉心停止によって核分裂反応は止まっています。再臨界とは、いったんは止まった核分裂連鎖反応が再開することです。メルトダウンによって制御棒が破壊されれば、再臨界の可能性が出てきます。
福島第一原発2号機のように、格納容器の一部が破損して密閉ができなくなっている状態で再臨界がおこればどうなるでしょうか。密閉されていない屋外で核燃料を燃やすようなもので、現在とは比べ物にならないくらいの放射性物質が放出されると思われます。
また、再臨界が起きなくても、メルトダウンした核燃料が容器を溶かして外に流れ出た場合には、水とふれて大爆発する水蒸気爆発の可能性があります。この場合も、ウランやプルトニウムも含めて大量の放射性物質が飛び散ることになります。
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