福島原発・核爆発の心配をする方がたくさんいらっしゃいますが
福島原発事故ですが、「核爆発のおそれはないのか」というお問い合わせがたくさん寄せられています。
「チェルノブイリ事故は核爆発だったのではないか。チェルノブイリみたいになると言っていた人もいるから、核爆発が起きるのではないか」とおっしゃる方もいらっしゃいます。
みんなの不安の大きさがわかります。なにしろテレビのニュース解説者はいかにもウソっぽい人が多いですからね。国民をごまかそうとしているのがありありとわかります。あんなのを見るたびに不安が倍増します。
結論から言って、核爆発のおそれは無いと言ってかまわないと思います。広島や長崎の原爆のような爆発はおきません。
チェルノブイリ原発事故ですが、「核爆発が発生した」とおっしゃっている研究者が存在するのは事実です。しかし、それは「即発臨界」=「原子炉暴走」のことを「核爆発のようなもの」と表現しているように見受けられます。
「即発臨界」って、なんのこっちゃという感じですが、原子炉内で核分裂反応が起きるとき、通常の原発の運転では「遅発臨界」といって、ゆっくり反応が進むのです。
これが、反応を抑制するようなブレーキがこわれてしまうと、一万分の一秒という短時間で核分裂が燃え広がる「即発臨界」が発生するのです。
「即発臨界」は人間の手でコントロールできない状態なので「原子炉暴走」と呼ばれています。
チェルノブイリ原発事故では、原子炉運転中の不手際な実験のせいで原発内部のコントロールが不能になり、「即発臨界」=「原子炉暴走」が起きました。そのせいで急激に炉心が高熱になりメルトダウンし、核燃料が溶けて発生した水素の爆発と、水が急激に熱せられて起きる水蒸気爆発とがあいついで発生したのだといわれています。
このとき、核燃料そのものが溶けて溶岩のようになったものが周辺地域に飛び散りました。さらに事態を深刻にしたのは、当時のソ連の原子炉は「黒鉛炉」だったということです。「黒鉛炉」は原子炉に黒鉛、つまり炭を大量に使います。チェルノブイリ事故では、この炭に火がついて大火災が発生しました。そのため、高度一万メートルまで放射性物質が吹き上げられ、世界中に放射性物質が拡がりました。
福島原発には、黒鉛=炭は使われていません。これは不幸中の幸いです。
しかし、現在の福島原発では多大な努力にもかかわらず、大きな水蒸気爆発が発生して炉心が破壊され、大量の放射性物質が出てくる可能性がいまだにあります。
密閉されていない屋外での核燃料の再臨界の可能性もあります。
チェルノブイリ事故は核事故のレベル7とされています。最もレベルが高い事故です。福島原発事故は、今のところレベル5となっています。これはスリーマイル事故と同じです。今後、なんらかの事態で大量の放射性物質の排出があれば、レベル6に引き上げられる可能性があると思います。
ですから、核爆発がないからといって安心はできません。妊娠初期の方、小さなお子さんは、特に放射線障害を受けやすいので、福島原発からできるだけ遠くに避難することが望ましいと思います。そなえあれば憂いなしです。
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