福島原発・原発からの放射能って、どんなもの?
次のような質問をいただきました。
放射能って何ですか。あびたら、いったいどうなりますか。
福島原発から放射能が出ていると言われていますが、これは正確には放射性物質が空気中に放出されているというほうがいいですね。放射性物質というのは、原子核から放射線を出す物質のことです。
原子炉の内部の圧力を下げるために、原子炉内部の蒸気を人為的に放出しました。この蒸気に放射性物質が混ざっています。また、2号機では格納容器の一部が破損しているため、ここからも放射性物質が出てきます。
原発から出てくる放射性物質にはいろんな種類があります。
まず一つ目は、放射性不活性ガスといわれるものです。放射性キセノンと放射性クリプトンです。これらは、常温で気体なので真っ先に出てきます。マスクでも止めることができません。このようなガスを吸い込むと、肺の中が被曝するおそれがあります。ただ、幸いなことにこれらのガスは人体内に吸収されることがありません。肺の中に入っても血液中には入らないのです。ですから、人体への影響は比較的すくないのです。
二つ目は、放射性ヨウ素です。これは、目に見えないほど細かいチリとして空気中を漂ってくると考えられます。花粉と同じで、マスクで止めることができます。ヨウ素は、ヨードチンキとかイソジンうがい液とか、殺菌剤として身近に使われている物質です。ヨウ素は、人間にとって必要な栄養素の一つです。ですから、放射性ヨウ素を吸い込むと、喉から胃に入り体内に吸収されてしまいます。
ヨウ素はのどにある甲状腺に集まるという性質があります。チェルノブイリ原発事故の時には、子どもの甲状腺癌が多発しました。大人はヨウ素の吸収が少ないので、子どもに比べて影響が少ないそうです。
放射性ヨウ素は、一週間から一ヶ月もすると、かなり減少してしまいます。
放射性ヨウ素を吸い込んでしまったら、ヨウ化カリウムを飲むと影響を最小限にとどめることができます。放射性でないヨウ素が体内に大量にはいり飽和状態になることで、放射性ヨウ素を尿から排出する作用があります。
三つ目は、放射性ストロンチウムと放射性セシウムです。これらは重い金属なのですが、やはり細かいチリとなって漂ってきて降り積もります。本来は人体に必要な物質ではないのですが、栄養素であるカルシウムやカリウムに化学的な性質が似ているので、やはり体に吸収されてしまいます。
また、これらは何年間も残留するので、長期間の被曝をもたらす原因になります。
四つ目は、ウランとプルトニウムです。これらは核燃料そのものです。たいへん重い金属なので、そう簡単には飛散しません。現在のところ、福島原発からはまだ飛び散っていないと考えられています。しかし、今後もしも大規模な水蒸気爆発が起きれば、これらの核燃料が粉々になってチリが飛び散る可能性があります。なにしろ核燃料なので、もしも吸い込めば被曝の影響も大きいわけです。
放射性物質は、とにかく吸い込まないことが重要です。放射性物質がついているものを食べるのもいけません。体内に入ってしまうと、体内で放射線を出し続けることになり、たいへん危険です。
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