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福島原発・プルトニウムからどれくらい離れたら安全か

 お問い合わせをいただきました。

原発からプルトニウムが漏れたそうですが、どれくらい離れていたら安全ですか

 これは難しい質問です。

 プルトニウムそのものが遠く離れた地域まで流れてくる可能性は低いと思います。プルトニウムというのは、天然で見つかる物質の中では最も重い物質です。鉄の3倍くらいの重さがあります。そのせいで、細かい粉塵になって空気中に舞い上がったとしても、すぐに落ちてきてしまって、遠くまでは漂わないだろうと予想されています。

 なにしろプルトニウムは世界最強の猛毒物質だと言われています。化学的にも猛毒であるうえに、アルファ線という破壊力の強い放射線を出して人体の細胞に強いダメージを与えます。人体にとっての栄養素とは程遠い物質なので飲み込んでも血液中に吸収されることは少ないのですが、目に見えないような小さいプルトニウムのチリが肺の中に付着しただけでも確実に癌を引き起こします。「角砂糖五つ分のプルトニウムで日本人皆殺し」と言われるのはおおげさではありません。

 ただ、プルトニウムの出すアルファ線は破壊力が強いかわりに遠くまでは届きません。人体内に入った場合、半径1cmの細胞のDNAだけが破壊されるといわれています。

 プルトニウムが福島原発の原子炉の外で発見されたということは、地元の方にとってはたいへん辛いニュースです。プルトニウムはまだ東京までは飛んできていなくても、原発周辺の土壌を汚染している可能性が高いわけですから。プルトニウムは何万年も消えることなく放射線を出し続けるのです。

 そして、プルトニウムが出てくる状態になっているということは、放射性物質の中で遠くまで飛んでくるような軽い物質である放射性ヨウ素、そして放射性セシウムがどんどん出てきている可能性があるということです。遠く離れた地域の方にとっては、そちらのほうが問題です。

 「これくらい離れていたら安全」というようなことははっきりとは分からないのです。放射線というものは、1時間あたりの照射がどんなに少なくても長時間あびていれば確実に害があるからです。

 「ただちには健康に影響が無い程度」の放射線でも、東日本の人たちはすでに二週間にわたってあび続けて来たわけです。その蓄積が怖いのです。「将来まで考えても0.5%の人しか癌にならない程度」と言われても、1000万人の0.5%は5万人なわけですから、これをたいしたことないとは口が裂けても言えません。

 福島原発の中では高濃度放射能の汚染水がたまって原子炉冷却作業が思ったようにはかどっていません。今頃になってフランスの原子力専門家にSOSを出したとのことですが、遅すぎます。今後、原子炉の冷却がうまくいかなければ、さらに放射性物質が放出される可能性があります。

 ドイツ気象庁の放射性物質の広がりの予報を見ていると、すでに沖縄の周辺まで放射性物質が飛んで行っているようです。どれくらい離れたら安全ということは言えません。しかし、少なくとも東日本にいらっしゃる子どもと妊娠中の方はできるだけ西へ避難されることをおすすめします。今の季節、日本の上空は西から東に風が吹くことが多いからです。

 暗い話ばかりで気がめいりました。私たちの職場の桜が開花し始めましたので、その画像をお届けします。

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原発事故」カテゴリの記事

コメント

みるめさん!!

こんにちは!!
コメントありがとう!!
またまた、始めちゃいました!!
「ブログから始まる支援の絆!!」
被災地に住む僕として出来る事は何か?と、避難所を廻って沢山の方との会話で、胸の内にため込んだ辛いことや、悲しい事、怒りも聞いてきました
話し終わった後、被災者の目が少し優しくなってる事忘れられませんね

そんな中での子供さんの話をされたお母さんの言葉から被災児童の学用品支援が始まりました
今はまだまだ支援品を集める段階で、一人でも多くの方、一つでも多くの学用品を求めてる段階です

この支援に関しては、学用品のご協力はもちろんですが一人でも多くの方に伝えて頂く事も大切な支援だと考えています
是非みるめさんのブログでも、ご協力いただけませんでしょうか??

ご協力いただいた学習用品は、私が取りまとめ教育委員会、学校とも打ち合わせその地域に会った形で子供達に渡したいと思います
いずれの個所を経由するにしても、学習用品は私自身が子供達のとことへ手渡しに行くつもりでいます

しっかりとご提供頂いた方の思いを、子供達に伝えさせていただきます
子供達の喜ぶ顔を皆さんにお伝えするためには、そこに私がいないと出来ないですからね!!

みるめさん、よろしくお願いいたしますね!!

投稿: bestsyot | 2011年4月 2日 (土) 18時33分

医療関係のブログと聞いて、ぜひとも教えていただきたいのですが、
アスベストを吸い込んだ際の健康被害の原因は、肺に刺さったアスベスト周辺にて
放射性物質であるラジウムをフェリチンが生態濃縮することによる放射線障害だ。
という記事を目にする一方、プルトニウムが身体に取り込まれた際の新陳代謝を説明する文章に、
フェリチンという文字を見かけます。フェリチンはウランやプルトニウムも
取り込むみたいですが、アスベストにウランやプルトニウムが関わると、
アスベストは従来のラジウム以上の発ガン性を持ったりはしませんか?

投稿: 真幻我 | 2011年5月20日 (金) 09時44分

 真幻我さん、コメントありがとうございました。
 残念ながら、私たちはアスベストとプルトニウムの関連についての信頼できる情報は、現時点ではまだ把握できておりません。
 体内にとりこまれたアスベストの表面にフェリチンが沈着することは、間違いない事実です。アスベストが原因で発生した中皮腫を顕微鏡で見ると、アスベストに付着したフェリチンが金色に光って見えるそうです。
 フェリチンとは、鉄と結合する蛋白質の一種です。体内では、肝臓や脾臓にたくさんあります。
 鉄と結合する性質の蛋白質ですので、それ以外の金属とも結合する可能性が高いことは予想できます。ですから、フェリチンがラジウムやプルトニウムをとりこむ働きがあるのだと言われれば、可能性としてはありそうだなと思います。
 震災被災地ではアスベストの被害も大きいことは間違いありません。放射性物質との関連があるとすれば、さらに大きな問題です。今後、情報を集めてみようと思います。

投稿: みるめ | 2011年5月22日 (日) 14時33分

素人の質問に丁寧な返答を頂きまことにありがとうございます。
アスベストによるフェリチンの沈着は記載されている通りです。
プルトニウムとフェリチンに関しては被災地の救援派遣に向けて勉学に勤しまれる女医さんの下記URLのブログを拝見しまして、
http://mainichi-benkyou.blog.so-net.ne.jp/2011-03-31
ブログにて参考にされている書籍『人体内放射能の除去技術―挙動と除染のメカニズム』(講談社)の中の
「(肝臓に‥)沈着したプルトニウムは肝細胞内でフェリチンと結合してリソソームに蓄積されいずれ網内皮系細胞内で凝集します。」
との文章を読んでWikipediaにて「細網内皮系」を調べると属する細胞の一種に「肺胞の塵埃細胞」があり、
どうしょうもなく一人であわてふためいている所であります。
本職の方の意見を何とぞよろしくお願いいたします。

投稿: 真幻我 | 2011年5月26日 (木) 14時18分

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