佐賀の玄海原発が「限界」原発と言われるわけ
玄海(げんかい)原発をどうするか、大きな問題になっています。
玄海原発は佐賀県にある九州電力の原発です。上の写真は、6月28日に福岡で開かれた九州電力の株主総会で玄海原発の停止を求める株主です。
玄海原発は1号機と4号機が稼働中。2号機と3号機が定期点検中で止まっています。問題になっているのは、2号機と3号機を点検終了後に再稼動させていいのかどうかということです。玄海町の町長は「国が安全だと言ってるのだから、動かしてもいいんじゃないの」と、原発容認の姿勢です。佐賀県知事は、「玄海町長がいいと言うんなら、再稼動を許可しようかなあ。」という、あいまいな態度をとっています。
玄海町長と佐賀県知事の、無責任なあなたまかせの態度に対して、九州の多くの人が怒っています。いったん原発事故が起きれば、九州の多くの地域が放射能汚染されることが明らかだからです。
実は、玄海原発は、「2号機と3号機を再稼動するかどうか」などという悠長なことを議論していられないような切迫した状況にあるのです。現在も稼働中の1号機が老朽化のせいで限界にきていて、今すぐに止めなければ危険な状態になっているからなのです。
1975年から36年間も使われてきた玄海原発1号機は、とっくの昔に寿命を迎えています。ところが九州電力は「まだ使える。まだ使える。」と安全神話をばらまいているのです。
原子炉の寿命は何で計るか、という問題がありますね。
原発のお話は、難しい専門用語がたくさん出てくるので、それだけでイヤになっちゃいますよね。原発の寿命を計る尺度は「脆性遷移温度」(ぜいせい・せんい・おんど)といいます。
金属は、ある温度まで冷やすと急に、ガラスのように割れやすくなるという性質があります。これが「脆性遷移温度」です。鋼鉄の場合、通常はマイナス20度くらいなのです。
原子炉の炉心の圧力容器は、頑丈な鋼鉄でできています。ちょっとやそっとの力でたたいても、割れることはありません。また、原子炉は熱くなった状態で使用するものなので、マイナス20度なんていう氷点下で鋼鉄がもろくなることなどは、通常は考えなくていいはずなのです。
ところが、いくら頑丈な鋼鉄でも、強力な放射線を長時間浴びせ続けると、次第にぼろぼろになってきて、弾力性が失われ、割れやすくなってくるのです。そして、「脆性遷移温度」が次第にあがってきます。
1976年に玄海1号機の炉心の「脆性遷移温度」をはかったところ、35度にまであがっていました。35度よりも低い温度でガラスのように割れやすい状態だというわけです。1993年には、またまた上がって56度になっていました。
そして2009年、これが98度まで一気に跳ね上がりました。玄海原発1号機の炉心は、98度より低い温度になるとガラスのように割れやすい状態になってしまうというのです。
こうなると、地震のときなどに炉心に水を注入して冷却する「緊急炉心冷却装置」を使用すれば炉心が割れてしまうということになります。
上の写真は、冬の寒いときにガラスのコップにお湯を入れたら割れてしまったところです。ガラスのように割れやすいものの場合、冷たいものを急に暖めたり、逆に熱いものを急に冷やしたりすると割れてしまうのです。
このガラスコップと同じように、玄海原発1号機の炉心は緊急時に冷却すると割れてしまう可能性が高いのです。300度で運転していた高圧の炉心が割れれば、原子炉全体を吹き飛ばすような大爆発の可能性すらあります。
ですから、佐賀地方に大きな地震が発生した場合、玄海原発1号機は大事故をおこす可能性が高いのです。
原子炉を製造しているメーカーでも、炉心の「脆性遷移温度」が93度より高くなったら、その原子炉はもう寿命だよと言っています。それなのに、九州電力は「まだ大丈夫。まだ使える。」と、1号機を止めようとはしないのです。
あぶないぞーッ!!
玄海原発1号機は、もう寿命がきて「限界」です。これは、原発に賛成するか反対するかという政治的な意見の違いではありません。原子炉の技術者でも「限界だ」と認める状況なのです。それを「安全だ」とウソをついて運転し続ける九州電力は、あきらかにおかしいのです。そんな不真面目な連中には、危険な原発を運転する資格が無いと思います。
九州電力からは、原発運転の認可をただちに取り消すべきです。
玄海町長も、佐賀県知事も、九州電力にだまされることなく、みんなの安全を考えて判断していただきたいものです。
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コメント
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松本龍復興相が辞任を発表した。高飛車で侮辱的な物言いは決して許せるものではありません。被災地の知事に対して、罵倒の言葉を発するとは被災者を犬畜生のごとく考える輩です。
奴は、部落解放同盟の松本治一郎の孫であり、部落解放同盟の役員を務めてきた。差別されてきたものの苦しみが分かる人物であれば、かようなチンピラのような物言いはしないはずです。ここまで地に落ちたか、落胆激しいです。
世襲制の中で、被差別者解放の志はとうの昔についえさり、お坊ちゃま体質だけが残されたのではないですか。
辞任だけでは生ぬるい。被災者を貶めた罪、国を混乱させた罪で、罰金をとるべきです。
腹がたって身の置き場がありません。
投稿: 人の世の熱 | 2011年7月 5日 (火) 23時18分