次に希望のバスに乗るのはあなたかもしれない
私たちの友人であるオ・ソヨン監督の作製した「塩花の木々 希望のバスに乗る」の試写会が、23日に大阪市内で開催されました。
この映画は、今年の一月から半年以上も韓国のプサンで85号クレーンにたてこもって解雇撤回を訴えている韓進(ハンジン)重工労組のキム・ジンスクさんと、それを応援しようと韓国全土で取り組まれている「希望のバス」の運動を描いた、最もホットなドキュメンタリー映像です。
プサンの市街地のすぐ近くに、韓進重工の造船所はあります。韓進重工がフィリピンのスービックに新しい造船所を作ったとき、経営陣は「プサン造船所での仕事が無くなるわけではない。整理解雇はしない。」と韓進重工労働組合に対して約束していました。ところが、ふたを開けてみると会社はスービック造船所でしか船を作らせず、プサン造船所では三年間ものあいだ一隻も船を作らなかったのです。
これは、フィリピンの労働者を安くこき使ったほうがもうかると判断したからでした。スービック造船所では安全基準を守らずに労働者を働かせ、たくさんの労働者が労災事故にあいました。スービックの労働者は会社に対して抗議に立ち上がりました。
そしてついに韓進重工はプサン造船所で多数の整理解雇を言い渡したのです。キム・ジンスクさんは訴えます。「仕事を一つも受注してこなかった経営陣には多額の配当金が出ているのに、何も悪いことをしてこなかった労働者がつけをまわされてクビにされるなんておかしい!」
キム・ジンスクさんは、造船所の高い高い85号クレーンにたてこもって「整理解雇撤回」を訴えることにしました。そしてツイッターで、たてこもっている状況やその思いをつぶやき続けたのです。
キム・ジンスクさんのツイッターはものすごい反響をまきおこし、たくさんの人が「なぜクレーンにたてこもるのか、そのわけを聞きたい」とプサンを訪れるようになりました。そしてある人が、バスをチャーターしてみんなでプサンに行こうというアイデアをだし、それが「希望のバス」と呼ばれるようになったのです。
映画「塩花の木々 希望のバスに乗る」は、キム・ジンスクさんがなぜそこまでして整理解雇撤回を訴えるのか、なぜ韓国の多くの一般市民が我もわれもと希望のバスに乗って集まってくるのか、するどく掘り下げてえがいています。「塩花の木々」とは、労働者の服に汗の塩分が結晶して花のような模様があらわれることを表現しています。
この希望のバスについてのドキュメンタリー映像は、単なる映像だけでは終わりません。次に希望のバスに乗るのは私かもしれないし、あなたかもしれないからです。これまで、希望のバスは3回とりくまれ、参加者は1万人にまで膨れ上がりました。希望のバスが来る日にはプサン駅前はお祭り騒ぎです。希望のバスの参加費は、どこか大きな組織が出してくれるものではありません。一人ひとりの思いを胸に自分で参加費を工面して参加するのです。
8月27日から28日にかけて、第4次希望のバスが取り組まれます。なかまユニオンからも代表が参加します。試写会の参加者は激励の寄せ書きを書いて代表団に託しました。
キム・ジンスクさんと希望のバスについてもっと知りたい方で、韓国語のわかる方は、下記のサイトをごらんになってみてください。
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