インフルエンザ予防接種が2割の人に効くというけれど
次のようなお問い合わせをいただきました。
インフルエンザの予防接種で副作用が出ました。インフルエンザ予防接種は2割の人に効くと医者に言われたのですが、みるめさんは2%だと書いています。2%しか効かないのは本当ですか。
インフルエンザの予防接種の副作用で苦しんでいらっしゃる方には、本当にお気の毒です。2011年は、インフルエンザ予防接種の副作用の訴えが多いのが特徴です。実際に、インフルエンザ予防接種の直後に肺炎になって入院してきた方がいらっしゃいました。「予防接種と肺炎との因果関係は存在しない」というのが製薬メーカーや国の公式見解なのですが、非常に多くの人が副作用の悩みを訴えている現状から考えて本当なのかなあと思ってしまいます。
さて、インフルエンザ予防接種の効果が現れる確率のお話なのですが、私たちは「2%は効き目がある」という製薬メーカーのデータを正確だと認めているわけではありません。どんなに多く見積もっても2%ということであって、実際はそれよりもはるかに低い確率だと考えてよいのです。限りなくゼロに近いというのが、本当のところです。
ただ、おっしゃるとおりに製薬メーカーが「20%の人に効果がある」と宣伝しているのも事実です。2%と20%の食い違いはいったいどういうわけだという疑問は、まったく正しいので、その種明かしをしておかないといけないと思います。ちょっとした算数のお話です。
製薬メーカーが、インフルエンザ予防接種が効果があると主張している研究の内容をよく見てみると、次のような内容になっています。
100人の人が、もしインフルエンザ予防接種をしなかったら、このうちインフルエンザにかかるのは10人です。
100人の人が、もしインフルエンザ予防接種をしたら、このうちインフルエンザにかかるのは8人です。
ですから、2人の人が、予防接種によってインフルエンザにかからなかったことになります。
ですから、インフルエンザにかかった10人のうち2人が予防できたのだから、インフルエンザ予防接種が効く確率は、2÷10で、20%である。
なんだか変ですよね。私たちは、この主張の最後の部分の「2÷10で、20%である」という割り算のところは、どう考えてもおかしいと思うのです。私たちが製薬メーカーの研究者なら、同じデータを見ても正直に次のように結論付けます。
100人の人が、もしインフルエンザ予防接種をしなかったら、このうちインフルエンザにかかるのは10人です。
100人の人が、もしインフルエンザ予防接種をしたら、このうちインフルエンザにかかるのは8人です。
ですから、2人の人が、予防接種によってインフルエンザにかからなかったことになります。
ですから、インフルエンザ予防接種を実施した100人のうち2人が予防できたのだから、インフルエンザ予防接種が効く確率は、2÷100で、2%である。
統計でウソをつく方法の見本のような例なので、皆さん、よーく考えてみてくださいね。
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コメント
インフルエンザワクチンですがチメロサール入りのものとフリーのものでは副作用の出方は違うのでしょうか?時々接種すると発熱するのでお聞きしたいです。
投稿: ぽぽたん | 2011年11月28日 (月) 11時59分