原発再稼動の交換条件で北陸新幹線を作るというけれど
大飯原発の地元である福井の出身の方から投稿がありましたので、掲載します。
大飯原発の再稼動は、全国民的な問題であると思います。滋賀県知事や京都府知事や大阪市長は大飯原発の再稼動に懸念を表明しています。いったん原発事故がおこれば放射能汚染は関西圏まで確実に達するのであり、その懸念はまったく正しいことだと思います。
ところが、肝腎の地元、福井県の知事は原発再稼動を条件付きで容認するかのような、なんとも歯切れの悪い発言ばかりをしています。
現在の福井県政は、原発の再稼動を、北陸新幹線を福井まで作るための取引材料にしようと考えているのです。
北陸新幹線は、長野から富山を通って金沢まではすでに工事が着工されています。
金沢から福井まではルートは決まり、福井駅では新幹線用の駅舎の工事もすでに行なわれています。しかし、金沢から福井までの工事が本当に着工されるかどうかは未定のままなのです。国家財政が超赤字で無駄な工事などする余裕が無くなったため、この区間の着工は保留になっているのです。
福井から南は敦賀を通り大阪へつなげるという机上のプランだけはあるのですが、敦賀から南はいったい滋賀県の琵琶湖沿岸を通るのか、若狭湾岸を通って京都府へぬけるのか、という基本的なことさえ決めることができていません。
敦賀のすぐ北側には険しい山地があります。JRの北陸本線は長さ14キロメートルの北陸トンネルでこの山地をぶちぬいて通っているのですが、新幹線を通すためには更に長い超巨大トンネルをもう一本作らねばならず、それだけの工事費用を出すだけの財政力が現在の日本の国にあるとは到底思えません。
このままでは北陸新幹線は福井に来ないと焦った福井県政は、原発再稼動を取引材料にすることを思いついたのです。政府が形ばかりの安全基準を発表し、福井県知事が原発再稼動を認めれば、政府は2012年度に北陸新幹線着工にゴーサインを出すというシナリオなのです。
これは、たいへんずるいことだし、福井の人間としては恥ずかしいことだと思います。
しかし、福井県民のすべてが北陸新幹線に賛成しているのではないということを知ってほしいのです。
北陸新幹線ができあがると、福井の人にとっては良いことがあるのでしょうか。
東京に行く時間はたしかに短縮されます。現在なら、福井から東京に行くにはJR北陸本線で米原まで行って、東海道新幹線に乗り換えることになります。もし、北陸新幹線が福井まで通ったら、富山、長野経由で東京まで新幹線で行けることになります。
では短縮時間はどれくらいですか。たったの20分間です。20分早く東京に着くことが、どれだけの利益になるというのでしょうか。
また、北陸新幹線ができれば、そちらに乗客を奪われてしまうのでJR在来線の特急電車は維持できないだろうという話です。現在は30分に一本の割合で特急サンダーバードが走っているのですが、これは廃止になるというのが予想なのです。
在来線特急を利用するという選択肢は奪われ、高い新幹線料金を払わされて、それで20分間早く着きましたと言われても、全然うれしくありません。
北陸新幹線ができたからといって、福井の経済が潤うとは思えません。土建屋・ゼネコンだけが潤うのです。そういう無駄なことはやめようということで、民主党は脱ダム宣言をしていたはずです。ところが、民主党も脱ダム宣言はいつのまにか忘れてしまって、またしても国家財政無駄遣いのゼネコン政治に戻ってしまったかのようです。なんのための政権交代だったのでしょうか。
福井の経済は、原発中毒と公共事業中毒におかされてしまっています。覚せい剤中毒患者の治療には覚せい剤を断絶することが必要であるのと同じで、福井の経済の再出発のためには原発と無駄な公共事業を断絶することが絶対に必要なのです。
福井県知事がなんと言おうが、原発もいらないし、北陸新幹線もいらないのです。
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