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新しい認定基準で、うつ病の労災認定はやりやすくなったか?

 次のような質問をいただきました。

 うつ病の労災認定基準が新しくなったと聞きましたが、労災認定はこれまでよりも、されやすくなったのでしょうか。

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 うつ病などの精神障害の労災認定基準は昨年の12月に新しくなりました。しかし、労災認定の基本的な考え方が変わったわけではありません。労災認定の事務作業がスムーズに進むように改善が行なわれたと考えればよいのではないでしょうか。

 たとえば、「誰が考えても明らかに労災だよね」、というケースについては、こみいった議論をすっとばして労災認定されるということになりました。

 しかし、これは「業務上のケガで死にかけた」とか「業務上の事故で誰かの命を奪ってしまった」とか「一ヶ月に160時間を超える残業をした」とかいう、かなり特殊なケースに限られます。

 このような極端なケース以外は、これまでと同じように職場での精神的ストレスの大きさを細かく評価して労災認定の判定をしていくことになります。

 労災になるほどの強いストレスの具体例がたくさん挙げられたことで、基準がわかりやすくなったとは思います。

 長時間労働が精神的ストレスとして認められる基準がはっきり示されたのは、注目されるべきかもしれません。例えば、「一ヶ月に120時間以上の残業が2ヶ月間続いた」とか、「一ヶ月間も休みをとらずに働かされた」とかいう出来事があった場合は、労災認定される可能性が高くなります。

 今回の新しい基準ではっきりと変わったのは、もともと精神障害を持っていた人の労災認定です。以前の基準では、もともと精神障害の経験があったような人は、業務上のストレスで精神障害が悪化しても労災認定されることはまずありませんでした。

 しかし新しい基準では、「業務上のストレスがあったから精神障害が悪化したのだ」ということが立証できれば、悪化したところから労災として認定するということがはっきりと書かれました。ですから、このような人にとっては労災認定のハードルが低くなったとも言えるのです。しかし、このような立証がたいへんであるのは間違いがありませんよね。

 全体的には、新しい基準になったからといって精神障害の労災認定のハードルが下がったとは安易に考えないほうがいいでしょう。いくつもあるハードルを一つ一つ越えていくことが必要です。ですから、精神障害の労災認定にあたっては、専門家に相談することをおすすめします。

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