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厚生労働省の発表した「職場のパワーハラスメントの定義」

 次のような質問をいただきました。

 政府がパワーハラスメントの定義について発表しているそうですが、これは職場のパワハラをなくすために役にたちそうですか。

2012_05210037

 今年の1月30日に厚生労働省の「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ」がまとめた報告のことですね。これをふまえて3月15日には「職場のパワーハラスメントの予防・解決に向けた提言」も発表されています。

 内容としては、パワハラの対策に取り組んできたものから見たら、常識的な内容です。報告をまとめたメンバーの顔ぶれを見ていると、「上司と部下の深いみぞ」などの著作で有名な岡田康子さんや精神科医の香山リカさんなどが入っています。

 重要なことは、厚生労働省が初めて公式に職場のパワハラについての見解を発表したということですね。これまでは民間の研究者がパワハラについて個人の意見を発表しているだけで、公式見解と言えるものがありませんでしたから。

 国の公式見解が出たことで、企業に対してパワハラ防止対策を要求していくうえでの手がかりが得られたと思います。パワハラ対策をまったく行なおうとしない無気力な経営陣の目を覚まさせるには「厚生労働省もパワハラを許すなと言っているぞ」と追求したほうがいいからです。

 もちろん、この公式見解は「パワハラ防止法」ではないので、罰則規定はありません。あくまでも、労働組合が問題解決をしていくうえでの役立つ手がかりだと思ってください。

 報告のポイントを、以下はりつけておきます。また、全文の掲載されているサイトがありますので、そちらも見てください。

「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ報告」全文

【報告のポイント】
1.はじめに:なぜ職場のいじめ・嫌がらせ問題に取り組むべきか(報告書p1~4)
  職場の「いじめ・嫌がらせ」、「パワーハラスメント」は労働者の尊厳や人格を侵害する許されない行為であり、早急に予防や解決に取り組むことが必要な課題である。
企業は、職場の「いじめ・嫌がらせ」、「パワーハラスメント」による職場の生産性の低下や人材の流出といった損失を防ぐとともに、労働者の仕事に対する意欲を向上させ、職場の活力を増すためにも、この問題に積極的に取り組むことが求められる。

2-1.職場からなくすべき行為は何か(報告書p4・5)
  「いじめ・嫌がらせ」、「パワーハラスメント」という言葉は、どのような行為がこれらに該当するのか等、人によって判断が異なる現状があるが、とりわけ、同じ職場で行われる「いじめ・嫌がらせ」、「パワーハラスメント」については、業務上の指導との線引きが難しいなどの課題があり、労使の取組を難しいものとしている。
そのため、ここでは、労使が予防・解決に取り組むべき行為を以下のとおり整理し、そのような行為を「職場のパワーハラスメント」と呼ぶことを提案した。

職場のパワーハラスメントとは、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性(※)を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいう。
※ 上司から部下に行われるものだけでなく、先輩・後輩間や同僚間、さらには部下から上司に対して様々な優位性を背景に行われるものも含まれる。


 
2-2.職場のパワーハラスメントの行為類型(報告書p5・6)
  職場のパワーハラスメントの行為類型を以下のとおり挙げた(ただし、職場のパワーハラスメントのすべてを網羅するものではないことに留意する必要がある。)。
類型 具体的行為
(1)身体的な攻撃(暴行・傷害)
(2)精神的な攻撃(脅迫・暴言等)
(3)人間関係からの切り離し(隔離・仲間外し・無視)
(4)過大な要求(業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害)
(5)過小な要求(業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと)
(6)個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)

3.労使の取組(報告書p6~10)
  この問題を予防・解決するための労使の取組については、まず、企業として職場のパワーハラスメントはなくすべきという方針を明確に打ち出すべきである。
対策に取り組んでいる企業・労働組合の主な取組の例と、取り組む際の留意点は以下のとおり。

予防するために
 ○トップのメッセージ
 ○ルールを決める
 ○実態を把握する
 ○教育する
 ○周知する

解決するために
 ○相談や解決の場を設置する
 ○再発を防止する

行政は、
・問題の現状や課題、取組例などについて周知啓発を行うべき。
・併せて、この問題についての実態を把握し、明らかにするべき。

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