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猛暑なのに扇風機すらない会社は労基法違反か?

 次のようなお問い合わせをいただきました。

 猛暑の中ですが、私の働く会社にはクーラーどころか扇風機もありません。暑くて死にそうです。これって労働基準法違反ではないのですか。

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 ひどいですね。そもそも法律がどうのこうのという問題ではなく、これだけ暑い中でクーラー代をけちる会社は人道上ゆるされませんよね。

  労働基準法第42条には、「労働者の安全および衛生に関しては労働安全衛生法の定めるところによる」と書かれています。労働者の安全と衛生を守らねばなりませんが具体的なことは労働安全衛生法を見てくださいね、ということです。

 そして労働安全衛生法第3条にはつぎのように書いてあります。

第三条  事業者は、単にこの法律で定める労働災害の防止のための最低基準を守るだけでなく、快適な職場環境の実現と労働条件の改善を通じて職場における労働者の安全と健康を確保するようにしなければならない。

 つまり、事業者には労働者の安全と健康を確保する義務があるということなのです。

 では、高温の作業環境で労働者を働かせる場合は、具体的にどうなのかという問題になります。これについては、労働安全衛生法に基づいて厚生労働省が「職場における熱中症の予防について」という通達を2009年6月19日に出しています。

 職場の暑さの基準には、「暑さ指数(WBGT指数)」と呼ばれている数値を使います。人間の体感温度には、湿度が影響してきます。湿度が高いと気温は高く感じられるし、湿度が低いと気温は低く感じられます。

 「暑さ指数」は気温に湿度を加味して体感温度を計算したものです。湿度100%のときは、「暑さ指数」は気温とイコールになります。湿度が低い場合には、「暑さ指数」は気温よりも低い温度となります。

 厚生労働省の定めた基準では、「日ごろ暑い環境に慣れている人が安静にしている場合でも、暑さ指数が33度をこえたら熱中症の危険がある」としています。軽作業をしている場合で30~29度、中程度の作業をしている場合で28~26度をこえたら危険だとしています。激しい作業なら25~22度でも熱中症になる危険があります。

 職場の湿度まで計測している人は少ないと思うので、職場の正確な「暑さ指数」はわかりにくいのですが、日本の夏は湿度が高いので、「暑さ指数」は気温とほぼイコールだと考えていいはずです。

 大雑把に言えば、気温が26度を超えれば熱中症の可能性が発生し、30度を超えれば確実に危険性があるのだということです。その場合は、なんらかの対策をとる義務が会社にはあります。

 ですから、最近のような猛暑の日中に労働者を働かせる会社では、クーラーか扇風機が設置されるのはあまりにも当然のことです。扇風機すらない会社はあきらかに労働基準法違反ですね。

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