学校での体罰が職場のパワハラ実行犯を育てる
大阪市立の高校で教師に体罰を受けた生徒が自殺したことが大問題になっています。たいへん傷ましい事件です。
橋下市長は、体罰があったことを認めて謝罪し、「体罰は許しません」と言っています。しかし、橋下市長はこれまでは体罰容認派だったわけで、その場その場でくるくる言い分を変える橋下氏のお得意の言い逃れではないかという気もして、さらに暗い気分になります。
驚いたのは、「スポーツの成績を上げるためには体罰が必要だった」と体罰実行犯の教師がはっきりと言っているということです。「体罰は正義だ」と主張しているのです。圧倒的に強い立場の教師が生徒に対して暴行・傷害を行なっておいて、それが「成績を上げるためだった」というのは、なんという自己中心的な発想でしょうか。
生徒の命を奪った体罰実行犯の教師に対しては強い憎しみがこみ上げてきますが、体罰実行犯ひとりを吊るし上げるだけでは、問題の解決にはなりません。日本の社会全体に根深く存在している、「暴力の連鎖」の構造を変えていかなければならないのだと思います。
私たちは、学校の体罰と職場のパワハラとには関連があると思います。学校で体罰(暴力)を受けてきた経験のある人が大人になると、職場でパワハラの加害者になる可能性が高いと考えられます。
職場のパワハラの被害者だった人が、何かのはずみに今度はパワハラの加害者になってしまう、そんな事例もよくあることなのです。殴られた経験が心の傷となって、何かのはずみで他人を殴るようになってしまうのです。パワハラは連鎖するのです。暴力は連鎖するのです。
学校での体罰は、パワハラ実行犯を養成する教育だと思います。学校の教師が10人の生徒を殴れば、その生徒たちが将来は100人の職場の人を殴るのです。
年配者が若者をいじめ、大人が子どもをいじめるような社会は滅びてしまいます。日本の社会が生き残るためには、どんなに困難であっても学校での体罰を廃絶するしかないと思います。
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