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チャンスをありがとう!映画「天使の分け前」

 ケン・ローチ監督のすてきな最新作「天使の分け前」を見てきました。

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 「天使の分け前」とは、ウイスキーを樽に入れて熟成させる時に一年間に2パーセントが蒸発していく、その目減りの分のことを意味します。

 このお話の舞台となったのは、スコッチウイスキーで有名なスコットランドです。イギリスの北部であるスコットランドは、美しい大自然に恵まれてはいますが、経済的に貧困な地域でもあります。

 工業都市グラスゴーで暮らす主人公ビリーは、生まれたときから貧困で暴力にあふれた環境で育ち、少年刑務所を10ヶ月前に出所したばかり。それなのにまたしても売られたケンカを買って暴力沙汰をおこしてしまいました。本当なら刑務所にぶちこまれるところなのですが、恋人レオニーとの間に子どもが生まれることに免じて、裁判所は300時間の社会奉仕活動を命じたのでした。

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 しかし、レオニーの親は二人の結婚を認めようとしません。また、ビリーの宿敵であったチンピラたちが執拗にビリーに暴行を加えてきます。また、ただでさえ仕事が無いグラスゴーの町で前科物のビリーを雇おうという会社は現れません。ビリーとレオニーはお先真っ暗で困り果ててしまいます。

 そんな時にビリーを救ったのは、社会奉仕活動の指導員のハリーでした。ひとなつこいハリーは、ビリーを自宅に招いて、赤ん坊の誕生祝いにとっておきのウイスキー「スプリングバンク32」をあけてくれたのでした。

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 ハリーは地元スコットランドのウイスキーをこよなく愛していました。ビリーがグラスゴーの貧困な町から外へ出たこともなく、郷土の文化であるウイスキーについても何も知らないことに驚いたハリーは、ビリーと社会奉仕活動仲間の若者たちをウイスキーの蒸留所の見学ツアーに連れて行ってくれました。

 ビリーは、ハリーの影響を受けてウイスキーに興味を持ちはじめていたのですが、その蒸留所でウイスキーの味を見分ける鋭い能力の持ち主である事がわかったのです。

 ビリーのテイスティング能力は、世界的なウイスキー愛好家たちにも認められるようになっていきました。

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 やがて、どこでも手に入らないと思われていた幻のウイスキー「モルト・ミル」の樽が何十年ぶりに酒蔵で見つかったというニュースが入ってきます。世界中のウイスキーマニアがどんな高値でも欲しいと思っている「モルト・ミル」。一樽が100万ポンド(1億5000万円)を超える値段がつくことは確実だとうわさされたのです。

 ビリーは、レオニーとの幸せな生活と未来をかけて、社会奉仕活動仲間の若者たちといっしょに一世一代の大勝負に出ることを決めました。勝負のヒントになったのは「天使の分け前」でした。

 ビリーがどんな勝負に出たかは、この場で書くのはひかえておきましょう。劇場で映画をごらんになってください。

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 監督ケン・ローチの作る映画のストーリーには、ハッピーエンドで終わる映画と、すさまじい悲劇で終わる映画とがあります。「天使の分け前」も最後まで悲劇かハッピーかが読めず、はらはらしっぱなしでした。

 「誰かに優しくしてもらったから、今度は誰かに優しくしてあげる」そんなスコットランドの人間味あふれる人たちが登場するのが、ケン・ローチらしいところです。ケン・ローチの変わらない人間性が感じられます。どんなに失敗してしまった人にも、チャンスは与えられるべきなのですね。

 また、スコットランドの雄大な大自然や伝統的なウイスキー蒸留所の美しさ、そして伝統文化であるウイスキーをこよなく愛する人たちのいきいきとした姿が、全編を通じて深くしみわたってくる映画です。ケン・ローチ監督、ありがとうございました。

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 さて、このお話に登場する幻のウイスキー「モルト・ミル」は実在します。本物だという保証があるものは世界中にボトル1本しかありません。これが、スコットランドのラガブーリン蒸留所が所有しているたった1本のボトルです。

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 「天使の分け前」を見て、私もウイスキーが飲みたくなってしまいました。さっそく酒屋へ行って、劇中で「エレガントなアイラ島のプリンス」と絶賛された「ラガブーリン16」を購入。目の玉が飛び出るほどの高値でしたが、たしかに海辺に落ちている貝殻のような独特の香りとコクがバランスよく、おいしかったです。一度スコットランドに行ってみたいなと思いました。

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