病院看護師の14万人削減計画が始まったが
次のような質問をいただきました。
週刊ダイヤモンドを読んだら、看護師が14万人削減されるって書いてました。本当ですか。なぜ減らさなきゃいけないんですか。
週刊ダイヤモンドに書いてある事は、本当のことです。安倍政権・厚生労働省は、2025年までに病院の看護師を14万人削減するということを目標にしています。そして、14万人削減が実現するまで、あの手この手をうってくると宣言しています。
厚生労働省は、「ものすごく忙しい病院以外は看護師を3割削減する」という法令を4月に実施しました。その締め切りは今年10月です。10月までの半年間に、「うちの病院はものすごく忙しかった」という実績をしめすことができなければ、看護師を3割削減しなければならなくなるのです。
「ものすごく忙しかったって、どうやって実績を示すの?」と思いますよね。そのために、病棟では看護師が入院患者ごとに「看護医療必要度」という点数をつけているのです。「看護師にとってどれくらい手間がかかる患者か」ということを患者ごとに点数化しているのです。
そして、その点数の合計があるレベルを上回っていないと、その病棟は「ものすごく忙しいとは認められない」とされてしまうのです。
全国の病院の中には、わずかですが「うちはどう考えても3割削減をまぬがれないよな」と現実的に判断している病院もあります。しかし、ほとんどの病院はなんとか「ものすごく忙しかった」という実績を作って3割削減を免れようと今のところは考えているのです。
今年の10月が来ると、実際に全国でどれくらいの病院が3割削減を実行せざるを得ないかがわかります。おそらく何万人かの看護師が削減になるのでしょう。厚生労働省は、その削減数を見て、次は2年後の2016年4月に「看護医療必要度」の合格ラインを引き上げるつもりです。そのようにして2年ごとに合格ラインを引き上げていき、最終的には2025年には14万人削減を達成するのだと考えているのです。
病院看護師14万人削減は何のためか、それは入院患者を減らしたいと安倍政権・厚生労働省が考えているからなのです。これまでは、病院に入院すれば手厚く看護することは当然のこととされてきました。しかし、「これからは入院しても看護師が少ないから、入院しても看護してもらえないよ、特に高齢者は入院しないでくれ。国民が入院すると金がかかってしょうがない。」これが厚生労働省の本音なのです。ですから、看護師の削減と同時に、入院できる期間の規制強化もはかられてきます。
おかしいですよねえ。安倍sorryはよく「規制緩和」というのです。ところが、実際にやっていることは医療に対する規制強化なのです。
病棟の看護師を14万人削減して、その14万人はどこへ行ったらいいんだ?誰もがそう思いますよね。安倍政権・厚生労働省は、「その人たちは訪問看護師をしてくれ。訪問看護師をすることなら許可する」と言っています。
しかし、病棟看護師と訪問看護師とではずいぶん業務内容が違います。バイクに乗って患者の自宅を訪ねてまわって看護をする訪問看護師は、独特な業界です。
長い目で見て訪問看護を手厚く育てていくというのならそれは良いことですが、病棟看護師をいきなり放り出しておいて訪問看護に転職しろというのは、いくらなんでも乱暴ですよね。
こんなことはおかしいと思います。
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