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パソコン工場で発生する白血病・映画「もうひとつの約束」

  11月15日、大阪市内で映画「もうひとつの約束」の特別上映会がありました。

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  この映画は、韓国の架空の企業を舞台にした物語ということになっています。しかし、これは実話に基づいて、実際に起きたショッキングな事件をかなり正確に再現したドラマなのです。

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  韓国の東海岸の貧しい漁村に生まれた女性ユンミは、高校を卒業すると大学進学をあきらめて就職することにします。韓国で最大の超大企業の工場への就職が決まったユンミを、家族はみんなでお祝いします。

  ところが、働き始めてわずか一年半、ユンミは急性骨髄性白血病を発病してしまうのです。抗がん剤治療のために丸坊主になってしまったユンミ。骨髄移植を受けるためには莫大な金を用意しなければいけません。タクシー運転手のお父さん、魚の干物工場でパートで働くお母さんの収入ではまったくお金が足りないのです。

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  病気休職から一年、会社の人事担当がたずねてきて、社員からの見舞金だと1000万ウォンをわたします。そして、離職届けにハンコをおせばさらに4000万ウォンわたすと言うのです。お金が必要なユンミたちは、承諾せざるをえませんでした。

  ところが、その4000万ウォンがいつまでたっても振り込まれません。会社は、あんたはもううちの社員じゃないんだから500万ウォンならくれてやってもいいと冷たく言い放ちます。会社に抗議に行った父親のサンギは、警備員たちに叩き出されてしまいます。

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  そして、同じ職場の人が5人も白血病を発病していることがわかります。父親サンギは、病気の原因が会社にあることを確信し、労災申請することを心に決めます。

  ところが、相手があの超有名企業なものだから、役所も労災申請書を受け取ってくれません。どこへ行っても誰も話を聞いてくれない孤立の中で、労災事件に人生をかける社会労務士の女性ナンジュと出会うのです。

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  労災認定の困難さを知るナンジュは、最初はやめておいたほうがいいとアドバイスします。しかし、ユンミが突然たおれて病院にもまにあわずに息をひきとり、ナンジュは父親サンギと飲み明かしながら、困難な労災申請に取り組むことを決意するのです。

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  父親サンギと労務士ナンジュは、同じような被害にあった人たちを探し出して、情報を集め、共同で労災申請をしていきます。しかし、役所は労災申請を却下し、サンギたちは裁判所に訴えて労災を認めさせることを考えたのです。しかし、裁判は平坦な道ではありませんでした。

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  会社は、工場では発がん性物質などは使用していないと主張します。しかし、どんな薬品を作業に使っているかは企業秘密だから公開できないと言うのです。会社に対してへっぴり腰の裁判所は、証拠の提出を会社に求めることができません。

  半導体を作る製造工程では、トリクロロエチレンなどの発がん性物質を大量に使うことが多いのです。これは技術的には常識です。しかし、そのことを証明する証拠がありません。また、会社は安全対策は万全なので、たとえ毒物があっても体内に入ることはありえないと言います。

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  父親サンギは、情報を提供してくれる人を探すため、一人で会社の近くでビラを配ります。しかし、なかなか情報提供者は集まりません。それどころか、会社は金の力でビラ配りさえ妨害し封じ込めてしまうのです。

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  しかし、もうダメかと思ったとき、転機は意外なところから訪れます。努力は無駄ではなかったのです。あきらめそうになった家族たちは、ユンミの生前の日記を見つけて、新たな出発を誓うのです。

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  サンギとナンジュは、証拠を提出できるのかどうか。巨大な金の力で立ちふさがる大企業の横暴を崩すことができるのかどうか。最後まで気が抜けません。

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  この映画で描かれている大企業とは、実はあのサムスン電子です。日本でもサムスンのスマホを持っている人は多いですよね。日本の有名企業シャープですら、サムスンの下請けの仕事をしていると言います。東アジア最大の有名企業です。

  映画のモデルになったのは、サムスン電子の半導体工場でで働いていて白血病で22歳で亡くなったファン・ユミさんと、そのお父さんであるファン・サンギさんです。

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  大阪での上映会には、ファン・サンギさんご本人が来場されて挨拶をされていました。

  実際の労災認定闘争は、現在も韓国高等法院で係争中です。280人の人が白血病などの難病を発病し、労災認定の申請を次々に行いました。安全な工場を作ることができるのか、これからが勝負なのです。

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  私たちも、職業病では労災認定が困難な道であることを知っています。精神障害の労災認定の難しさも身に染みて感じています。だからこそ、韓国の皆さんにもぜひがんばってほしいのです。

  なにより、私たちが日ごろ使っているパソコンやスマホが、そんな危険な工場で作られているということ、考えておかなければいけませんよね。他人事とはすまされないのです。

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コメント

みるめさんのブログを見ていると、韓国の話題がよく出ているように思います。
どうして韓国の話題をよく取り上げるのでしょうか。
何か理由などがありましたら教えてください。

投稿: 匿名希望 | 2014年11月23日 (日) 10時27分

匿名希望さん、ブログを読んでいただき、コメントをいただき、ありがとうございます。
ブログに韓国の話が多いのは、韓国人の友人が多いからではないかと思います。
韓国人の友人が多い理由は、日本と韓国との距離の近さもありますし、経済が国境を越えて展開している今のような情勢では、労働組合も一つの国の中に閉じこもっていられないという事情もあります。
もちろん、韓国料理のサムゲタンやらサムギョップサルやらがおいしくて大好きだという点もありますね。

投稿: みるめ | 2014年11月23日 (日) 15時48分

みるめさん、コメントの返事をありがとうございます。

ある巨大メーカーの大企業では労働条件や雇用問題に異議を唱えたりする者に嫌がらせやレッテル張りが行われたりするカースがあります。辞めたら同業他社へ行くのではないか、産業ス◎◎ではないのかといった具合にです。要するに”言い掛り的な口止め圧力”のようなものでしょうか。

そんな背景があるので、後でどんな言い掛りを言われるか分からないのです。それで相談やコメントをするにしても、みるめさんの国籍やどんな考えかを聞いてみたいと思ったわけです。

投稿: 匿名希望 | 2014年11月30日 (日) 08時54分

この記事を読んで感じたことを書きます。

>相手があの超有名企業なものだから、役所も労災申請書を受け取ってくれません。

これは、日本も似ているのではないでしょうか。大企業社員が労働行政職員と一緒にゴルフをしていたという事例にどんな関係なのか現れてるように思います。

>それどころか、会社は金の力でビラ配りさえ妨害し封じ込めてしまうのです。

日本の大企業の場合は、多額の広告費と広告引き上げによるアメとムチ、マスコミ懇親会の開催、広報の幹部がマスコミ担当者へ手紙を送って仲良くなっている場合もあるでしょう。民間のTVでは大企業の労災事故の詳細を報道することがあまりありません。

>どんな薬品を作業に使っているかは企業秘密だから公開できないと言うのです。

日本では、闇カルテル、追い出し部屋、リストラマニュアル、偽装請負などは企業秘密にされてないでしょうか?

>精神障害の労災認定の難しさも身に染みて感じています。

日本では、産業医の意見書や診断書の影響力がたいへん大きいそうです。そして労働行政に提出された意見書や診断書を開示させることができるでしょうか?産業医科大卒の医師は何年か産業医として働かなければ修学費の免除がされない制度だそうです。若手の産業医はそのような制度の下で企業組織よりも働く人たちの味方になってくれるのでしょうか。さらに労働行政は労災事故のあった企業名やその詳細を公表しないのだそうです。

韓国の制度はよく分からないですが、日本と似ている部分がいくつもあるように感じました。

投稿: 匿名希望 | 2014年11月30日 (日) 13時05分

 匿名希望さん、ご丁寧にありがとうございます。私たちは、企業の横暴が容認されている日本の状況に強い疑問を感じ、普通に働いている人が普通に幸せになれることを夢見て、情報発信しています。
 今後とも、よろしくおねがいいたします。

投稿: みるめ | 2014年12月 2日 (火) 23時23分

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