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STAP細胞は無かったが、トリクルダウンも無かった ・21世紀の資本

  2014年、日本では「STAP細胞が無かった」ということが大きな話題になりました。今年の春に理化学研究所の小保方さんが、簡単に作れる万能細胞である「STAP細胞」を発見したと発表したものの、誰も同じ「STAP細胞」を作ることができず、大きな問題になったのです。多くの研究者が手間暇かけて再現実験をしました。結局、STAP細胞と思われたものは別の万能細胞であるES細胞にすぎなかったということが判り、「STAP細胞は無かった」ことが確定しました。なんともお騒がせな話です。

  そして、2014年にもう一つ話題になったのは、「トリクルダウンは無かった」という話です。そんな話聞いたことないよと思われるかもしれませんが、全世界的にベストセラーになっている、トマ・ピケティの「21世紀の資本」という本の中身の話です。

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  「21世紀の資本」(原題 Le Capital au xxie siecle  アメリカ版 Capital in the twenty-first century)は、ピケティブームを巻き起こしました。アメリカ版だけで50万冊が売れ、世界中で32か国語で出版され100万冊が売れているとのことです。ピケティの分析と主張に賛同する意見が湧き上がっているかと思えば、非難する意見を轟々と叫ぶ人たちもいます。

  12月に日本版が発売されるや、700ページにおよぶ分厚い経済書で5500円という価格であるにもかかわらず飛ぶように売れ、大きな書店では平積みされています。

  「お正月はこたつに入ってピケティの21世紀の資本を読む」というのが流行っているというので、私たちもさっそく購入してみました。

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  さて、トリクルダウンの話です。「トリクルダウン」というのは「したたり落ちる」ということです。「トリクルダウン理論」というのがネオリベ経済学にあって、これは日本のアベノミクスの土台ともなっている経済理論なのです。

  「トリクルダウン理論」では、国家はお金持ちに優しい政治をするべきだとされています。

  例えば、大企業には減税をするのです。実際に昨日も安倍政権は、法人税を3.29%引き下げるという決定を行いました。相続税を引き下げるという決定もしましたが、相続する財産など無い貧乏人には関係ない話で、富裕層だけが得をします。

  お金持ちがさらにお金持ちになるように政治をする。お金持ちが金儲けをする上で邪魔な法律や制度があれば無くしてしまう。そのせいで労働者の権利や自然環境が破壊されてもそれは無視する。これがトリクルダウン理論での政府の役割なのです。

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  「そんなことをしたら格差が拡大するだけじゃないか」と誰もが怒り出します。すると、ネオリベ経済学者は言うのです。「心配いらないよ。お金持ちがさらにお金持ちになると、そこからお金が自然にトリクルダウン(したたり落ち)してくるから、貧困者も潤うようになるのさ。」

  「信じられないな。だって、現実に庶民の財布にはお金が回ってこないじゃないか。」そういう批判に対して、ネオリベ経済学者は言います。「それはお金持ちの金儲けがまだまだ足りないからさ。もっともっと金持ちを優遇する政治をして、トリクルダウンが発生するその時を待とうじゃないか。」

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  このようなネオリベ経済学が世界中で流行したおかげで、貧富の格差は究極にまで拡大してしまいました。現にネオリベの先頭を走るアメリカでは、1%の富裕層が全資産の3割を占有しているのです。アベノミクスの日本でも、消費税は上がる一方で庶民の生活は破たんしているのに、金持ちばかりがいい思いをし、社会の存続すら危うくなっています。

  トマ・ピケティは「21世紀の資本」の中で、これまで200年間の世界の経済の分析をすることを通じて、この「トリクルダウン」がおとぎ話にすぎないことを証明したのだそうです。

  おそらく、トマ・ピケティの言っている結論は、私たち庶民の生活からしたら、言うまでもないあたりまえのことばかりなのだと思います。しかし、ネオリベ経済学というカルト宗教のトリクルダウン理論に洗脳されてしまった政治家たちに、それは間違っているよと理論的に示してやるという仕事を、誰かがしなければならなかったのではないでしょうか。

  さあ、「21世紀の資本」を読みはじめてみましょうか。

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