特別区設置住民投票(大阪市廃止住民投票)がやってくる
大阪のちまたでは、5月17日の大阪市民住民投票のことで、ずいぶん騒がしくなってきました。大阪市民ではない大阪府民も、真剣なまなざしで成り行きを見守っています。
この投票は、ご覧のとおり「特別区設置住民投票」です。決して「大阪都設置住民投票」ではないことに注意してください。
地方自治法第3条にもあるとおり、大阪府を大阪都に格上げするためには、「大阪都設置新法」を国会で可決する必要があります。維新の党は、そんなに大阪都を作りたかったら、国会で正々堂々と「大阪都設置新法」を作ろうという議論をしたらいいのです。
ところが、「都」は国に一つしか許されないという考えの人が全国的には多いので、この新法は出来上がりそうにないのです。
というわけで、今回の住民投票は「大阪都設置住民投票」ではありません。維新の会のテレビCMで「大阪都構想の住民投票」と繰り返していますが、あれは誇大広告としかいいようがありません。
では、特別区設置住民投票とは、いったい何の住民投票なのか。それは、大阪市を廃止して、5つの特別区に分割するという協定に賛成するか反対するかという投票なのです。
上の図にあるように、大阪市を廃止して、北区・東区・南区・湾岸区・中央区の5つの特別区を作るのです。
これだけのことです。これ以外には何もありません。大阪府を大阪都にするというようなことは、この協定には一言も書いてありません。
これで本当にいいのですか、ということなのです。
拍子抜けしてしまって、これまで維新の会を支持していた人たちも、困惑を隠せないのです。
大阪都構想には賛成だったという人でも、今回の大阪市五分割協定には反対だという人がたくさんいます。
橋下市長のファンだという人でも、こんな内容では裏切られた気分だと、不機嫌な顔をしています。
思い切った改革が必要だから大阪市を廃止するんだと、維新の会は二重行政の無駄の廃止を強調してきました。ところが、大阪市廃止による財政効果、つまり無駄の節約はせいぜい1億円程度しかないということが、大阪市議会での調査の中で判明してきました。
4000億円もの財政効果があると言ってきた維新の会の計算は、すごく甘い見込みだったのです。
大阪市の廃止では、二重行政の無駄の節約はできないことがわかったのです。
1億円でも節約できるのならいいじゃないかと思うあなた。今回の住民投票の宣伝のために維新の会がつぎ込んでいるお金は、なんと5億円なんですよ。
5億円!
1億円の節約のために5億円を使い込むって、ギャンブル依存症になっているのかと思うほどの乱心ぶりです。
とにかく、大阪市を廃止していいのかどうか、決めるのは大阪市民です。政令指定都市である大阪市が無くなって、何の権限も無い特別区になってしまえば、都市計画すら作ることができなくなってしまいます。どこの市でもやっているような都市計画が作られないのです。本当にそれでいいのか、ということなのです。
いったん特別区になってしまえば、大阪市にもどることは永久にできません。
大阪市の行政に無駄が多いのはまちがいありません。住民サービスの悪い点があるのも腹が立ちます。改革は今すぐにも必要です。しかし、大阪市を廃止してしまえば、改革どころではなくなってしまうのです。
維新の会は全力で金を使い組織を使い権力を使って、住民投票で「賛成」票を過半数にもっていこうとしています。ものすごい動員力です。
権力を持った組織は、コワイですよね。
大阪市が廃止されて困ると感じる大阪市民のかたは、投票に行って「反対」と書くほうがいいと思います。反対と賛成とはほぼ同数です。あなたの一票が大阪市の行く末を決めるかもしれません。いつもの選挙とはちがって、今回の投票の棄権は、たいへん危険ではないでしょうか。
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