不眠症は労災にならないの?
次のような質問をいただきました。
仕事のストレスで眠れません。病院で薬をもらっています。不眠症は労災にならないのでしょうか。
眠れないほどのストレスがあるとは、たいへんなことです。一晩眠れないだけでは不眠症とは診断されませんが、眠れない状態が一か月も続くような場合には不眠症ということになります。
不眠症には、様々な原因があります。内臓の病気が原因で不眠症になることもあります。労災として認めてもらうためには、業務による精神的ストレスが原因で不眠症になったということを立証する必要があります。
病名としては、「非器質性不眠症」である必要があります。原因不明の「不眠症」はICD10分類でG47.0ですので、これでは精神疾患として認められません。精神的ストレスが原因の「非器質性不眠症」ならF51.0ですので、労災認定の対象疾患となります。
不眠症の方の場合、内科の医療機関でも眠剤が処方されることがあります。しかし、労災として認めてもらうためには内科では無理だと思います。労災認定を申請すると労基署が主治医に調査に来るのですが、内科の医師では適切に対処できないと思います。
仕事による精神的ストレスが原因で不眠症になったのなら、精神科にかかるのが妥当ですし、そうでなくても少なくとも心療内科である必要があります。
また、精神的ストレスで不眠になっている場合でも、症状が不眠というだけでは労災認定は難しいかもしれません。精神的な抑うつ症状が出ていないと労災認定は難しいと思います。
抑うつ症状は、はじめのころは本人に自覚が無い場合もあります。気分が落ち込んで回復しない、悲観的な観念がこびりついて離れない、何もする気がしない、などの抑うつ症状は、精神科医と話してみて明確にわかることが多いのです。
ですから、仕事のストレスで不眠症になって労災かもしれないと思ったら、まずは精神科を受診することをおすすめします。
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