議論を尽くしているとは思えない。安保法案が本日、衆議院で可決
安保法案(安全保障関連法案)が、本日衆議院で可決されました。これは、たいへんな出来事です。ちょっと考えればわかります。
安保法案とは、そもそも何なのか、聞かれて即答できる人はほとんどいませんよね。それもそのはず、安保法案と一口に言っても11もの法律をまとめて一度に変えてしまおうというものだからです。
一つの新法を作り、これまであった10の法律を改正(改悪?)します。おかげで、聞きなれない言葉が次から次へと飛び出しました。
「重要影響事態」「存立危機事態」「グレーゾーン事態」。それって何ですか? 戦争に限りなく近い事態のことを意味しているのかなあと、なんとなく想像はするのですが。
福島原発事故の直後にも、「マイクロシーベルト」「ベクレル」「レベルセブン」など、聞きなれない言葉が次から次にニュースをにぎわして、肝腎の被災者にはわからないところで事態が進んでいきました。
今回の安保法案の論議では、安倍sorryが「避難する日本人を乗せたアメリカの軍艦を自衛隊が守れないのはおかしい」と説明したあたりまでは、議論についていけた人も多いと思います。
ところが、自衛隊関係者など軍事の専門家が、「アメリカの軍艦は民間人を自国民であっても乗せることが無いし、ましてや日本人を乗せてくれるはずがない。設定からして無理があるよ。意味わからん」と反論しました。
さあ、安倍sorryがどう説明するか、注目が集まりました。しかし、国民の期待を裏切って、安倍sorryが何も答えなかったあたりから、議論が意味不明になっていきました。
安保法案によって自衛隊が「集団的自衛権」を実行するようになるのだということは、テレビを見ていればわかります。それが、自衛隊がこれまでの防衛の範囲を超えて外国にまで行くことだというのも、なんとなくわかります。それ、ぶっちゃけ、戦争ですよね。
安保法案によって、自衛隊が新しく実行しなければならなくなる業務の範囲は、想像以上に大きそうです。
まず、地域的な範囲が拡大します。これまでは「日本の周辺」が活動の基本的な範囲でしたが、それが世界中に拡大します。
時間的な制限も取っ払われます。たとえば、イラク戦争に自衛隊が派遣されたとき、期限の定めのある「イラク特措法」が作られてそれに基づいて派遣されたのですが、今回の安保法案では「恒久法」と言って、期間の定めなく派遣する事ができるようになります。いつまでもいつまでも派遣が続くのです。
集団行動の相手も拡大します。日本が正式に軍事同盟を結んでいるのはアメリカだけですが、安保法案によって、どこの国とも軍事的共同作戦が可能になります。当面はオーストラリアやフィリピンが共同作戦の相手国として想定されています。
PKO活動と言って、国連の要請に基づく活動に自衛隊が参加することはこれまでもありました。これが、国連でなくても、総理大臣が「派遣したい」と思えばいつでもどこにでも派遣できるようになります。
現在の世界は、暴力と殺し合いの嵐が吹き荒れています。上の画像は今も続くフィリピン内戦です。自衛隊が共同作戦の相手として想定しているフィリピン軍は、南部のイスラム系の武装政治勢力と血で血を洗うテロの応酬をしているのです。今もです。
そんなフィリピン軍と自衛隊が共同作戦をするようになれば、フィリピンのイスラム武装勢力に日本がケンカを売っているようなものだと思いませんか。
また、やはり共同行動を目指しているオーストラリア軍の仮想敵国はインドネシアです。インドネシアはイスラムの国です。自衛隊がオーストラリア軍と共同作戦すれば、インドネシアのイスラム武装勢力をも刺激することになります。
安保法案が現実にそのような影響を持っているということに、安倍sorryも政府の官僚も、何の説明もしてくれていません。複雑な国際政治の問題は、自衛隊を派遣すればなんとかなるというような単純なものではないのです。、
自衛隊の中でも、安保法案に対する不安が広がっています。安倍sorryが軍事的にはずぶの素人で、甘いことばかりを言っているからです。
安保法案を批判する自衛官OBの発言はしょっちゅう聞こえてきますが、自衛隊の実質的な機関紙である朝雲新聞社までもが安倍sorryを批判するようになっているのです。
「安保法案で自衛隊がいつでもどこにでも派遣されるようになっても、自衛隊員の直面するリスクが増えることはない」これが安倍sorryの公式見解です。人に戦争に行けと言っておいてリスクは増えませんなんて、ウソに決まってます。素人でもわかります。
世論調査でも国民の6割は安保法案に反対です。安倍sorry自身も昨日「国民の理解が進んでいない」と認めました。
そういう中で、昨日の衆院特別委員会で強行採決し、本日の衆院本会議で採決してしまいました。
安倍sorryに、この国をまかせておいていいのか、不安です。厳重に、安保法案の行方を見守っていかなければなりません。そうでないと、私たちの身の安全も守ることができません。
| 固定リンク
「アベノミクスがやってくる」カテゴリの記事
- 世論の力があるんだね! 検察庁法改定案の強行採決を止めることに成功!(2020.05.18)
- シンクライアントなら、データは残っている・桜を見る会疑惑(2019.12.04)
- 年金返せ! 2000万円用意しておけって、無茶苦茶じゃんか!(2019.06.16)
- 「高プロ」働き方改革法案を考えるスタンディング(2018.05.30)
- 高プロ法案が通ったら、驚いた!近未来の日本はこうなる(2018.05.20)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント