主の真理、進撃せよ!キング牧師の感動の映画「グローリー」
キング牧師の感動の実話がついに映画化。「グローリー」を見てきました。
マーチン・ルーサー・キングJr牧師は、今から50年前にアメリカで黒人差別を無くす運動をしていた人です。黒人差別の事件が起きると抗議し、改善を要求し、差別反対のデモを行っていました。
その活躍が認められて、1964年、キング牧師はノーベル平和賞を受賞します。妻と二人で授賞式に招かれたキング牧師。しかし、キング牧師は受賞を喜んでいるひまはありませんでした。黒人に選挙権が無いという深刻な問題の解決を迫られていたからです。
アメリカの中でも黒人差別の強いアラバマ州では、白人には選挙権があっても黒人には選挙権がありませんでした。黒人が選挙をするためにはあらかじめ役所に行って許可を得ないといけないのですが、窓口で絶対に答えられないような難しい質問をされて却下されてしまうのです。そして選挙の許可を申請しただけで職場を解雇されることすらありました。
当時のアメリカのヘイトグループは超過激で、黒人の少女たちを爆弾テロで殺害することすらあったのです。選挙の申請をするような黒人は、テロの餌食になっていきました。
これは、アメリカの憲法に違反していました。キング牧師の差別反対の運動の中で、アメリカの大統領も黒人に選挙権を与えないのはおかしいと非公式には認めていたのです。しかし、選挙の実施方法を決める権限は各州の知事に任されていたため、アラバマでは差別が残っていたのです。
キング牧師は、大統領に面会して平等な選挙権を認める全国一律の法律を制定するように説得しますが、大統領は重い腰をあげようとはしません。
キング牧師はアラバマのセルマの町におもむきます。ここの黒人の住民たちは、なんとか選挙権を認めさせようと一生懸命に勉強して選挙の許可を申請する運動を熱心にしていました。キング牧師は、選挙の許可の申請を一人一人がばらばらに行くのではなく、みんなで一斉に役所に行って全員で要求しようと提案します。
黒人のみんなは、集団で役所前に座り込みます。非暴力を示すために頭の後ろで手を組みます。
キング牧師のやり方は、非暴力不服従です。みんなで団結して、しかしながらおだやかなやり方で要求します。理不尽に暴力を振るわれても暴力でやりかえしたりはしません。しかし、あくまでもそこに居座り、引き下がらないのです。
しかし、黒人差別が正しいという偏見でこりかたまったセルマの役所の官僚と凶暴な保安官は、無抵抗の人々を殴りつけて暴力で無理やり追い払ってしまいます。
キング牧師は、セルマの町から80kmの位置にあるアラバマ州都モンゴメリーまでみんなで歩いて行進し、アラバマ州知事に直訴しようと提案します。
しかし、アラバマ州知事は、黒人差別が正しいのだと公言し、そんな行進は絶対に許可しないと断言します。
そして1965年3月7日、525人の黒人たちがセルマの教会を出発し、モンゴメリーへと向かいました。
セルマの町の郊外にあるエドモンド・ぺタス橋にさしかかると、橋を白人の警官隊が封鎖しています。そして、一斉に黒人たちに棍棒とムチで襲い掛かったのです。逃げ惑う黒人たちを馬に乗った騎馬警官が追いまわし、ムチでたたきのめします。足を骨折する人、頭がい骨を骨折する人。エドモンド・ぺタス橋は血に染まります。
この事件はのちに「血の日曜日」と呼ばれます。上の画像は、実際の「血の日曜日」の報道です。
キング牧師は、もう一回行進をしようと提案します。白人の警官隊の暴行の様子が全国にテレビ中継されたおかげで、黒人たちへの応援の声が高まったからです。二日後の3月9日、全国から集まった白人の牧師たちも参加して、二回目の行進が決行されます。
ここから先はネタバレになるので書けません。しかし、この後、想像をこえることが起きるのです。キング牧師は、行進のリーダーとして、たいへんな局面にぶちあたってしまいます。
差別をなくすことは、民衆運動を通じてしかできません。エリートがいくら崇高な理論を説いても、人々が自らの口を開き、自分の体で差別撤廃を表現し、社会に影響を与えていかなければ、なんの力にもならないのです。
様々な考えの人が集まって民衆運動をするのは、たいへんな手間と労力がかかります。時には意見の対立も発生します。その時に、リーダーである人が大きな間違いをおかさずにみんなを信頼して次に進んでいけるかどうか、たいへん難しいのです。この映画は、そのことを強く感じさせられました。
今年は、この「血の日曜日」事件から50周年になります。3月には、事件のおきたエドモンド・ぺタス橋で記念式典が開催され、オバマ大統領もスピーチしました。
この「血の日曜日」事件ののち、アメリカのジョンソン大統領はすべての国民に平等に選挙権を与えるという法律を作ります。キング牧師の苦闘は無駄にはならなかったのです。
しかし、今でも黒人差別は無くなったわけではありません。アメリカの各地、特に差別の強い南部各州で、白人警官が黒人の若者を虐殺するという事件があとを絶たないのです。
キング牧師が暗殺されたあとも、たくさんの人が後を継いで差別を無くす運動を行っています。人間が自由に輝く明日への行進は今も続いているのです。
あの日、キング牧師は演説しました。
真実と自由へ前進しよう
止まることなく前進しよう
市民としての正当な扱いを要求しよう
悪意と闇を正義の光が照らすまで前進しよう
作り話や不満を言われようとこの運動を止めてはならない
主の真理は進みゆく、栄光あれ
主の真理、進撃せよ!
そして、聞いてください、栄光を求める歌声を。GLORY!
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