パワハラ労災解雇事件が円満解決
2月7日、Χさんパワハラ労災解雇事件の円満和解のお祝いの報告会が行われました。
Χさんは、ナニガシクレガシ社(仮称)で働いていた5年前に、職場のパワハラによってうつ病を発症してしまい、出勤できなくなってしまいました。そして病休にはいって六か月後、就業規則に基づいて退職という扱いになってしまったのです。
Χさんは、なかまユニオンの組合員でした。なかまユニオンは、業務上のパワハラによって発病したのだから、これは労災であると考えました。そして、労災休業中は解雇が制限されるという労働基準法に基づいて、病休六ヶ月で退職という扱いは無効であると考えたのです。
私たちは、ナニガシクレガシ社と交渉すると同時に、弁護士にも依頼して労災申請の手続きを進めました。また、大阪地裁に解雇無効の地位確認訴訟をおこしたのです。
労災認定は難航しました。大阪では以前から、精神障害の労災認定はなかなか認められないのです。7人に1人しか認められないという少なさです。
労災認定が認められるかどうかは、職場のパワハラによる精神的ストレスと、発病とのあいだに因果関係が有ったのか無かったのかにかかっています。Χさんの場合は、主治医ははっきりと因果関係を認めてくれていました。主治医からは、これは労災であるという趣旨の意見書が提出されていたのです。しかし、労働基準監督署・大阪労働局はそれを認めようとはしませんでした。
しかし、厚生労働省の労働保険審査会に再審査の申し立てを行ったところ、審査会は大阪労働局の労災却下はおかしいと、これを覆す決定をしてくれたのです。逆転ホームランでした。
審査会が委託した精神科の専門医、T大学のH医師は、私たちの提出した申し立てをつぶさに検討してくれたうえで、医学的に見て労災であることは間違いないと認定してくれたのです。そして、大阪労働局の労災却下を、「労災認定基準を逆手にとった詭弁でしかない」と激しく指弾してくれたのです。
労災認定が実現したおかげで、ナニガシクレガシ社との交渉にもはずみがつきました。大阪地裁の裁判官の調停もあり、このたび円満な和解、全面的な解決を実現することができたのです。
うつ病を発病してしまった人にとっては、労災認定の手続きの書類を書くだけでも困難なことです。ましてや会社との裁判となれば、多くの困難がまちかまえています。私たちは、Χさんを支える会を結成して、様々なサポートをすることで、ここまでこぎつけることができたのです。本当に、長い道のりでした。
職場状況について証言していただいた同僚の皆さん、毎回の裁判の傍聴にかけつけてくださった支える会の会員の皆さん、そして最強の弁護団の活躍のおかげで、円満解決に達することができたのです。本当にありがとうございました。
なかまユニオンには、職場のパワハラやセクハラについての相談がたくさん寄せられています。どこの職場も、人間が人間として扱われない荒れ果てた状況です。精神的に病んでいく人も後を絶ちません。
私たちは、精神障害が労災としてあたりまえに認定される世の中、職場パワハラの無い社会をめざして、これからもあの手この手で闘っていきます。次の世代に安心して生きていける社会を手渡していきたいと願っているのです。
| 固定リンク
「パワーハラスメントを撲滅するために」カテゴリの記事
- パワハラ防止法が本日から全ての事業所に適用です(2022.04.01)
- 命を奪うパワハラをなくそう!今こそパワハラ禁止法を作ろう!(2018.10.16)
- パワハラ労災解雇事件が円満解決(2016.02.11)
- 集団いじめがエスカレートすると、とんでもないことに(2014.10.25)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
なかまユニオンは
大衆的ですか?
投稿: プリンス | 2016年2月15日 (月) 15時22分
えーっと。
「大衆的な演劇」とか「大衆的な音楽」というのは聞いたことがあるのですが、「大衆的なユニオン」というのは、わたくしよくわかりません。
組合員には老若男女いろんな人がいるので、そういう意味でなら大衆的と言うんでしょうか。
投稿: みるめ | 2016年2月15日 (月) 21時55分