大阪でも大きな地震に備えたほうがいいか
次のようなお問い合わせをいただきました。
熊本地震が続いていて、被災地の皆様は本当にたいへんです。大阪でも大きな地震が来るかもしれないと聞いたんですけど、備えておいたほうがいいでしょうか。
4月14日に始まった熊本と大分の地震は、マグニチュード7クラスの地震が立て続けに2回発生した上に、余震がおさまらず、これまでに大きな揺れだけで1000回を超しました。
地震をおこした活断層は、熊本の布田川断層帯と日奈久断層帯と別府一万年山断層帯なのですが、日奈久断層帯の南半分である八代海区間ではまだ大きな地震が発生していないため、活断層にひずみがたまったままの状態ではないかと言われています。八代や水俣のあたりで大きな地震が発生する可能性はあり、警戒を怠ることができません。
大阪でも大きな地震が発生する可能性があるというのは、江戸時代の慶長大地震の例があるからです。
慶長大地震はいくつもの大地震が連続して発生した大災害でした。まず、マグニチュード7の慶長伊予地震が1596年9月1日に愛媛で発生しました。続いてマグニチュード7の慶長豊後地震が9月4日に大分で発生しました。続いてマグニチュード7の慶長伏見地震が9月5日に京都・大阪付近で発生しました。
五日間の間にマグニチュード7が三つも立て続けに西日本で起きたのです。
そして9年後の1605年2月3日に、太平洋の南海トラフを震源とする慶長地震が発生し、千葉から九州までの広範囲に津波が押し寄せて何万人もが犠牲になりました。マグニチュードは7.9から8.5くらいだったと推定されています。
これらの地震とその余震を含めて、慶長大地震と呼んでいるわけです。
これほどの広範囲にわたって地震が連続したのは、中央構造線と南海トラフとが震源の地震だったからだと言われています。太平洋の海底、駿河湾から九州沖まで、長い海溝があり、これが南海トラフと呼ばれています。ここの海底では南のほうからフィリピン海プレートという岩盤が北上していて、南海トラフで沈み込み、日本列島の地下に潜り込んでいるのです。
そのおかげで、西日本を東西に走る巨大な断層が地上に現れていて、これが中央構造線です。地下深くの岩盤のひずみに押されて、地表の浅いところの岩盤も押し合いへし合いしている状態になっているのです。
慶長大地震は、中央構造線にそって三つの大地震が連続的に誘発されました。愛媛、大分、大阪は地下ではつながっているからです。そして、それが全体として、海底でのより巨大な自身の予兆だったと言えるのです。
今回の熊本地震も、中央構造線にそって発生しています。しかも、熊本での地震が引き金になって大分に震源が拡大しています。このことから考えて、さらに中央構造線にそって震源が拡大する可能性があると考えられているのです。
下の図は、この一か月に発生した西日本の地震です。中央構造線上の和歌山あたりでも、地震が多発していることがわかります。
私たちが生活する大阪にも、中央構造線に沿った活断層がたくさんあります。
そもそも、大阪の街そのものが上町断層帯の隆起によってできた丘が中心になってできあがった街なのです。大阪市内に「四天王寺前夕陽ケ丘」という地名がありますが、これは、そのものずばり四天王寺が立っている夕日が見える丘という意味です。南北に細長い上町大地の西側に断層でできた崖があり、昔はここから大阪湾に沈む夕日を見ることができたのです。
大阪の北側には有馬・高槻断層帯が、東側には生駒断層帯が、南側には中央構造線そのものがあり、大阪は活断層に囲まれた場所だと言っていいでしょう。
私たちの職場の真下にも生駒断層帯に属する断層の一つが存在しています。生駒断層帯は枚方・交野・寝屋川・四条畷・大東・東大阪・八尾・柏原と、南北に続いています。私たちの職場のある寝屋川の東半分、外環状線より東側は丘が連なっていますが、この丘の西側に沿って活断層があるのです。
ただし、発見されている活断層だけが危ないのではありません。発見されている活断層は、過去何百年かのあいだに動いて地震を起こした形跡があるものです。これから地震をおこすかもしれない断層は、まだ眠ったままで発見されていません。ですから、発見されている断層の真上じゃないから大丈夫だとは考えず、活断層があればその周囲はいつ地震が起きるかわからないと考えておくほうがいいのです。
熊本地震のような直下型地震、そして南海トラフ地震による津波、これらに備えておく必要がありますね。家の中の家具の固定は、各人がすぐにでもできることです。古い建物の耐震基準のチェックなども、開始していかなければいけませんね。
中央構造線上の、熊本に近接する鹿児島の川内原発は今すぐにとりあえず止めてほしいです。愛媛の伊方原発の核燃料抜き出しもしてほしいですよね。放射能で瀬戸内海が汚染されたら、取り返しがつきません。
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コメント
どのTV組かはわからないですけど、大阪平野は海抜が低い場所が多くて津波があった場合、(シュミレーション結果では)かなりの被害が出るとやっていたと思います。
大阪湾への津波の直撃ではなくても、巨大な大潮のような津波が起こるかもしれません。
大阪平野にお住まいの方たちは、こういうリスクも想定しておいたほうが良いと思います。
投稿: | 2016年5月 7日 (土) 11時04分