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ネタバレ注意!原発と核の脅威のリアルな恐怖 シン・ゴジラ

 7月に公開された怪獣映画「シン・ゴジラ」が大ヒットし、ロングランで現在も全国で上映が続いています。

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 1954年のゴジラ以来、怪獣映画は日本の伝統文化でしたが、ガメラ三部作以降は作られることが無くなってしまいました。阪神淡路大震災などの大災害を経験し、目の前でビルが倒壊するような事態を目の当たりにしたおかげで、リアリティの無い怪獣映画を作っても受け入れられなくなってしまったからではないでしょうか。

 2011年の3.11、東北大震災の大津波と原発事故は、日本そのものが破滅することを予感させるような大災害となりました。おかげで、怪獣映画は二度と作られることがないだろうとまで言われていたのです。

 そんな中でハリウッドが全く新しいタイプの怪獣映画「パシフィック・リム」(2013年)や、いかにもハリウッドらしい「GODZILLA ゴジラ」(2014年)を作製したのです。日本でもそろそろ新しい怪獣映画を作らねばならないのではないかという話はあったのですが、様々な試みが企画段階でボツになっていきました。いいかげんなものを作ることが許されなかったからです。

 そして、今回の「シン・ゴジラ」ができあがりました。公開されるや大ヒットし、賛否両論ですごい議論になっています。映画誌どころかビジネス誌や科学雑誌や政治団体の機関紙にまで映画評がのるという盛り上がりようです。私たちも、遅ればせながら見に行きました。

 以下、ネタバレそのものなので、これから映画をご自身で見たいと思っていらっしゃる方は読まないでください。

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 物語は、ある年(2026年ころと推察される)の11月3日の午前8時30分ころに突然始まります。東京湾で水蒸気爆発が発生、海底トンネルが崩落するという事故が起きるのです。

 すぐさま召集された政府閣僚たちは「海底火山か」「テロか」と議論を始めます。「生き物かもしれない」という意見は一蹴されるのですが、そのころ現場では巨大な生物の尻尾が目撃され、臨時ニュースに映し出されるのです。

 巨大な生物は、水蒸気を噴き上げながら東京南部の呑川(のみかわ)を遡上し始めます。

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 政府は、対策を迫られます。そして、大河内総理大臣が記者会見で「巨大生物は上陸しない」と発表して国民を安心させることになります。株価の下落を防ぐためです。「足があると思いますよ」という科学者の声は無視されます。

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 ところが、この記者会見の最中に、巨大生物は東京の蒲田に上陸するのです。総理大臣たち政府首脳の無能さを世間にさらした事態でした。

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 巨大生物は街の道路沿いに北上していきます。巨大生物は赤い体液を鰓からぶちまけながら進んでいきます。最初は這いずり回るだけでしたが、次第に足に力がついてきて四足歩行になります。

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 そして、品川に達したところで突然形態が変化し、手足が伸びます。そして立ち上がるのです。

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 政府閣僚たちは、この巨大生物をどうするかでもめますが、結局は駆除処分とし、自衛隊の攻撃ヘリで射殺することになります。ところが、巨大生物の周辺には逃げ遅れたお年寄りがいて、大河内総理大臣は射撃命令を出すことができません。そのうち、巨大生物は海へと引き返していくのです。

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 巨大生物が通過した街は、がれきとなりました。100名の方が死亡・行方不明となりました。政府は巨大不明生物特設災害対策本部(巨災対)を発足させ、再度の上陸に備えて対策を開始します。

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 四日後、ゴジラと名付けられた巨大不明生物は、鎌倉に現れます。大きさは倍増しています。(身長118.5m) そしてまっすぐに東京都心をめざして歩いていきます。ゴジラはゆっくりと歩くだけですが、何しろ図体がでかいので、進路にある物はすべて破壊されてしまいます。

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 政府は東京の手前の多摩川河川敷でゴジラの北上を食い止めようと、自衛隊の出動を行います。陸上自衛隊の攻撃ヘリと戦車、航空自衛隊のミサイルなどを打ち込むのですが、ゴジラの外皮はとてつもなく硬く、まったく効き目がありません。自衛隊ではまったく役に立たないことがはっきりします。

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 政府は日米安保に基づいてアメリカ軍の出動を要請します。世界で最も恐ろしい爆撃機と呼ばれるB2爆撃機が出動し、貫通弾でゴジラを空爆することになりました。東京都民がいる東京の街の中で、いきなり大規模な空爆が始まるというのです。政府は都民に対し、地下に退避することを指示します。地下鉄の駅構内は逃げ込んだ市民で押し合いへし合いになります。

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 B2の貫通弾はゴジラの背中に命中。地中にある軍事施設を破壊するために開発された貫通弾はさすがに強力で、ゴジラもダメージを受けます。

 しかし、ゴジラの背びれが光り始め、もうもうと火炎を吐き始めたのです。火炎は収束し熱線のビームとなり、あたりを焼きつくしていきます。

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 映画の中では明確には触れられていませんが、アメリカ軍の貫通弾バンカーバスターには劣化ウランが使われています。劣化ウランは原発では燃やすことができませんが、核物質代謝生物であるゴジラにとっては核燃料となるのではないでしょうか。

 アメリカ軍は意に反してゴジラに核燃料を補給してしまったわけです。アメリカ軍の貫通弾攻撃が無ければゴジラは熱線を吐かなかったはずだし、東京は火の海にならなくてすんだはずです。ただ歩くだけの巨大生物ゴジラを、巨神兵のように火を吐き人類をおびやかす「核兵器」に進化させたのは、ほかならぬアメリカ軍だったのです。

 退避しようとする政府閣僚たち。しかし避難はまにあわず、大河内総理大臣も防衛大臣も、政府閣僚はまるごとゴジラに熱線で焼き殺されてしまいます。

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 東京駅で動かなくなり睡眠にはいったゴジラ。アメリカは、核爆弾でゴジラを攻撃することを国連で決めてしまいました。核攻撃まで360時間。カウントダウンが始まる中で、日本政府にそれを拒否する力はなく、東京都民全員の避難が始まります。アメリカ大統領特使のカヨコは、そのことを日本に伝えながら、本当にそれでいいのかと悩み始めます。

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 一方で、尾頭ヒロミ課長補佐たち巨大不明生物特設災害対策本部(巨災対)のメンバーは、ゴジラを退治する方法を独自に研究していました。各省庁や大学のあぶれ者、変わり者を集めて結成された研究チームは、これまでの利権やしがらみや固定観念にしばられず、ゴジラの分析を進めました。

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 手がかりは、ゴジラの誕生を事前に知っていた牧悟郎博士の残した解析図でした。分子構造が書かれている解析図は、そのままでは意味がわかりません。しかし、解析図といっしょに置いてあった折り鶴がヒントになりました。解析図を点線にそって折ると、正しい分子構造が見えてくるようになっていたのです。

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 牧博士は、シン・ゴジラという映画の最大の謎です。ゴジラが東京湾に出現した直前に東京湾にいたこと、そしてあたかも遺書のように分子解析図を残したことがわかっているだけです。分子解析図には折り鶴と、宮沢賢治の詩集「春と修羅」、そして「私は好きにした。君らも好きにしろ」という謎の言葉が添えられていました。

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 「春と修羅」を読むと、牧博士の心境が読み取れます。怒りです。

 宮沢賢治は仏教者だったので、仏教の言葉で穏やかな天国をあらわす「春」に、怒りと怨みで突き進まずにはいられない「修羅」を組み合わせ、春であっても修羅でいずにはいられない心の中の怒りを表現したのでしょう。

 牧博士の妻は放射線によって亡くなり、そのせいで日本政府を怨んでいるということがわかっています。これも物語の中では明確には触れられないのですが、2026年ころの物語で妻が放射線で亡くなったということは、妻の死因は3.11福島原発事故にある可能性が高いのです。3.11に対する怒りから、牧博士が放射能を無効にする研究をしていたのです。

 そして、アメリカの情報により、放射性廃棄物の海洋投棄がゴジラの誕生の原因であることがわかりました。牧博士はそのことを知っていたのです。

 放射性廃棄物の海洋投棄は、第二次世界大戦の直後の1946年にアメリカによって始まりました。1955年には日本も放射性廃棄物の海洋投棄を開始しました。深海に捨てれば無害だとあさはかにも考えたのです。現実には、深海から浅い海への海水の大きな循環があることがわかってきて、深海に捨てれば安全ということではないのです。

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 極限環境生物というものがあります。通常の生物が生息できない極限環境で逆に繁殖できる生物のことです。たとえば深海でマグマ活動によって熱水が地下から吹き出ている超高温の環境下で、熱水に含まれる鉱物を栄養にして生きている貝やカニがいます。

 また、ウラン鉱山の地中深くで、ウランの放射線によって発生するエネルギーを食べて生きている微生物が発見されています。

 ゴジラは、深海にいた生物が高濃度の放射性廃棄物の放射線にさらされ、逆に放射性物質を食べて代謝できるように進化した極限環境生物なのです。

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 巨災対のメンバーたちは、ついにゴジラを無力化する方法の開発に成功します。それは、ゴジラに血液凝固剤を投与することで血流を止め、体内原子炉の放熱を止めてしまうという作戦でした。劇中では触れられていませんが、これは一歩間違えば大惨事になります。原子炉の冷却装置を止めてしまおうという話なので、下手をすれば炉心溶融(メルトダウン)をおこしてしまうからです。

 しかし、ほかには道はありませんでした。アメリカ軍の攻撃が近づいている中で、一刻も早く血液凝固剤を製造しなければなりません。しかも大量に。巨災対は、ゴジラに関するすべてのデータを公開し、各地のスーパーコンピューターを使って有効な血液凝固剤の作り方を分析、全国の化学工場に依頼して製造をいそがせました。

 そしてアメリカによる核攻撃の直前に、ゴジラに血液凝固剤を飲ませるヤシオリ作戦が決行されるのです。

(次回に続く)

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