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電通の高橋まつりさんの過労自殺から一年

 本日12月25日、電通で働いていた高橋まつりさん(当時24歳)が亡くなってちょうど一年がたちました。

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 高橋まつりさんは、2015年の春に広告最大手の大企業、電通に入職しました。ところが、ものすごい長時間労働に苦しみ、残業が100時間を超えた時もあったといいます。これだけ残業すると、一日の睡眠時間が2時間とかになってしまうのです。これでは肉体も精神も変調をきたし、おかしくなってしまいます。

 2016年12月25日、高橋まつりさんは職員寮から身を投げて自殺してしまいました。本当にいたましいことです。

 その後の調べの中で、電通という企業が、恒常的に労働者を長時間労働させていたことがわかりました。深夜まで働くのがあたりまえになっていたのです。

 逃げ出せばよかったんだ、そう言う人もいます。なぜ、そんなブラック企業から逃げ出すことができなかったのか。その謎を解くカギは、電通の「鬼十則」にあります。

 これは電通の社員が守らなければならない行動規範の社訓ですが、「殺されても離すな」などという人命軽視の恐ろしい言葉がちりばめられています。まったく、笑ってしまうようなバカな内容なのですが、社会人の経験の浅い新入職員は、これを真に受けてしまうのです。

 そして、笑ってばかりはいられない話。見てください。なんと、私たちの働く小松病院の事務所の壁にも、この「鬼十則」が貼ってあるのです。

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 「鬼十則」は、労働者が自分で自分に呪いをかけ、正常な判断力を奪ってしまうような恐ろしい呪文です。それは、日本の企業のあちこちに浸透し、パワハラや過労死や過労自殺を引き起こす危険な役割を果たしています。

 「鬼十則」という悪魔の呪いをかけられた日本中の労働者が、呪縛を断ち切り、生きていく力を回復することが必要です。

 私たちは、高橋まつりさんのご冥福を心からお祈りします。決して繰り返してはいけません。私たちは、私たちの職場で、パワハラや過労死や過労自殺を無くすように努力していきます。

 高橋まつりさんのお母様が本日発表した手記を、転載させていただきます。

手記全文

まつりの命日を迎えました。去年の12月25日クリスマス・イルミネーションできらきらしている東京の街を走って、警察署へ向かいました。嘘であってほしいと思いながら・・・。前日までは大好きな娘が暮らしている、大好きな東京でした。あの日から私の時は止まり、未来も希望も失われてしまいました。息をするのも苦しい毎日でした。朝目覚めたら全て夢であってほしいと、いまも思い続けています。

まつりは、あの日どんなに辛かったか。人生の最後の数か月がどんなに苦しかったか。まつりはずっと頑張ってきました。就職活動のエントリーシートの自己PRの欄に、「逆境に対するストレスに強い」と書いていました。自分が困難な境遇にあっても絶望せずあきらめないで生きてきたからです。

10歳の時に中学受験をすることを自分で決めた時から、夢に向かって努力し続けてきました。凡才の私には娘を手助けできることは少なく、周囲の沢山の人が娘を応援してくれました。娘は、地域格差・教育格差・所得格差に時にはくじけそうになりながらも努力を続け、大学を卒業し就職しました。

電通に入ってからも、期待に応えようと手を抜くことなく仕事を続けたのだと思います。その結果、正常な判断ができないほどに追い詰められたのでしょう。あの時私が会社を辞めるようにもっと強く言えば良かった。母親なのにどうして娘を助けられなかったのか。後悔しかありません。

私の本当の望みは娘が生きていてくれることです。まつりの死によって、世の中が大きく動いています。まつりの死が、日本の働き方を変えることに影響を与えているとしたら、まつりの24年間の生涯が日本を揺るがしたとしたら、それは、まつり自身の力かもしれないと思います。でも、まつりは、生きて社会に貢献できることを目指していたのです。そう思うと悲しくて悔しくてなりません。

人は、自分や家族の幸せのために、働いているのだと思います。仕事のために不幸になったり、命を落とすことはあってはなりません。まつりは、毎晩遅くまで皆が働いている職場の異常さを指して、「会社の深夜の仕事が、東京の夜景をつくっている」と話していました。

まつりの死は長時間労働が原因であると認定された後になって、会社は、夜10時以降消灯をしているとのことですが、決して見せかけではなく、本当の改革、労働環境の改革を実行してもらいたいと思います。形のうえで制度をつくっても、人間の心が変わらなければ改革は実行できません。

会社の役員や管理職の方々は、まつりの死に対して、心から反省をして、二度と犠牲者が出ないよう、決意していただきたいと思います。そして社員全ての人が、伝統を重んじることに囚われることなく、改善に向かって欲しいと思います。日本の働く人全ての人の意識が変わって欲しいと思います。

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長時間労働は体に毒です」カテゴリの記事

コメント

まつりさんが過労状態での苦痛に苦しんで相談しても助けてもらえなかったわけです。
もしも最初から困ったときに助けてもらえないとわかっていれば、無理はしなかったと思いますが、「鬼十則」が刷り込まれていたのでそういう事にならなかっただと思います。

洗脳とマインドコントロールという言葉がありますが、同じように思っていましたがそれぞれ意味は違うそうです。

余談ですが、あるメーカーでは巻物に書かれた綱領を読み上げるさせるなどしていましたが、偽装請負やパワハラやイジメが蔓延するような酷い環境でした。
”創業者の逸話や美談”で洗脳やマインドコントロールのようなやり方は、まだ無くなってはいません。

投稿: | 2017年3月 4日 (土) 15時17分

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