街が病気になっている・寝屋川監禁致死事件
12月の暮れも押し迫った時に、寝屋川市内の監禁致死事件が報道されました。実は、私たちの働く病院のすぐ近くなのです。
事件後しばらくは、現場であった家の前には報道陣がつめかけ、近づくこともできませんでした。三週間がたち、やっと手を合わせにいくことができました。
33歳の女性が小学6年生の時から16年間自宅に監禁され続け、ついに栄養失調で衰弱して凍死したという事件です。発見されたときは体重が19キロしかなかったといいます。
事件のことを聞いた時、なぜ衰弱して亡くなる前に病院に連れてきてくれなかったのか、まずはそう思いました。
病院で働いている者は、病院に来た患者さんの命を救うために、できることはなんでもします。でも、病院に来ずに連絡もしてくれなければ、何をすることもできないのです。
その後の報道を見ていると、小学生の頃に同級生が異変に気付いていたとのこと。なんとかしようとした人はいたけれど、どうにもならずに今回のような最悪の結末を迎えてしまったようです。
これは虐待です。精神障害だからという理由で監禁していいはずがありません。監禁したあげくに死に至らしめた両親に強く腹がたちますが、監禁が始まった時からすでに両親も病んでしまっているように感じます。
強くただよう無力感。私たちが日々働いて生活している街に、何かが欠けている気がします。地域社会の重大な機能不全です。街が病気になっている、と言えばいいのでしょうか。
「赤字か黒字か」「ノルマは達成できているか」。それは大切なことです。しかし、そんなことで必死になって走り回っているうちに、何か大切なものを置き忘れてきたのではないでしょうか。
この事件を、無かったことにはできません。どう受け止め、何を対策としていくのか、医療に携わる者として重い宿題をかかえてしまいました。
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