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広河隆一による性暴力事件の真相解明を望む

 DAYS・JAPANの発行人であった広河隆一氏が行っていた性暴力事件が問題になっています。

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 パレスチナをはじめとする世界の戦争の被害の現実を伝えた戦場カメラマンとして、また写真ジャーナリズム雑誌DAYS・JAPANを立ち上げ発行してきたジャーナリストとして、広河隆一氏は有名でした。

 戦争、難民、原発災害など、世界でおきている様々な事件で、テレビ取材陣が行けないような場所で、その被害者の姿をとらえ、人権侵害をなんとかしようと訴えてきたその写真の力。権力によって隠された問題を可視化し、国際的な支援の手が差し伸べられるようにと、大きな力になってきました。

 その広河氏が、複数の女性に性暴力を行っていたことが週刊文春の記事で明るみに出たのです。DAYS JAPAN2月号には広河氏自身のコメントと、DAYS・JAPAN編集部による謝罪の記事が掲載されました。

 また、DAYS・JAPAN3月号は、全ページにおいて広河氏の性暴力事件の真相解明を行う編集方針であることが発表されています。

 被害者は複数名いらっしゃり、広河隆一氏が有名な写真ジャーナリストであったことや、DAYS・JAPANの発行人であるという権力的な立場を利用した、パワーハラスメントと一体となったセクシャルハラスメントであったことも分かってきています。

 DAYS・JAPAN2月号の発行の後になっても、新たな被害者が被害の実態を公表しています。被害の広がりはすさまじいものだったのだと考えられます。

 私たちは、人権団体の中でのセクシャルハラスメント、人権活動家によるセクシャルハラスメントを無くすことをこれまでずっと訴えてきました。

 私たちが活動するなかまユニオンの中でも、かつてセクシャルハラスメントがありました。男性主導の組織の中では、被害者が被害を訴えることそのものが難しかったのです。また、問題が発覚しても解決のために動くことがなかなかできなかったのです。

 また、他の人権団体のことですが、セクシャルハラスメントの被害者が問題解決のために相談に訪れたのに、その人権団体の人にまたしてもセクシャルハラスメントされてしまうという事件が、現実にあったのです。

 おそらく、日本にある人権団体、労働組合、NPO、その他あらゆる集団の中で、セクシャルハラスメントと無縁な集団などは無いのです。

 ですから、人権団体の中ではセクシャルハラスメントは起きないはずだと安心していてはいけないのです。逆に、人権団体の中でもセクシャルハラスメントは簡単に起きるし、そのことをいつも念頭に置いてセクシャルハラスメントが起きないように絶えず努力を続けることが大切なのです。

 トップダウンの「集中性」が強調される組織ほど、セクシャルハラスメントが発生しても、力を持った上層部の意向を忖度するばかりで、被害の事実を隠蔽しようとします。それが、被害者をさらに追い詰めて苦しめ、次の日には新たな被害を生み出すのです。

 広河氏は、カメラを持って世界の戦場や災害被災地や貧困な地域をまわり、被害者の心の底まで写し出すような写真をたくさん撮ってきました。ならば、広河氏は、私たちが生活する身近な社会の中で、性暴力に苦しむ人たちがいることを、なぜ写真に写し出さなかったのでしょうか。

 多くの企業の中で、街頭で、セクシャルハラスメントは毎日のように発生しています。被害者が泣き寝入りしているから発覚しないだけです。そのことに気づき、可視化するために、写真ジャーナリストができることがあるのではないでしょうか。

 広河氏は、自分を慕う支持者や、自分の作った企業の従業員にも、心のカメラを向けるべきでした。また、自分自身が周りからどのように見えているか、時には大きな鏡に向かってカメラのシャッターを切るべきだったのではないでしょうか。

 DAYS・JAPAN3月号に何が書かれるのか、注目したいと思います。

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