映画「百年と希望」 共産党、変わらなきゃ!
今年の7月に結成100周年を迎えた日本共産党についてのドキュメンタリー映画「百年と希望」を見てきました。
労働組合の活動をしていると、様々な場面で日本共産党に出会うのです。労働組合の運営をしっかりとやっている共産党の人に出会うこともありますし、共産党員の弁護士さんにお世話になることもあります。
労働組合に関わっていると出くわすのですが、労働組合には二つの大きな流れがあります。一つは「共産党を容認する」という流れです。もう一つは「共産党を拒否する」という流れです。
日本で最大の労働組合の連合体である「連合」の芳野会長は、「共産党」と聞くだけで不機嫌になり蕁麻疹が出るという方です。共産党が嫌いなあまりに、立憲民主党に「共産党とつきあうな」などと横やりを入れています。労働組合が政党の運営に口を出すのは越権行為なのにです。
私たち、なかまユニオンは、共産党を毛嫌いすることは無いと考えています。と言うか、毛嫌いしていてはやっていられません。悪徳企業の横暴に対決してなんとか勝っていかねばならない局面で、共産党の方に助けを求めることも多いからです。
映画「百年と希望」では、「共産党変わらなきゃ」というメッセージを強く受けとりました。
100年前と今とでは、社会状況はまったく変わっています。100年前は、世界で「コミュニズム運動」が本格的に始まったばかりで、コミュニズムを漢字で表現して「共産党」という言葉を作るところから始めたわけです。世界のコミュニズム運動を主導したコミンテルンの日本支部として発足し、共産党の存在そのものが日本の法律では認められませんでした。多くの共産党員が投獄され、殺害されました。
77年前に戦争が終わって、日本共産党は合法的存在として認められました。しかし、党の中に戦前の固定観念が残っており、暴力革命を目指すという方針が出て大失敗したりしました。
その混乱の中で、共産党は1950年代に長い分裂を経験しました。暴力で革命を起こすのか、平和的に革命を起こすのか。主な敵はアメリカなのか、日本の独占資本なのか。社会主義国ソ連は日本人民の味方なのか、敵なのか。様々な論点が一斉に噴出しましたが、当時の情勢展開の複雑さと理論的な限界性の中で、民主的、理性的に議論を尽くすことができず、党幹部が半ば強引に議論を打ち切って「もう、これで行く。異論は認めない。」と再出発したのが1955年~1961年でした。「暴力革命は行わない」と決めたのは良かったのですが、その後も、異論を持つ党員が一方的に党員資格をはく奪されるという混乱が1970年ころまで続きました。
こんないきさつから、共産党の中では異論を主張するのはたいへん難しい状況があったのです。しかし、LGBTQ問題で粘り強く異論を主張した人たちがいました。「LGBTQは認めない」という考え方だった日本共産党は、長い長い議論を経て、「LGBTQの権利を守る」へと転換したのです。50年間も議論を続けたというのですから、感心すると同時に、もうちょっと早く何とかしてほしかったと思いました。
映画「百年と希望」の中では、2021年の衆議院選挙でLGBTQの権利を守ろうと訴えた日本共産党の若い人たちの姿が鮮やかに描き出されています。
また、学校でのツーブロック禁止など、理不尽で時代遅れな髪形規制の校則の撤廃をめざす運動にも取り組んでいます。若い世代の抱える問題を、若い世代が中心になって解決していこうと着実に運動を進めているのです。良いですね。このような場面を見ると、日本共産党がんばれと応援したくなります。
2015年の安保法制反対運動のころから、日本共産党は変わろうとしてきたことを感じます。「私だけが正しい」という独善主義から野党相互尊重の共闘路線への転換です。そして、それはまだ変化の途上です。
日本のマルクス主義の業界には、100年前から未だに未解決の理論的問題が残っています。前衛党組織論です。それが、日本共産党にも大きな影を落としています。私たちとしても他人事ではありません。日本共産党に集まっている若い世代の人たちといっしょに解決を目指したいと思いました。
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