コミュニティ・ユニオン全国交流集会in札幌 (2日目) パワハラ対策分科会 パワハラ被害を修復すること
コミュニティ・ユニオン全国交流集会in札幌。2日目は、各分科会に分かれての討議です。私は、ハラスメント対策の分科会に参加しました。
ハラスメント対策分科会には、全国各地のユニオンでパワハラ事件の解決に向けて粘り強く対策を続けている第一線の相談員たちが集まって、日々の活動の交流を行いました。
1日目の全体集会でも発言があった、横浜での三菱電機パワハラ事件の被害者も参加しました。
この事件は、若い新入職員の技術者が上司からパワハラを受け、同時に長時間労働を強いられ、精神疾患を発症してしまい、あげくの果てに解雇されてしまったという事件です。
最初は三菱電機の企業内労働組合に相談したのですが、何もしてくれませんでした。よこはまシティユニオンに相談して加入し、労災認定を実現することができました。そして、解雇を撤回させ、職場復帰に向けて会社と交渉しました。
当初は交渉は難航したのです。しかし、三菱電機の製品品質に関わる不正事件があいついで暴露される中で転機が訪れました。会社内の不正とパワハラは表裏一体ですよね。不正がある会社だからパワハラがはびこるのです。社会的に不正を無くさなきゃいけないという立場が問われてきたら、パワハラも無くそうという話になるのです。長時間労働の温床である裁量労働制の撤廃など、職場改善が本格的に始まりました。
会社経営側の担当者が、職場復帰をまじめに考えてくれるようになったおかげで、様々な配慮がされるようになりました。すでに体調回復のために軽度の業務から就業しており、近々本格的に職場復帰をできるところまで来ました。
分科会の中では、「修復的司法」という言葉が紹介されました。「修復的アプローチ」とか「修復的正義」とも言います。
「修復的司法」の反対語は、「応報的司法」です。
犯罪事件が起きてしまって、被害者が身体や心を傷つけられたり、社会関係を損なわれたり、人生を脱線させられたりした時に、じゃあどういう観点を大切に法を適用していくのかという考え方の問題です。
「応報的司法」は、加害者をひどい目にあわせるという考え方です。被害者があったようなひどい目に、加害者もあってもらおうという考え方です。「目には目を」というやつですね。問題は、これだと被害者は救われないということです。
「修復的司法」は、被害者のこうむった損害を修復するという考え方です。まず、被害者が自分は正義に反する犯罪の被害者であったと認識できなくてはいけません。パワハラ事件の場合、被害者の方が「自分が悪かった」と思い込まされていることが多いのです。社会的なサポートによって、被害者が「何が正義であるか」をはっきりとさせるようにしなければいけません。
そして、加害者もまた、自分は正義に反する犯罪を犯してしまったという事実を認識し、損なわれた被害者の人生を修復する責任があるのだという自覚を持てなければなりません。今の日本の会社では、パワハラが起きても加害者が責められることがなく、うやむやになってしまい、再発することがよくあるのです。これではいけません。
ユニオンが選んでいく考え方、パワハラ事件の解決の道は「修復的司法」であることが、分科会の中では強調されていました。
分科会の討議を通じて、パワハラ事案は裁判で勝つとか賠償金を取るとかいう解決もあるわけだけれども、そこにとどまらず職場改善を実現して被害者が健康に働き続けられるようにすることこそがユニオンにしかできない役割だと確認できました。
分科会参加者の報告は、このほかにも様々なテクニカルな面で学ぶことが多かったのです。今後の相談活動にすぐにでも活かしていけます。参加して良かったと思いました。
分科会のあとは、閉会集会で集会宣言を採択しました。
コミュニティ・ユニオン全国交流集会は、来年は熊本で開催されます。それまで一年間がんばって、また成果を持ち寄りたいと思います。
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