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コミュニティ・ユニオン全国交流集会in札幌 (1日目) 画期的な成果を勝ち取ったユニオン

 10月15日と16日の二日間、札幌で第34回コミュニティ・ユニオン全国交流集会in札幌が開催され、全国のコミュニティ・ユニオンから250名が参加しました。

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 今年の全国交流集会では、三つの画期的な成果が特別報告されました。

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 一つ目。神奈川県のよこはまシティユニオンからは、三菱電機でパワハラと長時間労働により精神疾患を発症してしまい、解雇された事件についての報告がありました。詳しくは2日目のハラスメント対策分科会で論議されたのですが、ユニオンが関与することで労災認定を勝ち取り、会社に職場でのパワハラ対策を実施させて、本人がもうすぐ職場復帰できるところまでこぎつけたというのです。

 一度、うつ病などの精神疾患を発症してしまうと、なかなか治らないのです。治っても、職場のパワハラ体質が変わらなければ、職場に戻ることができません。その点を、ユニオンの粘り強い取り組みの中で突破してきたという事例です。

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 二つ目の報告は、私たちなかまユニオンからでした。東リ偽装請負事件です。最高裁で派遣法見なし規定を適用した勝利判決を史上初めて勝ち取り、不当解雇された5名が「解雇されていなかったものとして扱う」ということになりました。下請けで働いていて会社の気ままで解雇されたたくさんの労働者に希望をつなぐ判決でした。

 しかし、会社は当該労働者に「賃金は払うが、職場に戻って働いてもらうのはイヤだ」という、なんとも不当な態度に出てきました。私たちなかまユニオンの闘いは続きます。

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 三つ目の報告は、地元、札幌地域労組からです。花畑牧場のベトナム人スト報復事件が勝利和解したという報告です。チーズやキャラメルで有名な花畑牧場で、ベトナム人労働者たちがきびしい労働条件で働いていました。ある日、会社は社員寮の光熱費を一方的に値上げすることを通告してきました。とうてい支払えないような金額だったのです。ベトナム人労働者たちは、話し合いも無い一方的な措置に抗議し、労働組合が無いにも関わらずストライキをきちんと通告し、実際にストライキを行ったのです。「私たちは労働組合である」と一言宣言してからストライキをすれば、日本の労働組合法で保護されます。しかし、法律がよく分からなかったため宣言抜きでストライキに立ち上がったのです。

 会社は、報復のためにベトナム人労働者たちを解雇し、刑事告訴しました。しかし、ベトナム人労働者の相談を受けた札幌地域労組も立ち上がりました。宣言が無くても実質的に労働組合活動であったわけだから、労働組合法で保護されて当然なのだと考えたのです。交渉の結果、会社は謝罪して告訴を撤回、勝利和解となりました。ストライキという行為は、人類普遍の尊厳に伴う権利、人間ならだれでも生まれながらに持っている権利であって、法律上の手続きの落ち度くらいでは否定されるものではないのです。

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 そして北海道ならではの特別講演。「先祖のように自由にサケを獲りたい」という市川守弘弁護士の講演でした。かつて江戸時代まで、まだ蝦夷地と呼ばれていた北海道では、アイヌは自由に川でサケを獲っていました。サケはアイヌの神からの贈り物であって、主食であると同時に、皮からは衣類も作っていました。そして、サケは和人(アイヌ以外の人・日本人)に販売する大切な商品でした。サケはアイヌの生活そのものだったのです。

 ところが、明治政府はアイヌが川でサケを獲ることを禁止してしまいました。これはアイヌの土地を一方的に大日本帝国に併合する侵略の一環でした。

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 アイヌは北海道の先住民族です。アイヌは国家を持っていなかったと言われていますが、各地の集落である「コタン」が行政権を持っていました。小さな村落国家が無数にあるのが、アイヌの国のあり方だったのです。

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 国連の定める先住民族の権利宣言でも、先住民族が奪われた権利を取り戻し、再生し、発展させることができることが謳われています。日本政府は、個人としてのアイヌは存在するが、アイヌのコミュニティは既に存在していないので、権利を主張する主体が存在しないという考え方をしています。しかし、厳しい差別がある中で「私はアイヌだ」と言えない人が多いだけで、北海道にはたくさんのアイヌのコミュニティが現にあるのです。

 北海道浦幌町に居住するアイヌのコミュニティ、ラポロアイヌネイションは、十勝地方に存在していたいくつかのコタンの構成員の子孫です。埋葬されていたアイヌの遺骨を和人の研究者が勝手に盗掘して持ち去った事件で、遺骨の返還を求める闘いをしてきました。そして、北米の先住民族が川でサケを獲る権利を取り戻してきた運動と連携をとりながら、アイヌのサケを獲る権利を認めさせる闘いをしています。

 人間の権利というものは、憲法や法律に書かれているから存在しているのではありません。人間がコミュニティで生きている中でつちかってきた尊厳が、生活が、闘いが、権利というものを形作っているのです。もし、なんらかの権利がまだ法律に書かれていなかったとしたら、私たちは尊厳を認めさせる闘いを起こして、法律に書かせるようにしていけばよいのです。そのことを教えてくれた、コミュニティ・ユニオン全国交流集会の一日目でした。

(つづく)

 

 

 

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