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神明会ラ・アケソニアの介護職員が残業代の支払いを求めて裁判を開始

 大阪府箕面市にある介護老人保健施設ラ・アケソニアの職員と元職員16名が、残業代の適切な支払いを求めて、経営者である医療法人神明会を、本日2023年1月18日、大阪地方裁判所に訴えました。

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 なかまユニオン神明会ラ・アケソニア分会は、本来は支払われるべき残業代をまだ払ってもらっていないということで、ちゃんと支払うようにと、以前から神明会と団体交渉を行ってきました。

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 神明会は、たしかに未払いの残業があるということを交渉の中で認めました。しかし、支払わないと主張したのです。「残業の事前申請で上司が残業代は出るよと言った場合しか、残業代は払わない」という主張のようです。

 残業代を払ってもらえなかった当事者となかまユニオンは、これはもう裁判の場ではっきりさせるしかないと考えました。

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 給料をもらえなかった残業には様々な場合があるのですが、特に問題なのは「前残業」です。

 「前残業」(まえざんぎょう)とは、始業時間の前に出勤して働くことです。ラ・アケソニアでは、夜勤が始まる前に早く出勤して、夜勤帯にすることになっている雑務を先にやっておくということが常態化していました。

 介護施設の夜勤は、ワンオペになることも多いのです。ワンオペで利用者さんの応対をしながら、様々な雑務をこなさないといけません。利用者さんに何かトラブルが起きると、その対処のために何時間もかかりきりになるので、雑務ができなくて残ってしまいます。それを避けるため、前残業をしてあらかじめ雑務をしておくのです。そして、トラブルはしょっちゅう起きるのです。「恨むならトラブルを起こした利用者を恨め」と責任をなすりつけても、何の解決にもなりません。

 こんな雑務は、雑務といえども立派な仕事ですよね。それなのに、神明会はそんなことには残業代は払えないよと支払いを拒絶したのです。

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 介護・医療の業界では、給料が支払われない前残業というケースが、いくらでもあります。私自身も、病院勤務の中で前残業をしましたし、看護師は電子カルテからの情報収集という業務のために前残業をするのが当たり前になっていました。

 「まあ、仕方ないか」と、あきらめていた部分もあると思うのです。しかし、前残業で給料が払われない状態が続くと、その分の努力は「誰も働かなくても現場が回っている」と、経営的には無かったことにされてしまうのです。そして、厚労省官僚が介護保険報酬や医療保険報酬を計算する時に、「思ったより人件費はかかっていない」と不当に安い報酬として計算されてしまうのです。

 経営者を甘やかしてはいけません。そして、厚労省官僚を勘違いさせてはいけません。私たちは、現にここで働いているのです。私たちが働いているから利用者さんの生活がなりたっているのです。それを無かったことにさせてはいけません。

 これは、裁判を起こした16名の給料の問題ではありますが、それにとどまりません。人手不足が深刻なせいで、燃え尽きて退職する人が出て、さらに人手不足になっていく。この介護業界の悪循環を断ち切るという問題なのです。

 前残業も労働時間であると認めさせましょう。裁判を起こした16名を応援して、私たちも闘います。

 

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