医療制度改悪やめてくれ

消費増税なのに薬価が引き下げ・これじゃ保険医療はつぶれるよ

 来年4月の薬価の引き下げについて、なかまユニオンの中で話題になりました。

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 これは、10月18日の新聞記事です。

 来年度、2019年の4月に「薬価を引き下げる」という報道です。見出し( のところ)に、はっきりとそう書かれています。

 ところが、その見出しの下の解説コラムに、逆に「薬価を引き上げる」と書かれているのです。( のところ)

 これはいったいどういうことでしょうか。書き間違いの単純ミスか、とも思いましたが、そうではないのです。

 くだんの解説コラムを読んでみましょう。

 「薬価は、病院などが患者に処方する医薬品の公定価格。2年に1度の診療報酬改定で、病院などが医薬品卸業者から仕入れる市場価格の水準に合わせる。今回の改定は消費増税に対応するための臨時のもの。病院などが医薬品を仕入れる際は消費税がかかるが、患者に処方する際は非課税のため、このままだと増税分を病院などが負担することになる。このため増税相当分だけ薬価を引き上げる。」

 この解説コラムの内容は、理にかなっています。保険医療は消費税非課税扱いとなっているので、病院や薬局の窓口では消費税を加算することができません。しかし、病院や薬局が仕入れる際には消費税を払わないといけません。結果、消費税分を病院や薬局が損することになるのです。そうならないために、薬価は消費税相当分を含む額とされているわけです。

 つまり、消費税が8%から10%に増税されるなら、薬価は2%分が引き上げられて当然なのです。解説コラムにある「増税相当分だけ薬価を引き上げる」が正しいのです。

 ではなぜ、それとは真逆に、見出しにあるように「薬価が引き下げ」という結果になるのでしょうか。

 これは、財務省・首相官邸がいっさいの理屈抜きで薬価を引き下げようとしているからなのです。「おまえら、薬価を引き上げて欲しいなんて、よくも言ってきたな!じゃあ、薬価を引き下げてやる!理屈なんて無くてもいい!何がなんでも薬価を引き下げてやる!と、切れに切れまくっているのが財務省なのです。

 彼らは、薬価を下げれば、保険医療への国の補助金を減らすことができるという考えなのです。財務省をあやつる安倍総理大臣は、なんとしてでも社会保障にかかわる国の出費を減らそうと考えているのです。

 当然、財務省・首相官邸と、薬価行政に直接かかわる厚労省との間にも、考え方の食い違いが発生しています。消費税の増税にあたって薬価を引き上げなければ、病院や薬局の現場が損をし、保険医療が成り立たなくなるからです。

 しかし、安倍総理大臣の独裁的なやり方に逆らうことができるはずがありません。閣僚も官僚もみんながイエスマンに成り下がってしまいました。安倍総理に任命された厚生労働大臣様は、国民の社会保障をどう守るかなんていう「難しいこと」はさっぱりわからないようです。

 「消費増税は社会保障の充実のため」と安倍総理大臣は言います。これまでもずっと言い続けてきました。それなら、なぜ社会保障を削るような薬価引き下げを強行するのでしょうか。ウソもいいかげんにしてほしいのです。

 消費税の10%への増税は、絶対に許してはいけません。貧困な庶民が苦しむだけです。まじめに保険医療に苦労している病院や薬局が経営破綻になります。そして消費が低迷し、景気が冷え込み、経済そのものが破綻し、国が滅びます。

 もう、ガマンできない!消費増税許せない!

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「大阪の病院の三つに一つが消滅する」そんな計画が決まった

 大阪の病院の三つに一つが5年以内に消滅するって、聞いてましたか?ウソのようなホントの話。

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 誰に聞いても、「そんなの知らないよ」と言います。しかし、病院で働いている私たちは知っています。自分たちが働く「病院」という存在が風前の灯なのを。

 3分の一が消滅するのです。病院を廃業して介護施設に変わる病院もあるでしょう。また、倒産してしまう病院もあるでしょう。

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 これは、今年の3月に大阪府が発表した「大阪府医療計画(第7次)」にはっきりと書かれていることなのです。松井知事もハンコを押した、大阪府の正式の決定です。

 現在、大阪府には病院のベッドが89006床あります。それを5年後までに60890床に減らすというのです。ざっと9万床が6万床に減るわけで、3万床の減少、つまり三分の一が減らされるということです。

 病院のベッドを減らす目標数のことを「基準病床数」と言います。

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 「基準病床数とは、病床数を抑制することを目的に定めるもの」とはっきりと決められています。

 基準病床数は、どうやって計算するのか。下記の計算式によるのですが、なんともわかりにくい計算式です。

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 このわかりにくい計算式にもとづいて計算すると、結果として大阪では病床数を三分の一減らさないといけないということになるのだそうです。

 大阪はまだましなほうで、全国的には病床数が二分の一になる都道府県がざらにあります。

 病床数が減らされると、病院は経営が成り立ちません。ですから、病院の数は今のままで病床数が三分の一減るということは、ありえないのです。病院の数そのものが三分の一減ってしまいます。

 「アメリカでは日本より入院患者が少ないから、日本も減らすんだ」と厚労省の官僚は言います。安倍晋三総理もそう言います。なんでもアメリカの真似をすればいいんか?アメリカの押し付けがそんなに好きか?と思いますが、アメリカでは入院しなくても治療を行う体制が充実しているから、入院患者が少ないだけなのです。

 「日本も在宅医療を推進する」と安倍晋三総理や厚労省官僚は言うのですが、それなら在宅医療をもっと推進するような政策を実施するべきではありませんか。あるいは、介護体制がもっと充実するような政策を実施すべきではありませんか。

 在宅医療を推進すると口では言いますが、肝腎の政府予算は全然増えていないじゃないですか。介護も減らされる一方です。

 入院医療よりも在宅医療の方がコストがかかるんですよ。患者を一か所に集めて治療するからコストダウンになるということで、日本では入院治療がメインでした。これを在宅医療に切り替えれば、それぞれのお家に出かけて手間がかかる分、コストも大きくなります。

 在宅医療を推進するのなら、国は医療予算を今の2倍にも3倍にも増やすべきなのです。医療や介護に投資せずに、経済成長はあり得ません。

 在宅医療推進は口先だけ。病院は減らす。こんな政治をしていたら、高齢化が進む中で日本人は野垂れ死んで行くだけです。なんて冷たい政治なんでしょうか。

 

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診療報酬のマイナス改定なんて、ありえない!

 来年の4月の診療報酬改定がマイナスになると、安倍政権・厚労省が言っています。とんでもない話です。

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 診療報酬のマイナス改定ということは、医療機関の収入がマイナスになるということです。ここ数年、消費税がどんどん上がる中にあっても、診療報酬改定はマイナスが続いてきました。病院の出費は増えていくのに、収入は減る一方なのです。それが、国策だと言うのです。

 医療技術が進歩すればするほど、病院の出費は自然に増えていくんですよ。これまでは無かった治療法が新たに開発されれば、病院としては実施しないわけにはいきません。そういう最新の医療行為は、出費を伴うわけです。考えてみればあたりまえですよね。

 なのに、なぜ収入は増えないのか、おかしいわけです。

 すでに日本全国の病院の半分が赤字です。来年4月の改定こそは、プラス改定にならないと日本の医療が持たないのです。

 これまでは健康保険が使えた医療行為が、どんどん保険が効かなくなっていること、世間にはあまり知らされていません。私たちは病院で働いているので、よくわかります。「先月までは保険が効いていたのに、今月からは保険が使えません。」そんなことが、どんどん拡大しています。

 保険が使えなくなるということは、その医療行為をすることをあきらめるか、全額自費負担で行うか、どちらかということです。どちらにせよ、日本国内の人々の医療を受ける権利が少しづつ切り縮められているわけです。

 患者さんから、「なんでやねん!」と怒られますが、病院がそうしたいわけではなく、国策で無理やり決められたことなのです。国策のせいで怒られてストレスをためこむのは、病院で働いている労働者です。やってられませんよ。

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 診療報酬のプラス改定が実現しなければ、医療で働いている労働者の労働条件は悪くなる一方です。あれも切り詰め、これも切り詰め、節約しまくる職場運営がもう十年近く続いているのですが、それも限界に近づいています。

 医師はたくさん給料をもらって贅沢しているというイメージが強いですが、第一線で苦労している医師は自らの命を削り、過労に悩んでいます。過労死寸前のまじめな医師ほど、給料もそんなに高くはないのが実情です。

 診療報酬を増やし、十分な人員体制で人の命を守る激務に臨むことが必要です。

 私たちは、医療現場での過労死を防ぐためにも、診療報酬のプラス改定を求めます。それが国民が医療を受ける権利を守ることにもなるのです。

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全国の病院で看護師削減計画が進行中

 日本全国の病院で、看護師削減計画が進行中です。

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 私たちの働く病院でも、6つある病棟のうち2つの病棟が9月1日より看護師の数が3割削減となりました。

 今年4月の厚労省の政令で、10月1日までにはこの看護師削減を実施しておかねばならないということになったのです。厚労省の定めた基準を満たさない病棟は看護師を3割削減しなければならない、そんなことが実施されてしまったのです。

 そんな話、聞いたことないよという方がほとんどだと思います。たしかに、新聞にもネットニュースにも流れませんでした。というのは、厚労省の政令発布というのが、以前からある政令の改訂という形で、一般国民どころか新聞記者にもわからない形で行われたからなのです。

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 上の表が、その厚労省の政令改訂です。「1割5分」という文言が「2割5分」に変わっただけです。それで、現実社会では10月1日から看護師の数が削減ということになるのですから、恐ろしい話です。

 これは、2011年に厚労省が計画した看護師14万人削減計画の一環です。2011年から2025年までの14年間で病棟の看護師を14万人削減するという、大規模なリストラ計画が進行中で、今年の10月1日はその一つの節目なのです。

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 看護師を削減するということは、実は病院の病床数を削減するということなのです。団塊の世代が高齢者になり、病院のベッドが最もたくさん必要になるだろうと予測されるのが2025年です。2011年の時点で日本中の病院のベッド数の合計は166万床でしたが、2025年には200万が必要になると見込まれているのです。

 常識的な頭を持っている人が考えれば、2025年までにベッド数を200万に増やすにはどうしたらいいかという計画をたてるはずです。ところが、実際には厚労省はベッド数を159万に減らすにはどうしたらいいかという計画をたてたのです。厚労省の官僚というのは、なんと敬老の精神を持たない冷酷な連中なのでしょうか。大和魂はどこへ行ってしまったのでしょうか。そして、ベッド数削減のかなめが、看護師14万人削減計画だったのです。

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 看護師が減れば、これまでのような入念な看護はできなくなってしまいます。そして病院のベッド数そのものが減らされて、入院したくても入院できなくなっていくのです。

 在宅医療が拡充すればそれでいいのだと厚労省の官僚たちは言い放ちます。しかし、在宅医療というのはなかなか困難なことなのです。

 在宅ではどうしようもないから入院しようかという高齢者がたくさんいるのに、その受け皿である病院のベッドを減らしてしまうことは、あまりにも危険な政治のやり方だと思います。

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4月から入院費も値上げ・病院に行ったら罰金を取られるのがアベノミクス

 どんどこ物価が上がるアベノミクス。入院費用も4月から値上げです。

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 入院した時の食事代は、3月までは一食が260円でした。それが4月から360円に値上されました。100円の値上げ幅です。

 100円の値上げと言っても、病院に入るお金が増えるわけではありません。患者の負担額が増えた分、保険からの支払いが100円減るのです。それは、保険への国からの補助金が減るということを意味しています。つまり、国が補助金をケチった分が、値上げになったというわけです。

 消費税が8%に値上げになった時、社会保障を充実させる財源にすると説明してましたよね。ところが、消費税は値上げされても、国は医療には金をまわさないのです。

 約束を破っただろ。安倍シンゾゾ―、あんたが約束を破ったんだ。

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 厚生労働省のポスターを見ると、「調理費を負担してもらいます」と書いてあります。病院で働いていても、食事代の中の調理費がいくらかなんて考えたことありませんでした。

 厚生労働省の値上げマニュアル本を読んでいると、自宅にいる人は調理は自分でするのだから、入院した人の調理費をもらわないと公平ではないのだと、書かれていました。

 わかったような、わからないような理由です。よく考えてみるとおかしいのです。何が公平なのか、比較する基準がおかしいのです。

 だって、誰だって自分で入院したくて入院するわけじゃないのです。病気だから不幸にも入院するのです。ですから、人道上の措置として公的な健康保険制度が作られて、国からも補助が出てきたわけです。

 なんだかんだ理屈付けてるけど、「病人のためには金を出したくない」これがアベノミクスの意地悪な本音ではないでしょうか。

 一食で100円の値上げというと、たいしたことないと思うかもしれません。しかし、重病で一か月間入院している人なら、一日3食×30日間で90食分、つまり9000円の値上げなのです。

 痛いですね。痛い。痛い。

 しかも、来年の4月には更に100円値上げして一食460円にするというのです。来年の4月もまたしても9000円の値上げです。

 痛い。痛い。痛くてたまらないから鎮痛剤をくれーッ!!!

 460円ともなると、病院で食事を食べる方が自宅で食べるよりも割高ということになってきます。「病気になって入院したら罰金をはらうべし」これがアベノミクスの考え方なのです。

 食事代以外にも、この4月から、大学病院を紹介状無しに受診したら5000円以上の罰金を払わされることになりました。安くても5000円、高ければ何万円もの罰金をとられます。これも、厚生労働省・安倍政権が決めたことです。

 病気になって病院に行ったら罰金というアベノミクス。病人は死ねということでしょうか。

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病院看護師の14万人削減計画が始まったが

 次のような質問をいただきました。

 週刊ダイヤモンドを読んだら、看護師が14万人削減されるって書いてました。本当ですか。なぜ減らさなきゃいけないんですか。

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 週刊ダイヤモンドに書いてある事は、本当のことです。安倍政権・厚生労働省は、2025年までに病院の看護師を14万人削減するということを目標にしています。そして、14万人削減が実現するまで、あの手この手をうってくると宣言しています。

 厚生労働省は、「ものすごく忙しい病院以外は看護師を3割削減する」という法令を4月に実施しました。その締め切りは今年10月です。10月までの半年間に、「うちの病院はものすごく忙しかった」という実績をしめすことができなければ、看護師を3割削減しなければならなくなるのです。

 「ものすごく忙しかったって、どうやって実績を示すの?」と思いますよね。そのために、病棟では看護師が入院患者ごとに「看護医療必要度」という点数をつけているのです。「看護師にとってどれくらい手間がかかる患者か」ということを患者ごとに点数化しているのです。

 そして、その点数の合計があるレベルを上回っていないと、その病棟は「ものすごく忙しいとは認められない」とされてしまうのです。

 全国の病院の中には、わずかですが「うちはどう考えても3割削減をまぬがれないよな」と現実的に判断している病院もあります。しかし、ほとんどの病院はなんとか「ものすごく忙しかった」という実績を作って3割削減を免れようと今のところは考えているのです。

 今年の10月が来ると、実際に全国でどれくらいの病院が3割削減を実行せざるを得ないかがわかります。おそらく何万人かの看護師が削減になるのでしょう。厚生労働省は、その削減数を見て、次は2年後の2016年4月に「看護医療必要度」の合格ラインを引き上げるつもりです。そのようにして2年ごとに合格ラインを引き上げていき、最終的には2025年には14万人削減を達成するのだと考えているのです。

 病院看護師14万人削減は何のためか、それは入院患者を減らしたいと安倍政権・厚生労働省が考えているからなのです。これまでは、病院に入院すれば手厚く看護することは当然のこととされてきました。しかし、「これからは入院しても看護師が少ないから、入院しても看護してもらえないよ、特に高齢者は入院しないでくれ。国民が入院すると金がかかってしょうがない。」これが厚生労働省の本音なのです。ですから、看護師の削減と同時に、入院できる期間の規制強化もはかられてきます。

 おかしいですよねえ。安倍sorryはよく「規制緩和」というのです。ところが、実際にやっていることは医療に対する規制強化なのです。

 病棟の看護師を14万人削減して、その14万人はどこへ行ったらいいんだ?誰もがそう思いますよね。安倍政権・厚生労働省は、「その人たちは訪問看護師をしてくれ。訪問看護師をすることなら許可する」と言っています。

 しかし、病棟看護師と訪問看護師とではずいぶん業務内容が違います。バイクに乗って患者の自宅を訪ねてまわって看護をする訪問看護師は、独特な業界です。

 長い目で見て訪問看護を手厚く育てていくというのならそれは良いことですが、病棟看護師をいきなり放り出しておいて訪問看護に転職しろというのは、いくらなんでも乱暴ですよね。

 こんなことはおかしいと思います。

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後期高齢者医療制度の保険料が一割も値上げ

2009_1023200910230215  このほど厚生労働省が発表したところによると、来年の4月に後期高齢者医療制度の保険料が10.4%も値上げされる見通しだということです。全国平均で年額6448円の値上げです。

 後期高齢者医療制度が発足して4月で2年間になります。私たちが制度発足前から指摘してきたとおり、後期高齢者医療制度には二年ごとに自動的に保険料を値上げするシステムが組み込まれています。そのせいで自動的に約1割の保険料値上げがされてしまうのです。

 政権交代が実現して、長妻厚生労働大臣も「後期高齢者医療制度は廃止する」と明言しています。しかし、自民・公明が未来にわたって自動的に保険料値上げをするように制度を設計してくれたおかげで、いやおう無しに保険料が値上げされてしまうのです。ゾンビのようにしつこくていやな制度ですねえ。

 私たちなかまユニオン小松病院分会は、10月23日に厚生労働省保険課との交渉を行いました。公的保障を実現する会や首都圏ワンデーアクション実行委員会との共同での交渉です。

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 私たちは、厚生労働大臣が後期高齢者医療制度の廃止を明言したことを評価したうえで、後期高齢者医療制度のあとに作られる新しい医療制度についてのビジョンをただしました。

 厚生労働省からは、それは現在検討中だとの回答でしたが、いろいろ聞いてみると現在の後期高齢者医療制度とあまり変化しないようなイメージしか持っていないようでした。

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 私たちの要求した対案は、「75歳以上は医療費をすべて無料にする」という抜本的な改革案です。「75歳以上を区別するというのなら、無料にするのが本当じゃないのか」とビートたけしさんが言っていたのですが、これはたいへん核心をついた発想の転換だとおもったのです。

 「高齢者が病院に行くのはごくつぶしで悪なのだ」というイメージを、自民党と厚生労働省は長いあいだ垂れ流してきました。私たちは、高齢者を大切にする国のありかたを考える上で、このあたりの発想の転換が必要なのだと考えています。私たちは、これからも厚生労働省との直接対話を続けていきます。

 どうでもいいような話ですが、厚生労働省の地下の食堂は早くておいしかったです。

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病院SPCはここらで禁止しませんか

 高知地方裁判所は本日3月18日、高知医療センターの汚職事件で収賄罪に問われた前院長の瀬戸山元一被告に有罪判決を言い渡しました。

 高知医療センターは、小泉sorry時代に公立病院の民営化として革命的な手法と賛美されたPFI(Private Financial Initiative 民間資本主導)方式をとりいれた病院です。そのPFIを開始した瀬戸山前院長がオリックスグループの社員から家具やらプラズマテレビやらを賄賂として受け取っていたことが罪に問われたのです。オリックスはPFIを担当したSPC(特定目的会社)「高知医療ピーエフアイ」の親会社です。

 汚職事件がおきた背景には、病院PFIが本質的にはらんでいる問題があります。病院運営のことなど全くの素人であるオリックスが、高知県と高知市の共同経営の高知医療センター発足をうまく利用してぼろもうけしてやろうと考えたわけです。小泉sorryが作った資産流動化法にのっかってSPCをつくり、PFI契約をなんとか有利な条件でとろうと考えた、そのために贈収賄事件が起きたのです。

 高知医療センターは、大赤字であえいでいます。PFIで民営化したせいで大赤字になったのです。年度末に資金ショートがおきてしまうことが大問題になりましたが、県と市が公的資金を投入して赤字を補填することでとりあえずは乗り切ることがきまりました。しかし、自分の利益の確保に血眼になって赤字削減にはまったくもって非協力的なオリックスSPCの無愛想な姿勢に、「SPCの協力姿勢に変化が見受けられない場合はPFI事業を継続しないことも視野にいれる」という議会決議が行われています。

 同じくPFI-SPC方式で民営化した滋賀県の近江八幡総合医療センターは、赤字の垂れ流しにたえきれずに、ついにこの3月末でSPCとのPFI契約を打ち切って公立公営病院にもどします。槙系院長の書いたPFI批判の論文を読めば、SPCによる経営がいかに損なものかよくわかります。SPCよ、サラバだ!

 SPCっていうのは、資金調達で病院経営を助けるかのように見せかけて、実は莫大な利子を吸い取っていく吸血鬼かピラニアのような存在です。制度はちょっと複雑ですが、ようするに高利貸しに経営権までもあたえるようなものです。医療のことはなにもわからない高利貸しSPCに病院運営を丸投げした地方自治体の無責任な姿勢も大問題です。ピラニアのように冷血で貪欲な高利貸しの跳梁跋扈をばら色の未来だとえがいてみせた小泉sorryの責任も重大です。

 私たちの働く病院でも、三菱系列の病院ファンド・ライフタイムパートナーズがSPCの話を持ちかけてきています。SPCというようなうさんくさい制度を病院に適用することそのものが大きな疑問だと私たちは考えます。

 株式会社が病院経営をすることが禁止されていることと同じ理由で、SPCの病院介入も全面的に禁止すべきではないでしょうか。結果的には株式会社よりもSPCのほうが見るも無惨なことになっていると思うのです。高知医療センターの瀬戸山被告の有罪判決を機に、ここらでよーく考え直してみませんか。

 

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貧困世帯からの保険証取り上げに歯止め

 国民健康保険料を払えない貧困世帯の人から保険証が取り上げられてしまい、医療を受けられないことが大問題になっていますね。大企業による大量派遣切りが進み、倒産する中小企業も増加し、これだけ貧困が進んでいる中で、最後のセーフティーネットである保険証までもが奪われれば、それは死ねというようなものです 私たちは貧困世帯からの保険証の取り上げに反対してきました。

 全国の多くの人たちの運動の力で、4月から国民健康保険法の一部が改善されます。たとえ国民健康保険料を支払えない世帯であっても、中学校を卒業するまでの子どもさんには保険証を発行することが義務付けられました。あたりまえのことではありますが、保険証がもらえるのです。やったねっ!

 3月3日には厚生労働省は異例の課長通知を都道府県に送り、現在は保険証を取り上げられている状態の児童のところに「3月31日までに必ず保険証が届けられるよう」釘をさしています。

 3月20日をすぎても保険証が届かない場合は、お住まいの市町村の国保に問い合わせをすることをおすすめします。

 また、一年前からみんなが批判してきた4月1日にやってくる後期高齢者からの保険証取り上げ問題にも動きがありました。

 保険料の年金天引きすらできないほど年金額の少ないお年寄りのうち、後期高齢者保険料を支払っていないかたは1割以上いると見られています。神奈川県では7.4%の人が未納だという数字が出ていますし、沖縄県那覇市ではなんと3割の人が未納なのだということです。

 日本共産党のしんぶん赤旗の報道によれば、後期高齢者の保険料滞納者からの保険証取り上げは「相当な収入があるにもかかわらず保険料を納めない悪質な者に限る」ようにすることを厚生労働省が都道府県に通知したとのことです。

 現時点ではこの通知文書そのものはまだ手に入っていないので正確なことは言えませんが、低所得のお年寄りからの保険証取り上げには若干のブレーキがかかるもようです。詳しいことがわかり次第、お知らせしていきます。

 ただ、後期高齢者医療制度が2年ごとに保険料値上げが義務付けられていることなど、根本的な問題が解決したわけではありません。後期高齢者医療制度は、名前を変更するような小手先のごまかしではなく、やはり廃止するしかないのです。

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4月1日には15万人のお年寄りから保険証が奪い取られます

 後期高齢者医療制度で、75歳の誕生月に医療費の支払い額が2倍になrってしまうという問題がありました。「75歳になったから安くなる」ならわかるが「75歳になったから2倍」とはどういうことだ?。国会でも紛糾しました。

 全国から批判と抗議の声がまきおこったおかげで、この1月になってやっと是正が実施されました。1月からは、75歳の誕生月も医療費負担額は同じとなります。

 しかし、後期高齢者医療制度の根本的な問題はまったく解決していません。それは、この4月1日に予定されている保険証取上げ問題です。

 後期高齢者医療制度では保険料を年金からの天引きとされました。しかし、年金支給額が安すぎて天引きできない高齢者は、自分で役所の窓口へ保険料を持っていかねばなりません。そういう人は年金収入がもともと低いわけですから、生活に困窮していて保険料を払いたくても払えないというケースが出てくるのです。

 また、目の不自由な高齢者が一人暮らしをしている場合、役所から届いた保険料の督促状にまったく気付かないという場合もあります。新聞や行政の広報も読めないのですから。

 厚生労働省の発表では、保険料を自分で払いにいかないといけないとされている高齢者のうち8.6%の方が保険料未納になっています。人数でいえば15万人とも言われています。

 このままいくと、4月にはこの15万人の高齢者が保険証を取上げられてしまいます。以前の老人保険制度では高齢者からは保険証を取上げてはならないと禁止されていたのに、後期高齢者医療制度では逆に取り上げなければならないと義務付けられたからです。

 保険証を取上げられたら、病院にはかかれません。死ねと言うようなものです。

 8万5000人の派遣切りなど大量解雇が実施され、生活困窮者が急増しています。深刻な持病があるにもかかわらずお金がないために病院にかかるのをあきらめていた人が、危篤間際の状態になって救急車で担ぎこまれるケースが増えていると感じます。

 さらに低所得の高齢者15万人から保険証が奪い取られてしまったら、この国はどうなってしまうのでしょうか。私たちは、4月1日がやってくる前に後期高齢者医療制度を廃止することを強くうったえます。

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