薬害をくりかえすな!

インフルエンザワクチンが不足しています

 インフルエンザワクチンが今年は不足しています。私たちの働く病院でも現在、インフルエンザ予防接種を中止しています。

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 不足の原因は、ワクチン製造にあたってウイルスの「型」の選定に手間取ったためと報道されています。ウイルスの「型」とは、ウイルスの「株」とも呼ばれます。

 インフルエンザウイルスはウイルスの表面物質の種類の違いによって「型」に分類されます。ワクチンはウイルスの表面物質に反応するので、表面物質が変わるとワクチンは効かなくなります。

 どの「型」が流行するかを半年前に予想してワクチンは製造されるわけですが、その「型」の選定に時間がかかってしまったのです。

 何しろ、何百種類もあるウイルスの型の中から4種類の型を選ぶわけなので、的中する確率は低く、たいへん難しいことなのです。ほとんど博打です。

 ワクチンを作り始めてから冬が来るまでの半年の間に、インフルエンザウイルスはどんどん突然変異を繰り返し、表面物質を変えていきます。つまり、新しい「型」に生まれ変わっていくのです。このため、インフルエンザワクチンはほとんど効かないのだと言われています。

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 ワクチンが不足していると聞いて、自分だけ早くワクチンを確保しようと押し掛けた人もいて、混乱も発生しました。しかし、インフルエンザワクチンは100人に接種して2人に効いているかどうかというほどの効果のものなので、そんなに大騒ぎすることもありません。

 12月には供給が追い付いて予防接種が再開されるのではないかという予測もあります。しかし、そのころにはインフルエンザの流行が始まってしまうので、意味ないかもしれませんが。

 インフルエンザの予防はワクチンに頼りすぎず、栄養を十分に摂ること、そして過労を避けることですね。

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インフルエンザワクチンで腕が腫れた

 次のようなお問い合わせをいただきました。

今年のインフルエンザワクチンは、腕がパンパンにはれるそうですね。最近、ひどすぎませんか。何故なんですか。

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 そうなんですよ。これは、医療関係者の経験で言えば確かに本当のことです。

 きちんと統計をとったわけではないので、科学的な根拠とまでは言えないのですが、確かに最近は「インフルエンザワクチンを注射したあとで腕が腫れた」と訴える人が多いのです。以前より増えた気がします。

 インフルエンザワクチンを打って、熱が出たという人も多いのです。

 ワクチンの副作用について詳しい看護師は職業柄、自分がインフルエンザワクチンを打ってもらう時は、翌日が仕事が休みの日を選びます。翌日が休みの日の勤務終了後に注射をしてもらうのです。

 インフルエンザワクチンを注射すると、翌日に熱が出ることが多いのです。ですから、翌日が勤務の日に注射を打つのは愚かな行為だと考えられているのです。

 なぜ、インフルエンザワクチンの副作用が増えているのかは、正確にはわかりません。

 過熱していない生卵の汁そのものから作られるインフルエンザワクチンは、たいへん腐りやすいのです。ですから、強力な防腐剤を大量に添加します。

 最も効果の高い防腐剤とされるのはチメロサールです。これは水銀化合物なので、食品に添加するのは許されないくらい、毒性が強いのです。

 「食品に入れて口から摂取することが許可されないようなものを、体内に直接注射してほんまに大丈夫なのか」という不安の声が強かったため、チメロサールはインフルエンザワクチンの防腐剤としてはだんだん嫌われるようになってきました。

 チメロサールに替わる防腐剤として有力なのはフェノキシエタノールです。ところが、注射した直後の副作用は、フェノキシエタノールの方がチメロサールよりも強いという説もあります。

 最近のワクチンが副作用が強いことと、何かの関連があるかもしれませんね。

 フェノキシエタノール以外にも、インフルエンザワクチンに必ず入っている消毒剤「フェノール(石炭酸)」も副作用が強い薬品です。

 インフルエンザワクチンは、100人に注射しても2人にしか効かない程度の効果でしかありません。ですから、効果と副作用をよく考えて、使用するべきですね。

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チメロサールフリーのインフルエンザワクチンはどこ?

 問い合わせをいただきました。

 インフルエンザのワクチンですが、チメロサールフリーのワクチンを打ってもらえるところはどこですか。

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 チメロサールというのは水銀化合物の防腐剤で、生卵から作るインフルエンザワクチンが腐らないために添加されています。

 水銀化合物は水俣病の原因になった毒性の強い物質で、脳や神経を犯します。体にいったん入ると蓄積されていくことがわかっています。そのため、特にお子さんにはチメロサールが入っていない「チメロサールフリー」のワクチンがのぞましいと考えられています。

 ところが、今年はチメロサールフリーのインフルエンザワクチンは手に入りません。そもそも、インフルエンザワクチンの生産量が少なくて、不足しているからなのです。

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 大手製薬メーカーである化血研が、違法な製法でワクチンを作っていた問題がありました。化血研は業務停止処分とされています。

 化血研は薬害エイズの加害者だった企業で、「もう危険な薬品は作りません」と約束していたはずのに、その後も違法なワクチン製造を続けていたのです。ウソの届出報告書をわざわざ作っていたことが明るみに出て、ウソつき体質は救いようが無いと言われました。

 化血研はアステラス製薬に事業譲渡する方向で交渉を続けていたのですが、最近になって事業譲渡が破綻したことがわかりました。化血研の組織風土があまりにも特殊すぎて、合併が難しいようです。

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 というわけで、化血研がインフルエンザワクチンの製造を再開する見通しは無くなってしまいました。おかげで、日本中でインフルエンザワクチンの絶対数が不足しているのです。

 ワクチンに頼りすぎる発想を、そろそろ考え直した方がいいと思います。インフルエンザワクチンは、たいへん効果が低いワクチンです。インフルエンザの予防は、手を洗うこととうがいが基本です。そしてバランスのとれた栄養をとることと、過労に陥らないことが大切です。

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インフルエンザ 春になってやっとピークは終わったが

 桜も咲き始めました。さて、インフルエンザに関して、次のようなコメントをいただきました。

2015~2016年のインフルエンザ流行ではインフルエンザ脳症の患者数が過去最高となったそうです。
これは…未だに誤った解熱剤を処方している医者が多いということですよね…もっと問題になるべきことだと思いますが、そういう指摘がネットでは見られず非常に恐ろしいことだと思っています。

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 この冬のインフルエンザは例年よりも流行が遅く、1月末から増え始め、2月後半にピークを迎え、3月も中旬になってやっと減ってきました。まだ、インフルエンザを発病する人がたくさんいる状態です。

 この冬のインフルエンザは、A型ウイルスとB型ウイルスの両方が流行しました。例年は圧倒的にA型が多いのですが、今年は大阪ではA型とB型が同じくらい見られました。

 そして、あいかわらずまたしてもインフルエンザ予防接種は効かなかったなという結果になりました。あまりに効かないものだから、もうため息をつく人すらいません。効かないのが定説という感じでしょうか。

 昨年秋のインフルエンザワクチンは、A型2種類とB型2種類の4種混合型のワクチンでした。それまではA型2種類とB型1種類の3種混合でしたから、わざわざB型ワクチンを1種類増やしてB型の流行を抑え込もうとしたのです。ところが、結果は逆に例年以上にB型が流行してしまったわけで、そういう意味でもインフルエンザワクチンへの幻滅が広がりました。

 そして、この冬はタミフルやラピアクタなどのインフルエンザ薬が効かないというケースが多かったのも特徴です。

 もともと、タミフルははっきりとした効き目がある薬ではありません。飲まなくても5日で治るインフルエンザが、飲めば4日で治るという程度で、個人差も大きいため、効く人と効かない人がいるのは昔からのことでした。ところが、今年はタミフルが効かない患者が続出するという現象がおこりました。その理由はわかっていません。

 さて、ご指摘の通り、この冬はインフルエンザ脳症が多かったのです。

 インフルエンザ脳症の原因については、まだよくわかっていないところも多いのです。解熱剤の副作用が原因になっている場合が多いのは間違いないのです。しかし、インフルエンザにかかっていない人が解熱剤を飲んでも脳症にはならないのに、インフルエンザにかかっている人が解熱剤を飲むと脳症になるという、不思議なメカニズムが解明されていないのです。

 脳症の原因になる解熱剤は、NSAIDS(非ステロイド消炎鎮痛剤)と呼ばれている薬です。間違いなく危険なのはボルタレンやポンタールです。新型インフルエンザ騒動の時にアメリカやメキシコで大量の死者が出たのは、このたぐいの薬をドラッグストアで買って飲む人が多かったからだと言われています。

 日本では、入院中の患者にはボルタレンやポンタールを使いますが、これは看護師が24時間ケアしているから副作用に適用できるからなのです。自宅で飲むのはかなり怖いですよね。

 NSAIDSの仲間であるイブプロフェンやロキソプロフェンは歯痛などでは使いやすい薬ですが、インフルエンザの時にはやめておいたほうがいいと言われています。

 インフルエンザの時に飲んで害がないのは、アセトアミノフェンだけです。風邪をひいたかなと思って薬局で薬を買うときにも、よく気を付けてくださいね。テレビの風邪薬のCMをうのみにするのは危険すぎますよ。

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インフルエンザ薬の予防投与は認められない場合も多い

 この冬も、インフルエンザの流行が始まっています。暖冬だったせいで例年よりは流行の開始が遅かったのですが、1月下旬の寒波で気温が下がり、急にインフルエンザが増加しています。A型もB型も両方多いのが今年の特徴です。

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 例年より流行が遅かったおかげで、子どもたちの受験シーズンと重なってしまい、たいへん心配される親御さんが数多くいらっしゃいます。そのため、抗インフルエンザ薬であるタミフルやリレンザを、前もって手に入れておきたいという要望を病院に伝えてくる方がたいへん多いのです。

 しかし、医療機関ではほとんどの場合、未成年へのタミフル・リレンザの予防投薬には応じていません。

 基本的に、抗菌剤や抗ウイルス剤は予防投薬が無効です。発症する前に服用しても効かないとされているので、予防投薬は認められていません。

 ところが、インフルエンザの薬であるタミフルとリレンザに限っては、厚生労働省は予防投薬を認めています。これは、新型インフルエンザ騒動の時に、効いても効かなくてもいいから予防投薬したいという声が強くあり、例外的に認められたのです。もちろん、予防投与には健康保険は使えません。薬代は全額負担となります。

 しかし、タミフル・リレンザの予防投薬が認められているのは次の場合に限られます。

 一つ目の条件は、インフルエンザを発症した患者と同居している人であることです。

 二つ目の条件は、ハイリスク患者であることです。ハイリスク患者とは、65歳以上の高齢者か、喘息などの慢性呼吸疾患患者か、心臓病患者か、糖尿病患者か、腎臓病患者ということです。これらのハイリスク患者でない場合には、たとえ家族がインフルエンザを発症したとしても、タミフル・リレンザの投与は認められていません。

 特に、10歳から19歳の小児には、「ハイリスク患者でない場合には投与しないこと」という強い警告がされています。

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 このような制限があるのは、タミフル・リレンザの副作用と考えられる異常行動によって亡くなったお子さんがたくさんいらっしゃったからです。

 タミフル・リレンザを服用しても、ほとんどの患者には副作用は発生しません。ところが一部の小児患者が脳障害と思われる異常行動によってビルから飛び降りるなどの異常行動を起こしたのです。

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 なぜタミフル・リレンザがこのような副作用を引き起こすのか、はっきりしたことはわかっていません。タミフル・リレンザの副作用ではなく、インフルエンザウイルスの作用であると言う医師もいますし、タミフル・リレンザ以外の解熱剤が原因だと言う医師もいます。

 しかし、タミフル服用後の異常行動で亡くなったお子さんがいらっしゃったことは事実で、タミフル・リレンザについては小児への安全性は確認できていないと言わざるをえないのです。

 おかげで、一時はタミフルの10代患者への投与は全面的に禁止されていました。

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 現在は規制が緩和され、医師の判断によっては10代の患者へも投与していいことになっています。しかし、ハイリスク患者であることがタミフル・リレンザを投与する許可条件であることは間違いないので、ほとんどのお子さんは該当しないのです。

 タミフル・リレンザは、インフルエンザウイルスを殺す薬ではありません。インフルエンザウイルスの増殖を抑える薬です。ウイルスを殺すのは人体が持っている免疫力でしかありません。インフルエンザが治るのが1日早くなるという程度の効き目しかない薬です。ですから、万が一の副作用のリスクをおかしてまで無理して服用する必要があるのか、よく考えてみる必要があります。

 医療機関では処方してもらえないせいで、タミフル・リレンザを闇でネット販売する悪質業者も出てきています。強い副作用がある医薬品のネット販売は危険な行為です。

 インフルエンザには、うがいと手洗い、そして十分な栄養と睡眠で免疫力を高めることで対処したほうが良いと思いますよ。

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常軌を逸した化血研の不正と腐敗・真相究明をのぞむ

 化血研(化学及び血清療法研究所)の薬品出荷停止問題で、たくさんのお問い合わせをいただいています。

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 熊本にある製薬メーカー、化血研が厚労省に提出していたのとは違う方法で薬品を作っていたことが内部告発で判明した問題です。

 今年の6月に厚労省が出荷停止を指示してから調査が進められたのですが、調査すればするほど、不正の規模が大きく、組織的犯罪であったことがわかってきたのです。40年も前から不正を続けていたのです。

 化血研は、「常軌を逸した隠蔽体質」と批判されています。厚労省に提出するニセのマニュアルをわざわざ別に作っていただけでも異常です。さらに、古いマニュアルを新しく偽造したのを隠すために、新しい書類に紫外線をあてて古い紙にみせかけるという手の込んだまねまでしていたのです。

 ここまでやると犯罪組織です。いくら謝っても、信頼回復は難しいですよね。

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 お問い合わせで多いのは、問題になった化血研が作っていた薬品の種類を教えてほしいということです。

 化血研は、血液製剤とワクチンとを作るめメーカーです。以前、薬害エイズが社会問題になった時も、血液製剤の中にエイズウイルスが混入していたので謝罪したという経緯があります。

 化血研の作っている薬品は、まずはワクチンです。

 私たちにもっとも馴染みがあるのはインフルエンザワクチンです。日本で使われるインフルエンザワクチンの3割が化血研のものです。

 そして、B型肝炎のワクチン「ビームゲン」、A型肝炎のワクチン「エイムゲン」、百日咳・ジフテリア・破傷風・ポリオの4種混合ワクチン「クアトロバック」です。ほかにも、狂犬病やハブなどのワクチンを多種類製造しています。

 そして血液製剤です。

 献血ベニロン、献血グロブリン、献血アルブミン、バイクロット、コンファクトF、ノバクトM、アンスロビン、ヒスタグロビン、献血トロンビン、ボルヒールなどです。

 血液製剤は、薬害エイズ事件以後は使用が制限されています。また、使用記録を20年間保管することになっています。

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 お問い合わせでもう一つ多いのは、化血研の薬品に違法な添加物が加えられていましたが、それでどのような被害が発生するのかということです。

 今のところ分かっているのは、化血研が薬品の製造過程でヘパリンという薬品を添加していたということです。そして、ヘパリンを添加していることを厚労省には隠していました。何も害が無いのなら、正直に「添加しています」と報告すればいいわけです。それを隠蔽していたということは、なんらかの害があるはずだと考えられます。

 ヘパリンは、血液が固まりにくくするための薬品として、医療現場ではよく使われています。人間の血液の中には、血液を固める作用の「トロンビン」と血液を固めない作用の「アンチトロンビン」があるのですが、ヘパリンは「アンチトロンビン」の作用を助けることで血液を固まりにくくするのです。

 ヘパリンは、その人の体質によっては血液がまったく固まらなくなってしまうこともあり、慎重に使うべき薬品です。副作用が無いとはいえません。しかし、化血研の薬品の製造過程でヘパリンが使われていたことが、実際に患者の体にどのような悪影響をおよぼしていたのかは、私たちにもまだわかっていません。

 とにかく、化血研には薬害エイズを引き起こしたことへの反省がまったくなかったことがわかってしまったわけです。私たちは、医療現場で働くものとして、化血研の不正事件について徹底した真相の究明を求めます。

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化血研のインフルエンザワクチンが出荷停止処分に

 2015年の10月現在、インフルエンザワクチンがあちこちで不足しています。

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 インフルエンザワクチンの大手メーカーである化血研(かけつけん)のワクチンが、厚生労働省によって出荷停止処分になってしまったからです。化血研は熊本の製薬会社で、西日本でシェアが多いのです。大阪では、化血研と阪大ビケンとでインフルエンザワクチンのシェアのほとんどを占めているのではないでしょうか。

 なぜ、出荷停止なのか。化血研の製造しているワクチンの製造方法に問題があったからだと言われていますが、全面的に出荷停止処分にしなければならないほどの問題とはいったい何だったのか、明らかにはされていません。

 もし大きな問題があるのなら、昨年のインフルエンザワクチンは大丈夫だったのか、心配になってきます。

 チメロサールフリーつまりチメロサール無添加のワクチンは確保できるのかというお問い合わせは多いのですが、残念ながらチメロサールフリーのワクチンは少ないのです。なぜかというと、生卵を原料にして作るインフルエンザワクチンは腐敗が早く、強力な防腐剤であるチメロサールをいれないと、すぐにいたんでしまうからなのです。

 チメロサールフリーのワクチンは、かわりにフェノキシエタノールという防腐剤を使うのですが、これはアナフィラキシーショックを起こしやすいという報告もあります。おかげで、チメロサールをやめてフェノキシエタノールに全面的に切り替えることは難しいのだそうです。

 有機水銀化合物であるチメロサールは、一回くらいの接種ではただちには人体に影響を及ぼさないかもしれませんが、何回も体に入れるのが良くないことはわかります。有機水銀は尿などで排泄されることが無いからで、有機水銀が体内に蓄積すると神経細胞を破壊することは水俣病で明らかになっています。特に小さなお子さんには心配です。

 化血研のワクチンの出荷停止処分の原因はいまだにわかりませんが、インフルエンザワクチンという薬品そのものが技術的に問題をはらんでいることは間違いないといえますね。

 なお、上記の画像は今年のインフルエンザワクチンのものではありません。

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2015年はインフルエンザワクチンが値上げ

 今年も、インフルエンザ予防接種が始まります。今年は、ワクチンが値上がりすることが問題になっているのですが、あまり知られていません。

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 昨年まで、インフルエンザワクチンの仕入れ値は1本が1000円ほどでした。それが今年は1.5倍の1500円になりました。

 予防接種の料金は、各医療機関が自由に決めることができます。これまでも、医療機関によって値段はまちまちでした。ワクチンが値上げしたので、予防接種の料金も上乗せして値上げするところがあいついでいます。

 中には、4000円という高値をつけている医療機関もあるようです。ワクチンの仕入れ値が1500円ですから、2500円もの付加価値がどこからやってくるのかなと思ったりもします。しかし、それでもワクチンを打って欲しいという人がたくさんいれば、価格はつりあがっていきます。

 中には、昨年にすでに高い料金設定をしていたので、今年は値上げをしないというところもあります。

 みんなが知りたいのは、なぜワクチンの仕入れ値が高くなったのかということです。

 昨年までのインフルエンザワクチンは、A型インフルエンザのワクチン2種類と、B型インフルエンザのワクチン1種類の、合計3種類のワクチンの混合物でした。

 今年は、A型インフルエンザのワクチン2種類と、B型インフルエンザのワクチン2種類の、合計4種類のワクチンの混合ワクチンになっているのです。B型が1種類増えた分、値段が高くなったのです。

 日本で毎年インフルエンザにかかった患者のウイルスを検出してみると、9割以上がA型です。B型は圧倒的に少数なのです。ですから、もともと少ないB型インフルエンザのワクチンをもう1種類追加したからと言って、効き目がそんなに良くなるとは思えません。

 もとより、インフルエンザワクチンははっきり効果が出るワクチンではありません。ワクチンメーカーの出している数字でも、「100人に予防接種してせいぜい2人にしか効かない」ということになっています。

 「100人に接種して2人に効く」のは常識では2%の効果のはずですが、なぜかワクチンメーカーのパンフレットには「20%の効果」と書かれているので、その点がいつも不思議に思えるところなのです。

 もともと、その程度の確率で効くと言われているものなので、B型が1種類追加になったからと言って、効果はほとんど変わらないのではないかと予測されています。

 今年のワクチンはチメロサールフリーなのかという点も関心が高いのですが、この点はまだ情報があまり入ってきていません。

 インフルエンザワクチンの予防接種にあたっては、効果と副作用、料金などを総合的に考えて判断したほうがいいですね。

 

 

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インフルエンザ流行・2015年1月の場合

  大阪は晴れの良い天気ですが風が冷たいです。お正月の縄飾りを焼く行事が行われています。

  さて、この冬もインフルエンザについてたくさんのお問い合わせをいただいています。

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  大阪ではインフルエンザは12月に入ったくらいから流行が始まり、クリスマスごろから年末年始にかけて爆発的に患者が増えています。

  今年の冬はインフルエンザよりも先にRSウイルス気管支炎の流行が始まりました。RSウイルスは比較的弱い風邪ウイルスで、大人では軽い風邪ですみますが、免疫が弱いお子さんの場合には高熱と激しい咳で重症になることもあるので注意が必要です。

  そして、またしても、インフルエンザ予防接種をした人がどんどんインフルエンザにかかっています。どうやらインフルエンザの予防接種は今年も効かなかったようです。

  今年は、インフルエンザの予防接種をしなかったという人もかなりいます。「インフルエンザ予防接種は二週間しか効き目が続かないから早く接種しすぎたら意味がない」といううわさが流れたおかげで、接種を見合わせた人が多いのです。

  奇妙なことに、予防接種をしていない人のほうがかえって体調管理やうがい手洗いに気を付けているせいか、インフルエンザにあまりかかっていないようです。不思議な話ですね。

  そして、あいかわらずタミフルなど抗インフルエンザウイルス薬についてのお問い合わせが多いのです。 「タミフルは副作用があると聞いたが、インフルエンザの子どもに飲ませていいのか」という質問です。

  タミフルについては十代の子どもに飲ませて重篤な副作用が出た事件があいついだおかげで、特に子どもには慎重に使うべきだと言われています。

  副作用が出る確率は低いのですが、いったん副作用が出ると重篤になることがあるというので、タミフルはなんとも使いにくい薬です。

  そもそも、タミフルはインフルエンザウイルスを殺す薬ではありません。インフルエンザウイルスの増殖を抑える薬です。インフルエンザが発症した時点では体内のウイルスはすでにずいぶん増殖してしまっているので、タミフルを飲んでもそれ以上ウイルスが増えないだけ。ウイルスを殺すのは人体にもともと備わっている免疫力なのです。

  インフルエンザを発症すると、平均して5日間で治ります。これが、タミフルを飲むと平均4日間で治るとのことです。タミフルは1日早く治すだけの効果しかありませんので、その点を考えながら、使うか使わないかを考えていかないといけませんね。

  とにかく、インフルエンザを予防したいなら、うがい手洗いを習慣づけることと、栄養に気をつけることです。ビタミンの多い緑黄色野菜や果物はできるだけ食べたほうがいいですよね。

  そして、ストレスをためないことです。仕事のし過ぎで睡眠時間が短くなるなんていうのは、もっともインフルエンザになりやすい状態ですよ。

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インフルエンザ予防接種の効果は二週間か?

  次のような質問をいただきました。

  インフルエンザの予防接種をしても、二週間で効き目が無くなると聞きました。それだったら接種する意味がないですか。

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  寒くなってきて、風邪がはやっています。しかし、インフルエンザウイルスの検出はまだ少ないのが現状です。最近の風邪はインフルエンザとは違うウイルスが原因のようですね。

  さて、ご質問の「インフルエンザ予防接種をしても二週間で効き目が無くなる」というのは、最近世間でよく言われていることらしいです。

  インフルエンザ予防接種をしてもインフルエンザにかかってしまう人があまりにも多いので、このような説が語られているようです。

  この説が正しいかどうかは、残念ながら確かめようがないというのが現実です。

  インフルエンザの予防接種が効いたかどうかは、予防接種をした人が一冬過ごす間にインフルエンザを発病したかどうかで測られます。

  インフルエンザワクチンのメーカーに聞くと、100人に2人は効いているはずだと説明します。

  逆に言えば、100人のうち98人は効かないのです。

  ところが、100人のうち2人に効いているという説明すらも根拠がはっきりせず、「どんなに大きく見積もっても2人にしか効いていない」というのが現実です。

  こんなに効果が低いワクチンの場合は、接種してから何日で効き始めるか、何日で効果が切れるか、などという精密な調査はほとんど不可能なのです。

  ただ、一冬に二回インフルエンザにかかる人が存在することから、インフルエンザウイルスの変異は極めて早いことがわかります。三か月もすればワクチンの効果が無くなるだろうということは、理論的にはわかっていることです。

  問題は、インフルエンザワクチンの製造には半年はかかってしまうということです。現在接種されているインフルエンザワクチンは、今年の春に採取されたウイルスから作られているので、秋にはすでに効果が薄れてしまうというわけです。

  一か月くらいでインフルエンザワクチンを製造しようという研究をしている人はいるのですが、実用化にはまだまだ時間がかかりそうです。

  予防接種は、効果と副作用とを天秤にかけて、慎重に選択することをおすすめします。

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