パナソニックPDP最高裁判決を検証し職場復帰を勝ち取る集いが、1月16日の夕暮れ、大阪の八軒家浜にあるOMMビルで開催されました。
今、人気急上昇中の弁護士、村田浩治さんが、12月に出された最高裁の判決についてわかりやすく解説しました。村田弁護士はパナソニックPDP偽装請負訴訟の203人の弁護団の主任弁護士をしていらっしゃいます。
今回の最高裁判決は、一人前の法律家が書いたものとしては、あまりにもおそまつなものなのだそうです。吉岡さんが訴えをおこした最も重要な事件について、最高裁判決は事実認定も否認もせず、まったく無視して判決を書いたのです。最も重要な事件とは、吉岡さんが「これはおかしいぞ」と最初に思った事件で、パナソニックPDPが吉岡さんに「このままここで働き続けたいのなら請負会社を変わってくれ。」と申し入れてきたということです。
「パナソニックPDPの言うとおりに請負会社を変わってみたら、時給が下がってしまった」これが、吉岡さんがおかしいと思って弁護士や労働組合に相談した、ことの始まりなのです。
吉岡さんは、請負会社に籍があったことは形式上のものであって、請負会社は幽霊みたいな存在で、実態としてはパナソニックに雇われていたんだということを訴えて裁判をこれまでしてきたのです。
ところが、最高裁はこの事件の核心的な事実については何も言及しなかったし判断しなかったのです。これではお話になりません。
しかも、「吉岡さんへのいじめと解雇は違法だった」としてパナソニックPDPに慰謝料の支払いを求める判決でありながら、しかし解雇は有効だったとし吉岡さんの職場復帰は認めないとしたのです。
どこの世の中に、「違法な行為だけど有効」なんていう司法判断がありますか。最高裁判所ではなく最低裁判所だという非難がわくのもうなづけます。

今回の集いがおもしろかったのは、最高裁で負けたから終わりではないのだということがわかったことです。
日本人は、最高裁が最後の究極の場で、そこで負けたらおしまいだと思っている人が多いのですが、そうではなかったのです。
重要なポイントは、最高裁判決が吉岡さんの解雇が違法であると認定したということです。
吉岡さんの解雇が違法なのであれば、吉岡さんが職場復帰をしていない現在の状態は違法状態なのです。最高裁が「吉岡さんを職場に戻せ」と言わなくても、まちがいなく違法状態は違法状態なのです。ですから、その違法状態を解決するための努力を行う義務がパナソニックPDP社に発生するのです。
なかまユニオンは、すでにこの違法状態の解決のための話し合いの場をもうけようとパナソニックPDP社に申し入れていますが、パナソニックPDPはこれを拒絶してきました。話し合いを拒絶できる立場にはないということを、パナソニックPDPはおわかりになっていないようです。
パナソニックには、各地の市町村や都道府県からたいへん多額の補助金が出されています。すごい黒字の超優良企業に地方自治体が税金から補助金を出しているという信じられないことを、これまで住民はまったく知らされていませんでした。違法なことをしている企業に自治体が公的補助をしていいのかという問題があるのです。パナソニックへの補助金の支出がどうなっているのか、実態を明らかにする必要があります。
吉岡力さんは、彼が尊敬するプロレスラーみたいに不屈の精神でがんばるつもりです。私たちも、請負や派遣労働者がティッシュペーパーみたいに使い捨てられるような社会を変えていくために、これからもいっしょに行動していきます。