パワハラ上司のいる職場に復職するにはどうしたらいいか、の話の続きです。
私たちの職場にも、あきれるような強烈なパワハラ上司がいます。
いっしょに働く人の中には、精神的ストレスが原因で発症する疾患を訴えた人がいます。また、多くの職員がそのパワハラ上司のせいで職場を去っていきました。しかし、警察は簡単にはパワハラ実行犯を捕まえてはくれません。
強烈なパワハラの数々で精神的に追い詰められると、「こんな職場、辞めてやる」という気分になってきます。しかし、なぜパワハラ加害者が何のお咎めも受けずにへらへら笑いながら働き続けているのに、被害者の自分たちが苦しんで職場を去らなければならないのか、どうしても納得ができません。
「辞めてしまいたい、しかし、辞めてしまうのはあまりにも悔しい」。苦しい葛藤ですが私たちは、パワハラ上司がいる職場で、パワハラ上司といっしょに働き続けるという道を選ばざるを得ませんでした。
そうなると、パワハラをどう止めるかを真剣に考えなければならなくなります。それは、決して簡単なことではありません。しかし、不可能なことでもないのです。人間がするパワハラを、人間が止めることが絶対にできないはずはないのです。
何もしないのに、パワハラ実行犯がある日突然悔い改めて、「これまでのことは悪かった。心をいれかえてイジメはもうしません。」と懺悔するなんてことは、絶対にありません。なにかよほどの出来事が無い限り、人間が心を入れ替えることはないのです。
「これ以上いじめを続けたら、ちょっとまずいことになるな。」と、パワハラ実行犯に思わせるしかありません。そう思わせるような手をうっていくしかないのです。パワハラをしたくてもできないような条件を、作り出していくのです。
どういう手をうったら、パワハラ実行犯がパワハラをやりづらくなるか。これには、特効薬はありません。職場のパワハラが発生する状況は、その職場によって千差万別です。どの職場にも適用できる共通の方法があるわけではないのです。
パワハラを止める方法を考える手がかりは、「なぜその人物はパワハラをするのか」という原因を解明することにあります。
パワハラの被害者は一人だけなのか、それともたくさんの人が被害を受けているのか、あるいは過去にも被害を受けた人がいるのか、こういう点は、パワハラの原因を考えていく上で重要なポイントです。
加害者が一人なのか、それとも何人かでつるんでパワハラをしているのか、これも重要です。
「仕事がまわりの人よりも劣っている」とみなされた人がパワハラの被害者になることもありますが、逆に「仕事がまわりの人よりも優れている」とみなされた人がパワハラのターゲットにされることもかなりあります。被害者がどういう理由でターゲットにされたのかという点も、パワハラの原因を考える上で重要です。
ちょっと難しい話になりますが、「そのパワハラが不当労働行為性を伴っているかどうか」も重要な点です。「不当労働行為性」とは、「労働組合を攻撃する目的」ということです。労働組合の役員がパワハラのターゲットにされている場合は、不当労働行為性がある場合がほとんどです。
職場に労働組合が無い場合であっても、「こいつは将来的に労働組合を作るおそれがある」と目をつけられた人物がパワハラのターゲットにされた場合には、不当労働行為性がある可能性が高いのです。職場の中で一人ぼっちでいることが多い孤独な感じの人がパワハラを受けた場合には不当労働行為性が無いことが多いのです。しかし、職場の中で人望のあつい協調性の高い人がパワハラを受けた場合は、当人が意図していなくても「将来は労働組合を作るかもしれない」という疑いをかけられて職場から追い出そうとされている可能性があります。
「なぜその人物がパワハラをするのか」を分析したら、次はどのような手をうてばよいかということになります。
残念なことに、ここでその細部を公開することはできません。なぜなら、このブログはパワハラ加害者にも見られているからです。犯人に手の内を知られてしまうわけにはいきません。
ただ、一つ言えることは、「企業にはパワハラを防止する義務がある」という点です。
労働基準法と労働安全衛生法によって、会社には労働者の健康を守ることが義務付けられています。会社は、職場の中で発生しているパワハラを放置することは許されないし、パワハラが発生しないように未然に対策をとる義務があるのです。
この点を、企業の経営幹部に理解させることが必要なことだと思います。
パワハラ上司のいる職場に復職するのは、難しいことであるのはまちがいありません。特効薬となる手がないので、身近な地域の労働組合や労働事務所や弁護士に相談しながら、オーダーメイドで対策を立案するしかありません。
労働組合は、昔はパワハラ問題を取り扱うところはありませんでした。しかし、各地の地域ユニオンの中には熟練している意欲的な相談員が少しずつ増えてきています。
日本でもヨーロッパ各国のような「パワハラ防止法」ができれば、事態は改善するものと思われますが、これはまだまだ遠い道のりですね。