パワーハラスメントを撲滅するために

パワハラ労災解雇事件が円満解決

 2月7日、Χさんパワハラ労災解雇事件の円満和解のお祝いの報告会が行われました。

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 Χさんは、ナニガシクレガシ社(仮称)で働いていた5年前に、職場のパワハラによってうつ病を発症してしまい、出勤できなくなってしまいました。そして病休にはいって六か月後、就業規則に基づいて退職という扱いになってしまったのです。

 Χさんは、なかまユニオンの組合員でした。なかまユニオンは、業務上のパワハラによって発病したのだから、これは労災であると考えました。そして、労災休業中は解雇が制限されるという労働基準法に基づいて、病休六ヶ月で退職という扱いは無効であると考えたのです。

 私たちは、ナニガシクレガシ社と交渉すると同時に、弁護士にも依頼して労災申請の手続きを進めました。また、大阪地裁に解雇無効の地位確認訴訟をおこしたのです。

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 労災認定は難航しました。大阪では以前から、精神障害の労災認定はなかなか認められないのです。7人に1人しか認められないという少なさです。

 労災認定が認められるかどうかは、職場のパワハラによる精神的ストレスと、発病とのあいだに因果関係が有ったのか無かったのかにかかっています。Χさんの場合は、主治医ははっきりと因果関係を認めてくれていました。主治医からは、これは労災であるという趣旨の意見書が提出されていたのです。しかし、労働基準監督署・大阪労働局はそれを認めようとはしませんでした。

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 しかし、厚生労働省の労働保険審査会に再審査の申し立てを行ったところ、審査会は大阪労働局の労災却下はおかしいと、これを覆す決定をしてくれたのです。逆転ホームランでした。

 審査会が委託した精神科の専門医、T大学のH医師は、私たちの提出した申し立てをつぶさに検討してくれたうえで、医学的に見て労災であることは間違いないと認定してくれたのです。そして、大阪労働局の労災却下を、「労災認定基準を逆手にとった詭弁でしかない」と激しく指弾してくれたのです。

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 労災認定が実現したおかげで、ナニガシクレガシ社との交渉にもはずみがつきました。大阪地裁の裁判官の調停もあり、このたび円満な和解、全面的な解決を実現することができたのです。

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 うつ病を発病してしまった人にとっては、労災認定の手続きの書類を書くだけでも困難なことです。ましてや会社との裁判となれば、多くの困難がまちかまえています。私たちは、Χさんを支える会を結成して、様々なサポートをすることで、ここまでこぎつけることができたのです。本当に、長い道のりでした。

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 職場状況について証言していただいた同僚の皆さん、毎回の裁判の傍聴にかけつけてくださった支える会の会員の皆さん、そして最強の弁護団の活躍のおかげで、円満解決に達することができたのです。本当にありがとうございました。

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 なかまユニオンには、職場のパワハラやセクハラについての相談がたくさん寄せられています。どこの職場も、人間が人間として扱われない荒れ果てた状況です。精神的に病んでいく人も後を絶ちません。

 私たちは、精神障害が労災としてあたりまえに認定される世の中、職場パワハラの無い社会をめざして、これからもあの手この手で闘っていきます。次の世代に安心して生きていける社会を手渡していきたいと願っているのです。

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集団いじめがエスカレートすると、とんでもないことに

  職場のパワハラでも、特に恐ろしいものは、「いじめ集団」による集団いじめです。

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  パワハラ上司が個人的に部下をいじめるような場合、それだけでも恐ろしいことです。しかし、パワハラ上司が自分の部下たちも巻き込んで、「いじめ集団」を作りあげることがあります。集団で一人の人をボコボコにいじめるのです。

  これは、被害者にとってはたまったものではありません。周り中が敵だらけになってしまい、攻撃され続けるのです。職場にいるあいだずっと緊張状態が続きます。地獄です。

  集団いじめはたいてい「仲間はずれ」から始まります。ある日突然、これまでとは違うよそよそしい雰囲気が流れ、口をきいてもらえなくなるのです。人間は「仲間はずれ」にされるだけで精神的なストレスを受けて、まいってしまいます。

  このような集団いじめが職場で発生する場合、必ずといっていいほど犯罪的なパワハラ上司がいじめ集団の中、あるいは背後にいます。パワハラ上司は、部下をけしかけて悪口や仲間はずれや暴力をやらせているのです。

  このような場合、いじめ集団のメンバーは洗脳されたような状態になります。パワハラ上司への恐怖感がプレッシャーになって良心がマヒしてしまい、人間の道を外れたようないじめ犯罪に手を染めてしまうのです。

  これがエスカレートすると、例えば尼崎連続変死事件のような恐ろしい犯罪になっていきます。尼崎連続変死事件では、S被告によってターゲットにされた家庭では、家族どうしがお互いにいがみあい、いじめを行い、殺し合いをするところまで追い詰められていきました。

  他人を洗脳するテクニックを教え込まれていたS被告。時にはアメを与え、時にはムチをふるうことで、S被告に絶対的に忠誠を誓う人間を育て上げ、肉親どうしの殺人までもさせていったのです。本当に恐ろしいことです。

  ねちねちと意地悪な難癖をつけたかと思うと、次の日には優しい声をかける。優しい声をかけて油断させておいて、次の日には些細なことでぶち切れて悪魔のような金切声で怒鳴り散らす。このようなやり方をS被告は実行していました。これをされた相手はS被告の顔色を見てびくびくしながら生きていくようになります。これが相手の心を支配する悪魔のテクニックなのです。

  職場での集団いじめでも、程度の差こそあれ、尼崎連続変死事件と同じことが起きています。「職場のささいなトラブル」と見くびっていると、とんでもないことになるのです。

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パワハラをされやすい人って、いるんですか

次のようなお問い合わせをいただきました。

パワハラって、される人は何回も繰り返しされることないですか。パワハラをされやすい人っているんですかね。

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  パワハラの被害を何回も受ける人というのは、実際にいます。 

  その理由は、パワハラをする犯人にとって、パワハラをやりやすい人とパワハラをやりにくい人とがいるからです。

  パワハラをされやすい人にもいくつかのタイプがありますが、一番多いのは「いじめられても反撃しない人」です。すごく善良で、攻撃性がまったく無い人は、いじめられても反撃しようとしません。ですから、パワハラ実行犯にとっては何の心配もなくいじめることができるのです。

  自分のことより他人のことを優先的に考えてあげる優しさを持っている人は、どうしても攻撃性が弱くなりがちです。調和を重んじるばっかりに、自分が犠牲になっても仕方ないとあきらめてしまいます。自分になんの落ち度が無くてもです。

  こういう人は、会社のリストラ局面でも真っ先にリストラされる候補になってしまいます。リストラの順番は「仕事ができない人」から始まるというのは誤解です。どんなに仕事ができる人でも、「辞めてくれ」と言われてすぐに「わかりました」と言ってしまう人が真っ先にリストラされるのです。

  これ以外にも、いじめられやすい人というのはいます。

  例えば、私たちの職場にいるパワハラ管理職の場合を見てみましょう。たくさんの人がこれまでいじめられてきたのですが、いじめられる人にはいくつかの傾向があります。

  まずは「いじめられても反撃をしない人」ですが、次に多いのは「べんちゃらを言わない人」です。仕事の力量が高く、誇りが高い人ほどべんちゃらを言いません。こういう人がパワハラ上司の期限を損ねがちです。上司のご機嫌を常にうかがい、お中元やお歳暮を欠かさずに上司に届けるような人は、かろうじていじめを回避していることが多いのです。しかし、それもパワハラ上司の胸先三寸なので、いつ気が変わるかはわかりません。

  矛盾しているようですが、「べんちゃらばかり言う人」もいじめられやすいのです。パワハラ上司にゴマばかりすっていて、パワハラ上司のあやつり人形みたいになった人が、ある日突然辞めてしまうことがよくあります。「こんな奴いらない」とパワハラ上司が思ったが最後、一転していじめが始まり使い捨てにされてしまうのです。

  このほかに、「業務で成果をあげた人」「学歴の高い人」「いわゆる容姿のきれいな人」など、なんらかの意味で優れているという評判が立つ人も、いじめられやすいのです。嫉妬ということですね。

  また、労働組合の役員は確実にいじめられやすいのです。労働組合役員を狙い撃ちにしたパワハラは、不当労働行為として特に厳重に禁止されているのですが、パワハラ管理職はもともと無法者なので、そんなことはまったく気にしません。

余談ですが、 逆にいじめられにくい人というのもいます。ダントツでいじめられにくいのは、企業トップの親族です。

  さて、 いじめられやすい人がいるからと言って、いじめていいということにはなりません。

  「パワハラは、いじめられる方が悪いのだ」と、パワハラ実行犯はひらきなおります。しかし、それはまったくの間違いです。パワハラは刑法で取り締まられるべき犯罪であり、人道に反する悪行です。企業には、職場でのパワハラを防止する義務があるということを、忘れてはいけません。

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語るのもおそろしいパワハラ被害が発生

 小松病院の職場で、深刻なパワハラ被害が発生してしまいました。

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 パワハラ上司XYZが、部下に対して通常はありえないようなイジメを行なったのです。「XYZだろ、いつものことだね」と言う人もいます。しかし、今回のパワハラは内容が尋常ではないのです。

 健康被害も発生しましたし、名誉が大きく傷つけられました。たくさんの人が影響を受け、不安と不信感が職場の中で広がっています。

 企業には、職場パワハラを防止する義務があります。私達は、被害者の健康と名誉の回復を求めています。パワハラの再発防止は誰もが願っていることです。みんなの不安と不信が一日も早く解消することをのぞみます。

 

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パワハラ上司のいる職場に復職する難しさ (その2)

 パワハラ上司のいる職場に復職するにはどうしたらいいか、の話の続きです。

 私たちの職場にも、あきれるような強烈なパワハラ上司がいます。

 いっしょに働く人の中には、精神的ストレスが原因で発症する疾患を訴えた人がいます。また、多くの職員がそのパワハラ上司のせいで職場を去っていきました。しかし、警察は簡単にはパワハラ実行犯を捕まえてはくれません。

 強烈なパワハラの数々で精神的に追い詰められると、「こんな職場、辞めてやる」という気分になってきます。しかし、なぜパワハラ加害者が何のお咎めも受けずにへらへら笑いながら働き続けているのに、被害者の自分たちが苦しんで職場を去らなければならないのか、どうしても納得ができません。

 「辞めてしまいたい、しかし、辞めてしまうのはあまりにも悔しい」。苦しい葛藤ですが私たちは、パワハラ上司がいる職場で、パワハラ上司といっしょに働き続けるという道を選ばざるを得ませんでした。

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 そうなると、パワハラをどう止めるかを真剣に考えなければならなくなります。それは、決して簡単なことではありません。しかし、不可能なことでもないのです。人間がするパワハラを、人間が止めることが絶対にできないはずはないのです。

 何もしないのに、パワハラ実行犯がある日突然悔い改めて、「これまでのことは悪かった。心をいれかえてイジメはもうしません。」と懺悔するなんてことは、絶対にありません。なにかよほどの出来事が無い限り、人間が心を入れ替えることはないのです。

 「これ以上いじめを続けたら、ちょっとまずいことになるな。」と、パワハラ実行犯に思わせるしかありません。そう思わせるような手をうっていくしかないのです。パワハラをしたくてもできないような条件を、作り出していくのです。

 どういう手をうったら、パワハラ実行犯がパワハラをやりづらくなるか。これには、特効薬はありません。職場のパワハラが発生する状況は、その職場によって千差万別です。どの職場にも適用できる共通の方法があるわけではないのです。

 パワハラを止める方法を考える手がかりは、「なぜその人物はパワハラをするのか」という原因を解明することにあります。

 パワハラの被害者は一人だけなのか、それともたくさんの人が被害を受けているのか、あるいは過去にも被害を受けた人がいるのか、こういう点は、パワハラの原因を考えていく上で重要なポイントです。

 加害者が一人なのか、それとも何人かでつるんでパワハラをしているのか、これも重要です。

 「仕事がまわりの人よりも劣っている」とみなされた人がパワハラの被害者になることもありますが、逆に「仕事がまわりの人よりも優れている」とみなされた人がパワハラのターゲットにされることもかなりあります。被害者がどういう理由でターゲットにされたのかという点も、パワハラの原因を考える上で重要です。

 ちょっと難しい話になりますが、「そのパワハラが不当労働行為性を伴っているかどうか」も重要な点です。「不当労働行為性」とは、「労働組合を攻撃する目的」ということです。労働組合の役員がパワハラのターゲットにされている場合は、不当労働行為性がある場合がほとんどです。

 職場に労働組合が無い場合であっても、「こいつは将来的に労働組合を作るおそれがある」と目をつけられた人物がパワハラのターゲットにされた場合には、不当労働行為性がある可能性が高いのです。職場の中で一人ぼっちでいることが多い孤独な感じの人がパワハラを受けた場合には不当労働行為性が無いことが多いのです。しかし、職場の中で人望のあつい協調性の高い人がパワハラを受けた場合は、当人が意図していなくても「将来は労働組合を作るかもしれない」という疑いをかけられて職場から追い出そうとされている可能性があります。

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 「なぜその人物がパワハラをするのか」を分析したら、次はどのような手をうてばよいかということになります。

 残念なことに、ここでその細部を公開することはできません。なぜなら、このブログはパワハラ加害者にも見られているからです。犯人に手の内を知られてしまうわけにはいきません。

 ただ、一つ言えることは、「企業にはパワハラを防止する義務がある」という点です。

 労働基準法と労働安全衛生法によって、会社には労働者の健康を守ることが義務付けられています。会社は、職場の中で発生しているパワハラを放置することは許されないし、パワハラが発生しないように未然に対策をとる義務があるのです。

 この点を、企業の経営幹部に理解させることが必要なことだと思います。

 パワハラ上司のいる職場に復職するのは、難しいことであるのはまちがいありません。特効薬となる手がないので、身近な地域の労働組合や労働事務所や弁護士に相談しながら、オーダーメイドで対策を立案するしかありません。

 労働組合は、昔はパワハラ問題を取り扱うところはありませんでした。しかし、各地の地域ユニオンの中には熟練している意欲的な相談員が少しずつ増えてきています。

 日本でもヨーロッパ各国のような「パワハラ防止法」ができれば、事態は改善するものと思われますが、これはまだまだ遠い道のりですね。

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パワハラ上司のいる職場に復職する難しさ (その1)

 最近、何人かの方から、次のような声を聞きます。

 職場のパワハラ上司のせいで精神疾患になってしまい仕事を休んでいます。病状が落ち着いたから復職したいのですが、パワハラ上司がいるので、再発しそうで復職できません。どうしたらよいでしょうか。

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 職場でパワハラを受けて病気になってしまった人の多くが、復職できずにその職場を辞めてしまいます。それは、職場にもどってもパワハラ上司から引き続きパワハラを受けることになってしまうからです。

 精神的ストレスの原因から遠ざかること、これは精神疾患の治療の上ではまったく当然のことなので、パワハラ上司が幅をきかせている会社を辞めてしまうという道は確かに現実的な道なのです。

 しかし、会社を辞めてしまったら次の会社を探すのがなかなか難しいという不景気なご時勢に、なぜ被害者の方が辞めなければならないのかという疑問が残ります。

 加害者であるパワハラ上司が会社の中でのうのうと給料をもらっているのに、なぜ被害者の側がこれまでの生活を投げ出して難しい転職活動をしなければならないのか、本当に不条理なことなのです。

 これが時代劇なら、水戸黄門が印籠を振りざしてパワハラ上司に切腹を命じてめでたしめでたしとなるのですが、現実の世の中にはパワハラ上司を罰してくれる人はあらわれません。

 上司が部下を鉄の工具で殴ってケガをさせたというような明らかな傷害事件がありました。被害者は体だけではなく、心にも傷を負いました。しかし、そんな場合でさえ警察はそのパワハラ上司を捕まえてはくれなかったのです。被害者が死ぬくらいの事件でない限り、警察は企業の中にはふみこんできません。

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 これまで私たちが経験したケースでは、大企業の場合はパワハラ上司と顔を会わせない部署にしてもらうということがありました。悪い上司のほうをよその部署に飛ばした会社もありました。また、被害者の方が他の部署を希望して移った例もありました。このような場合は、被害者と加害者とが引き離されるので、その後はストレスが無くなり、働き続けることができます。

 もちろん、会社側を説得して動かさなければ人員配置の変更はしてもらえないので、これを被害者が一人でやるのはなかなか難しいという問題があります。

 大企業にはメンタルヘルス担当者が置かれているので、会社によってはメンタルヘルス担当者が力になってくれる場合もあります。しかし、メンタルヘルス担当者があまりにも低レベルすぎて、有効な手をうってくれない会社も多いのです。ひどい話では、職場でパワハラを受けて困っていることをメンタルヘルス担当者にうちあけたら、今度はメンタルヘルス担当者からねちねちとイヤミを言われて退職に追い込まれたというケースさえあります。

 パワハラ被害者は精神的なダメージを受けているので、心が疲れていて会社との交渉をするだけのパワーがありません。あくまでも被害者の立場にたって協力をしてくれる人がいないと、なかなか有効な手をうてないことが多いのです。

 また、配置転換という手段が使えるのは会社が大きい場合だけです。せいぜい10人くらいしか社員がいない会社では、そもそも「よその部署」というのがありません。多くの中小企業では配転先が見つからないのです。

 そうなると、パワハラ上司と顔を会わせながら働き続けるという道を選ばなければならなくなります。

 この先は長くなるので、続きは次回に書くことにします。

(その2)につづく

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学校での体罰が職場のパワハラ実行犯を育てる

 大阪市立の高校で教師に体罰を受けた生徒が自殺したことが大問題になっています。たいへん傷ましい事件です。

 橋下市長は、体罰があったことを認めて謝罪し、「体罰は許しません」と言っています。しかし、橋下市長はこれまでは体罰容認派だったわけで、その場その場でくるくる言い分を変える橋下氏のお得意の言い逃れではないかという気もして、さらに暗い気分になります。

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 驚いたのは、「スポーツの成績を上げるためには体罰が必要だった」と体罰実行犯の教師がはっきりと言っているということです。「体罰は正義だ」と主張しているのです。圧倒的に強い立場の教師が生徒に対して暴行・傷害を行なっておいて、それが「成績を上げるためだった」というのは、なんという自己中心的な発想でしょうか。

 生徒の命を奪った体罰実行犯の教師に対しては強い憎しみがこみ上げてきますが、体罰実行犯ひとりを吊るし上げるだけでは、問題の解決にはなりません。日本の社会全体に根深く存在している、「暴力の連鎖」の構造を変えていかなければならないのだと思います。

 私たちは、学校の体罰と職場のパワハラとには関連があると思います。学校で体罰(暴力)を受けてきた経験のある人が大人になると、職場でパワハラの加害者になる可能性が高いと考えられます。

 職場のパワハラの被害者だった人が、何かのはずみに今度はパワハラの加害者になってしまう、そんな事例もよくあることなのです。殴られた経験が心の傷となって、何かのはずみで他人を殴るようになってしまうのです。パワハラは連鎖するのです。暴力は連鎖するのです。

 学校での体罰は、パワハラ実行犯を養成する教育だと思います。学校の教師が10人の生徒を殴れば、その生徒たちが将来は100人の職場の人を殴るのです。

 年配者が若者をいじめ、大人が子どもをいじめるような社会は滅びてしまいます。日本の社会が生き残るためには、どんなに困難であっても学校での体罰を廃絶するしかないと思います。

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ビタミンUのオープンカフェでパワハラ対策について報告

 9月9日、「パワハラと人権意識」というテーマでビタミンUのオープンカフェが開催され、なかまユニオン小松病院分会が職場のパワーハラスメントについて報告しました。

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 日本にはまだ「パワハラ防止法」がありません。今年になってやっと厚生労働省の「職場のいじめ嫌がらせ問題に関する円卓会議」が、職場のパワーハラスメントについての定義を発表し、職場のパワハラをなくそうという呼びかけをしました。驚くべきことに、これまでは「パワハラの定義」すら公式に定められたものは無かったのです。

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 日本中の職場でパワハラが問題になっています。なかまユニオン小松病院分会も、職場の驚くべきモンスター上司によるパワハラにずっと悩まされてきました。

 私たちが実際に行なってきた職場のパワハラ対策の経験について、くわしく報告しました。職場のパワハラを弱めるためには、「これ一本で大丈夫」というような特効薬はありません。様々な側面から多面的に継続的に手をうっていくことで、パワハラがやりにくい状況を作ることができるのです。

 職場のパワハラを放置すれば、働く者の健康が損なわれるばかりか、企業経営までもが危機におちいってしまいます。パワハラを止められない企業は落ち目になっていくのです。私たちは、みんなが安心して働き続けられる職場を作っていくために、これからもパワハラ問題に取り組んでいきます。

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 学習会のあとは、お鍋を囲みながら交流会です。北大阪のおいしい日本酒もふるまわれました。もうすぐ開催される韓国の非正規労働者の大会にビタミンUのメンバーが参加するので、その話などでたいへん盛り上がりました。

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職場のパワハラ対策のために弁護士事務所を訪問

 本日、職場のパワハラ対策について相談するために弁護士事務所を訪問しました。

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 大阪市内の西天満には裁判所もあり、弁護士事務所がたくさんあります。

 私たちは、職場のパワハラは犯罪だと考えています。学校現場でのイジメが大きな社会問題になっていますが、大人の社会にイジメがあるから子どもたちが真似をするのです。子どもたちのイジメを本気で無くしたいなら、職場内のイジメ=パワハラを無くすための対策を行なわなければいけません。

 職場の中だけでは治らないような凶悪でずるがしこいパワハラ実行犯に対しては、出るところへ出て問題を社会的にはっきりさせる必要があります。なんらかの形での「社会的制裁」を加えるわけです。

 刑事裁判・民事裁判などその形はさまざまですが、そういう場合には弁護士さんの力を借りることも必要になってきます。

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 今日は現在進行中の事例に関して長時間の打ち合わせを行いました。さすがは弁護士さん、訴えをおこすときの具体的なことなど、つっこんだ話をお聞きすることができました。そして、私たちは着々と手を打っていきます。

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厚生労働省の発表した「職場のパワーハラスメントの定義」

 次のような質問をいただきました。

 政府がパワーハラスメントの定義について発表しているそうですが、これは職場のパワハラをなくすために役にたちそうですか。

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 今年の1月30日に厚生労働省の「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ」がまとめた報告のことですね。これをふまえて3月15日には「職場のパワーハラスメントの予防・解決に向けた提言」も発表されています。

 内容としては、パワハラの対策に取り組んできたものから見たら、常識的な内容です。報告をまとめたメンバーの顔ぶれを見ていると、「上司と部下の深いみぞ」などの著作で有名な岡田康子さんや精神科医の香山リカさんなどが入っています。

 重要なことは、厚生労働省が初めて公式に職場のパワハラについての見解を発表したということですね。これまでは民間の研究者がパワハラについて個人の意見を発表しているだけで、公式見解と言えるものがありませんでしたから。

 国の公式見解が出たことで、企業に対してパワハラ防止対策を要求していくうえでの手がかりが得られたと思います。パワハラ対策をまったく行なおうとしない無気力な経営陣の目を覚まさせるには「厚生労働省もパワハラを許すなと言っているぞ」と追求したほうがいいからです。

 もちろん、この公式見解は「パワハラ防止法」ではないので、罰則規定はありません。あくまでも、労働組合が問題解決をしていくうえでの役立つ手がかりだと思ってください。

 報告のポイントを、以下はりつけておきます。また、全文の掲載されているサイトがありますので、そちらも見てください。

「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ報告」全文

【報告のポイント】
1.はじめに:なぜ職場のいじめ・嫌がらせ問題に取り組むべきか(報告書p1~4)
  職場の「いじめ・嫌がらせ」、「パワーハラスメント」は労働者の尊厳や人格を侵害する許されない行為であり、早急に予防や解決に取り組むことが必要な課題である。
企業は、職場の「いじめ・嫌がらせ」、「パワーハラスメント」による職場の生産性の低下や人材の流出といった損失を防ぐとともに、労働者の仕事に対する意欲を向上させ、職場の活力を増すためにも、この問題に積極的に取り組むことが求められる。

2-1.職場からなくすべき行為は何か(報告書p4・5)
  「いじめ・嫌がらせ」、「パワーハラスメント」という言葉は、どのような行為がこれらに該当するのか等、人によって判断が異なる現状があるが、とりわけ、同じ職場で行われる「いじめ・嫌がらせ」、「パワーハラスメント」については、業務上の指導との線引きが難しいなどの課題があり、労使の取組を難しいものとしている。
そのため、ここでは、労使が予防・解決に取り組むべき行為を以下のとおり整理し、そのような行為を「職場のパワーハラスメント」と呼ぶことを提案した。

職場のパワーハラスメントとは、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性(※)を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいう。
※ 上司から部下に行われるものだけでなく、先輩・後輩間や同僚間、さらには部下から上司に対して様々な優位性を背景に行われるものも含まれる。


 
2-2.職場のパワーハラスメントの行為類型(報告書p5・6)
  職場のパワーハラスメントの行為類型を以下のとおり挙げた(ただし、職場のパワーハラスメントのすべてを網羅するものではないことに留意する必要がある。)。
類型 具体的行為
(1)身体的な攻撃(暴行・傷害)
(2)精神的な攻撃(脅迫・暴言等)
(3)人間関係からの切り離し(隔離・仲間外し・無視)
(4)過大な要求(業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害)
(5)過小な要求(業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと)
(6)個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)

3.労使の取組(報告書p6~10)
  この問題を予防・解決するための労使の取組については、まず、企業として職場のパワーハラスメントはなくすべきという方針を明確に打ち出すべきである。
対策に取り組んでいる企業・労働組合の主な取組の例と、取り組む際の留意点は以下のとおり。

予防するために
 ○トップのメッセージ
 ○ルールを決める
 ○実態を把握する
 ○教育する
 ○周知する

解決するために
 ○相談や解決の場を設置する
 ○再発を防止する

行政は、
・問題の現状や課題、取組例などについて周知啓発を行うべき。
・併せて、この問題についての実態を把握し、明らかにするべき。

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