介護・福祉・医療を守ろう

介護労働者の誇りをかけた神明会ラ・アケソニアの残業代払え裁判 第1回弁論が行われました。

 2023年5月25日、箕面にある医療法人神明会ラ・アケソニアの未払い残業代請求裁判の第1回弁論が、大阪地方裁判所で行われました。

 1月に裁判を提訴してから、神明会側は弁護士を総入れ替えしました。そのため、第1回弁論まで4か月の準備期間があったにも関わらず、法人側からは一切の反論が出されませんでした。

 法廷では、原告16名を代表してラ・アケソニア分会の渋谷さんが5分間の意見陳述を行いました。なぜ、裁判を起こすに至ったのか、やむにやまれないその思いを明朗な声で語りました。「私たち16名は介護の仕事に誇りを持っています」と渋谷さんは言います。

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 今回の裁判は、医療法人神明会の介護老人保健施設ラ・アケソニアで現在も働いている職員10名と、退職者6名、あわせて16名が集団で、未払いの残業代の支払いを求めて訴えたものです。

 桜井弁護士によると、会社を退職した人が未払い残業代の支払いを求めて裁判をおこすことは珍しくないのですが、今回のように現職の人が訴えるのは珍しく、大きなインパクトがあるのです。なぜなら、過去の未払い分を払えばそれで解決するというものではなく、将来にわたって残業代の払い方の是正を行うことを、経営側に強いることになるからです。

 つまり、「金で解決」ではなく、サービス残業が常態化してしまっている職場の在り方の改善を求めるのが、今回の集団訴訟の大きな意義なのです。

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 裁判の傍聴には箕面市議会議員の中西とも子さんも駆けつけてくださいました。介護施設に対しては、行政が管理監督する責任があります。残業代不払いという問題が起きていることに対して、箕面市としての監督責任を追及していきたいとおっしゃっていました。職員の残業代が払われていないということにとどまらず、介護施設の利用者の処遇の問題など、現在の介護現場には是正すべき問題が山積みだとおっしゃいます。

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 この日の夕刻、神明会ラ・アケソニアの職場の近くで、訴訟勝利に向けた交流会が行われました。原告の一人一人が、桜井弁護士に裁判の今後の詳細について質問したり、裁判に踏み切った思いについて語り合ったりしました。

 ある原告の方がおっしゃいました。「介護の仕事中に利用者の高齢者の方と話をしていたら、たまたま通りかかった管理者から『なにをおしゃべりしとんじゃ』と言われるんです。」

「おしゃべりしとる暇があったら事務仕事を片付けろ。そんなことだから事務仕事が残業になるんじゃ。そんな残業には残業代は払えんのじゃ」というのが、管理者の言い分のようです。

 この何がおかしいかというと、介護職員が利用者のお年寄りとお話をするのは立派な仕事だということです。利用者さんの情報をつかんだり、健康状態を把握するには、一見は雑談に見えるような会話が有効です。その有効性がわからないというのでは、この管理者は介護のプロとしての勉強をしてきたとはとても思えません。こんな理由で残業代を払わないのだとしたら、介護のイロハのイもわかっていないということです。それが、現場の介護職員の失望を生み出し、離職につながっているのです。

 「残業代というお金を求めてるけど、欲しいのはちゃんとした職場環境です。」と原告の方はおっしゃっていました。ちゃんと働いているのだということ、利用者さんに寄り添った介護をしたいんだということを認めてほしいのです。

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 次回の裁判は7月6日の午前11時30分、大阪地方裁判所404号法廷です。法人側がどんな反論をしてくるか、注目です。

 

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5/25は大阪地裁で神明会・残業代払え裁判 法律守って良い介護を!

 2023年5月25日(木) 午前11時30分より、大阪地方裁判所404号法廷で、神明会残業代払え裁判が行われます。

 タダ働きで前残業をするのが当たり前の無法地帯になってしまっている介護・医療の職場を、労働基準法が守られた、良い介護のできる職場に変えていきましょう。

 裁判傍聴で、介護施設で働く原告の意見陳述、生の声を聞きに来てください。

 

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 老健施設職員の残業代の支払いを求める集団訴訟がいよいよ開始されます。原告を代表して2名が意見陳述をします。ぜひ、傍聴支援をお願いします。

 

  • 原告代表 渋谷国彦さんから

 

医療法人神明会ラ・アケソニア 未払い賃金請求集団訴訟の第一回期日が来る5月25日(木)11時30分

大阪地裁404号法廷で開催されます。傍聴支援をよろしくお願いします。

 

この訴訟の特徴は、現職10名と地域の介護施設で働き続ける元職6名

合わせて16名が請求当事者であることです。私たち16名は高齢者介護で社会福祉の発展に寄与する任務の重大性を日々痛感し、これまで地域の介護需要に応えてきました。しかし、ラ・アケソニアでの介護は、多大なサービス残業が伴いました。例えば・役職者が作成する各職員の自己評価シートは、会社側から決められた期限が短く、面談、記録、評価等は、勤務時間外で行っていました。その役職者の業務をみて、多くの若い介護職員が「ここでは役職につきたくない」「ここでは無理」と離職しました。

 

施設を利用する際に、高齢者のこと・家族のことをよく理解した職員がいてこそ、地域社会のニーズに応えられる施設となります。サービス残業で苦しむような労働環境は改善されなければなりません。今回の不払い賃金請求訴訟の大きな目的は、介護労働環境の改善にあり、地域社会を支える介護施設にすることです。

是非、みな様のご支援を宜しくお願いいたします。

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神明会ラ・アケソニアの介護職員が残業代の支払いを求めて裁判を開始

 大阪府箕面市にある介護老人保健施設ラ・アケソニアの職員と元職員16名が、残業代の適切な支払いを求めて、経営者である医療法人神明会を、本日2023年1月18日、大阪地方裁判所に訴えました。

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 なかまユニオン神明会ラ・アケソニア分会は、本来は支払われるべき残業代をまだ払ってもらっていないということで、ちゃんと支払うようにと、以前から神明会と団体交渉を行ってきました。

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 神明会は、たしかに未払いの残業があるということを交渉の中で認めました。しかし、支払わないと主張したのです。「残業の事前申請で上司が残業代は出るよと言った場合しか、残業代は払わない」という主張のようです。

 残業代を払ってもらえなかった当事者となかまユニオンは、これはもう裁判の場ではっきりさせるしかないと考えました。

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 給料をもらえなかった残業には様々な場合があるのですが、特に問題なのは「前残業」です。

 「前残業」(まえざんぎょう)とは、始業時間の前に出勤して働くことです。ラ・アケソニアでは、夜勤が始まる前に早く出勤して、夜勤帯にすることになっている雑務を先にやっておくということが常態化していました。

 介護施設の夜勤は、ワンオペになることも多いのです。ワンオペで利用者さんの応対をしながら、様々な雑務をこなさないといけません。利用者さんに何かトラブルが起きると、その対処のために何時間もかかりきりになるので、雑務ができなくて残ってしまいます。それを避けるため、前残業をしてあらかじめ雑務をしておくのです。そして、トラブルはしょっちゅう起きるのです。「恨むならトラブルを起こした利用者を恨め」と責任をなすりつけても、何の解決にもなりません。

 こんな雑務は、雑務といえども立派な仕事ですよね。それなのに、神明会はそんなことには残業代は払えないよと支払いを拒絶したのです。

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 介護・医療の業界では、給料が支払われない前残業というケースが、いくらでもあります。私自身も、病院勤務の中で前残業をしましたし、看護師は電子カルテからの情報収集という業務のために前残業をするのが当たり前になっていました。

 「まあ、仕方ないか」と、あきらめていた部分もあると思うのです。しかし、前残業で給料が払われない状態が続くと、その分の努力は「誰も働かなくても現場が回っている」と、経営的には無かったことにされてしまうのです。そして、厚労省官僚が介護保険報酬や医療保険報酬を計算する時に、「思ったより人件費はかかっていない」と不当に安い報酬として計算されてしまうのです。

 経営者を甘やかしてはいけません。そして、厚労省官僚を勘違いさせてはいけません。私たちは、現にここで働いているのです。私たちが働いているから利用者さんの生活がなりたっているのです。それを無かったことにさせてはいけません。

 これは、裁判を起こした16名の給料の問題ではありますが、それにとどまりません。人手不足が深刻なせいで、燃え尽きて退職する人が出て、さらに人手不足になっていく。この介護業界の悪循環を断ち切るという問題なのです。

 前残業も労働時間であると認めさせましょう。裁判を起こした16名を応援して、私たちも闘います。

 

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9000円賃上げ?介護の現場は崩壊寸前だ! 2月6日介護労働者怒りの集会

 26日、大阪市内で介護・福祉総がかり行動主催の『介護労働者怒りの集会』が開催されました。リモートを中心に100名以上の参加がありました。

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 11月に岸田首相が決めた「介護・看護・保育職員に9000円の賃上げ」という方針によって、介護の現場は大きな混乱におちいっています。

 集会では、大阪社保協の日下部雅喜さんから、この「9000円賃上げ」の問題点についてお話がありました。「9000円はあまりにもショボい」のです。介護労働者の平均賃金は、日本の全ての労働者の平均賃金よりも85千円も安いのです。その不当な扱いを是正しようと、何年も前から介護業界と厚労省との協議が行われてきたのに、たった9000円というのでは、あまりに安すぎます。なめてるのかという話です。

 また、政府は「計算上は9000円になるはず」と言っていますが、実際には事業所収入に対してほんのちょっとの加算の補助金がもらえるだけ。このままいくと蓋を開けてみたら目減りしていたということになりかねません。

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 また、政府はロボットを介護現場に導入することで、今よりさらに人減らしをしても仕事が回るのだと主張し始めています。「生産性を上げると言うが、介護の質はどんどん落ちていく」と、現場から怒りの声が上がりました。

 一晩で20人の人を介護できるのが普通の介護職員だと仮定して、60人を介護できるのが生産性の高い介護職員だと言う経営者がいます。こういう考え方を政府は奨励しています。しかし、60人を介護するためには手のかかる利用者を殴って黙らせてもいいというのでは、利用者の生存権を守ることができないのです。

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 国会議員の福島みずほさん(社民党)、大石あきこさん(れいわ)も参加し、現場の実態を国会で追及すると言ってくれました。福島みずほさんは、介護保険制度が一貫して改悪され続けてきたことを指摘しました。

 介護・福祉のすべての労働者の賃上げを実現していこう、利用者が人間らしく生きていける介護を実現しよう、そのために介護保険の抜本的な改善を実現しようと、集会アピールは呼びかけています。

 日々悪戦苦闘する労働者自身が事業所に対して声を上げて改善を求めなければ、話は始まりません。人生設計をしていけるだけの賃金がもらえなければ、人手不足が解消することはありえません。「賃上げする余裕なんてないよ。補助金をもらう書類を書く余裕すらないんだよ」と経営者が言うのなら、ともに処遇改善を政府に要求するようにうながさねばなりません。

 ユニオンに入って声を上げるところから、介護現場の崩壊を止めていきましょう。

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